日別アーカイブ: 2008年3月3日

デジタル化で失われるディティール



この写真を撮った時のお話しは<こちら>からご覧になれます。
今日の写真は、ネガから新たに焼き直したプリントを元にしています。


ブログに写真を載せる時、いつも感じるストレスがあります。
それは、伝えたい気持ちを満足させようと思うと、際限なくデータが大きくなるからです。
私は、デジタルカメラを使い始めてまだ一年にもなりませんが、フィルムカメラの方は、5~6年間みっちりと撮りまくりましたので、少しは写真に関しては考えを持っています。
それで私は、写真の「力」はディティール(詳細な表情とでも言ったら良いでしょうか。)にある、と思っています。
たとえ肉眼で見て分からなくても、ルーペであるいはちょっと大げさですが顕微鏡で見ると分かるくらいの違いが、その写真の表現力に差を生むというのは本当です。
写真をアートとして捉える場合でも、ドキュメントとして捉える場合でも、レンズの性能やフィルムの性能そして撮影の技術は、どうしたって最低限必要ですし、高ければ高いに越したことはありません。
卓越したセンスも、一台のカメラとそれを使いこなす技術がなければ、写真にはなりませんから。
写真がデジタル化されるようになった時、私は正直、フィルムカメラの世界で最高の表現に辿り着いたような優れた写真を、本当にデジタルカメラで再現出来るのかと思ったものです。
現在、デジタルカメラの最高峰だと、すでに2000万画素を超えていて、もうそれは問題ないという見方もあると思いますが、それでも言わせてもらえば、フィルムの方は分子レベルですから、画素なんて単位では測れません。
ましてや、コンパクトデジカメの最初から圧縮データで取り出される画像は、初めのうちは手軽で面白くてわくわくしましたが、すぐに何かちがうぞ!と感じ始めました。
そして思い出して、昔撮ったリバーサルフィルムをトレスコとルーペで覗いた瞬間の驚きは、残念ながら皆さんにお伝えする手段がありません。
いくらデジタルの技術が進歩した現在にあっても、たとえ1枚が1GBの画像でも、リバーサルフィルムの1コマには遥かに及ばないと、私は思っています。