月別アーカイブ: 2008年6月

やっと一雨



我が家の自家菜園 
遠くに見える耕耘機は他所のお宅のものです。
連れ合いが、奥の方でキヌサヤを採っています。
午後7時でも、この明るさ。


昨日から今朝にかけて、やっとまとまった雨が降りました。
もう3週間くらいも雨らしい雨がなく、畑の土は下の方までカラカラに乾いていました。
近所の農家の人も、「畑はもうダメだな!」とあきらめ半分な言葉が出るほど・・・。
それが一夜明けた今日は、土が黒々として植物たちは俄然勢いが出てきたようです。
中にはこの雨が間に合わず、枯れてしまったものもありますが、これでずい分持ち直すことでしょう。
ジャガイモは早くから繁っていたので先ず大丈夫。
キヌサヤエンドウもインゲンもOK。
玉蜀黍も大丈夫でしょう。
キュウリやかぼちゃは、これからまた度々雨があるかどうかにかかっています。
他にもいろいろ植えてありますが、どうなることでしょう・・・。
お天気次第ですね。
一方この恵みの雨で、家の周りの草丈はグーンと伸びるはず。
そろそろ二度目の草刈りをしなくてはなりません。
そんなもの放っておけばいい!と言う訳にはいかないのです。
第一に蚊などの虫がわいて嫌なこと、そして家の中に湿気がこもり、これまたムカデなどが繁殖しやすいこと、あちこちカビだらけになったりするので、風通しのために草刈りは必要なのです。

そして、このところの気温の上昇で、食工房は仕事が終わった後、オーブンの余熱を冷ますのに苦労するようになりました。
これもそのままにしておくと、夜中に室温が30℃を軽く超えて、冷蔵庫が全く冷えなくなってしまうのです。
今日は、気温の上昇を気にしながら、チョコレートを使うメニュー、どろんこクッキーとブラウニーとエルフの焼き菓子、それともう一つアールグレーティーケーキを焼きました。
室温でチョコレートが軟らかくなるようになったら、これらはお休みするしかなくなります。
パン屋泣かせの夏は、まだまだこれからが本番です。

カリーソース vol.2

チキンマサラとターメリックライス

先ずは我が家の定番 №1 食工房流チキンマサラです。
そしてターメリックライス。
インドでは、黄色は目出度い色として、好んで使われます。




鶏肉は骨付き手羽元を使います。
一皿に一本、今回は20皿分として20本用意しました。
今回使った鍋は、直径30cm容量8リットルですが、もっと小さいものでも間に合います。
水を3リットル、骨付き手羽元肉を20本入れ、ベイリーフ(月桂樹の葉・ロリエあるいはローレルとも言いますね。)を3枚浮かべて、中火で煮込みます。
沸騰して来たら、アクをすくい取ります。





弱火にして10分くらい煮込んだら、玉ねぎのソースベースを入れます。(玉ねぎ2㎏分)
冷凍のまま放り込んで、かき混ぜ溶かしながら煮込んでいます。
きれいに溶けたら、ゆるゆるとかき混ぜながら、もう一度煮立って来るまで煮込みます。
次にトマトペーストを入れます。(350g)
トマトから下ごしらえすることも出来ますが、今はまだ出盛りではないので、業務用トマトペーストを使いました。

※トマトから下ごしらえする方法も、時期になったらやります。

焦げやすくなっていますから、この間ずっとかき混ぜています。




トマトペーストを入れた後もう一度煮立ったら、いよいよカリーマサラと塩を入れて仕上げます。

「食工房のカリーマサラ」 約33gと塩大さじ3杯が目安。

カリーマサラも塩も、そのまま直に入れて大丈夫です。
カリーマサラをバターなどでローストする方もいると思いますが、食工房のカリーマサラは、調合する前にスパイスをオーブンでサウナ(高温浴)してありますので、そのまま使っていただいた方が良いと思います。
カリーマサラがきれいに混ざって馴染むまで、かき混ぜながら煮込みます。
以上でカリーソースは出来上がりです。




ターメリックライスを炊く間、火を止めて休ませておきます。





米は、水洗いした後ザルに上げて水気を切り、さらに風通しの良いところに広げて乾かします。
フライパンにバターとオリーブ油を熱し、米を入れて焦がさないように注意しながら炒ります。
米1カップに付き、バター10gオリーブ油5ccくらいが目安。
炒り上がったら一度完全に冷まします。
その後、スパイスと一緒に釜に入れ水加減をして炊きます。
ターメリックは米2カップに付き大さじ1杯弱、カルダモンを小さじ1/4入れます。(いずれもパウダースパイス)
※ターメリックだけだと、ちょっと土臭い感じがしますが、カルダモンを少し加えることで、甘みのある上品な香りになります。

水加減は、米と同量を目安に調整してください。
もし、インディカ米が手に入るなら、パラッとした感じに炊き上がって、さらに気分が出ると思います。
ターメリックライスが炊き上がったら、カリーソースをもう一度煮立つまで加熱して、いよいよ皿に盛り付けます。




この場合、ソース1皿分は180ccのレードル1杯の勘定です。
野菜サラダなどを添えてお楽しみください。
あと口には、ヨーグルトなどがあればまたいいと思います。
次回(来週末の予定)は、レンズ豆とひよこ豆を使って、ダルカリーをつくります。

カリーソース vol.1

今日はやっと念願叶って、カリーソースにとりかかりました。
取り寄せた材料もほぼ揃いました。
これから何回かに分けて、食工房のカリーソースレシピをご紹介します。

先ずは玉ねぎから
食工房のカリーソースは、基本的にインド風です。
知り合いのインド人がやっているインド料理のお店の味をかなり意識しています。
それで、玉ねぎは何より先ず重要な素材です。
玉ねぎで、しっかりとソースベースをつくって置くと、後々何をつくる時も便利なので、一度に沢山つくりだめします。





 


今回は、農民連から玉ねぎを10㎏仕入れて来ました。
これを一回で調理して、カリーソース100皿分のソースベースをつくりました。
一般家庭では、これほどの量は無理かと思いますが、3㎏くらいなら可能でしょう。
量はともかく、やり方は参考になると思います。
玉ねぎは、刻んだものを長く空気に晒しておくと、苦みが出て来ます。
少量の時は、すぐに火が通るので問題ありませんが、大量の時は、いきなりバターで炒めるより、刻んだ端から少量の湯を沸かした鍋に次々入れて、先に蒸し煮して手早く火を通します。





火が通って玉ねぎの色が透明になって来たら、バターとオリーブ油を加えます。
玉ねぎ10㎏に対し、バター1ポンド(450g)オリーブ油1カップ入れました。
今回、バターは無塩のものを使用していますが、もちろん有塩でも結構です。
初めのうちは水分が出て焦げ付く心配はありませんので、強火でどんどん水分を飛ばします。
それでも時々かき混ぜています。
後半は弱火にして休みなくかき混ぜていないと、すぐに焦げます。
ヘラで底擦りするようにしっかり混ぜ続けます。
約1時間半くらいのご辛抱・・・。



あとで水分を飛ばして、しっかりと炒めます。
段ボール箱1杯10㎏の玉ねぎが、ご覧の
とおりのカサになってしまいます。




これで、カリーソース20皿分



出来上がったソースベースは、一回分ずつ小分けして袋に詰め冷凍保存します。
本日はここまで。

明日は、これを使って「チキンマサラ」をつくります。

近頃のコーヒーの飲まれ方



朝の光そして一杯のコーヒー、至福の時


今、多様化の時代にあって、コーヒーの飲まれ方も実に沢山、本当にいろいろだと思います。
この前スーパーマーケットに行った時、コーヒー売り場を気にして見ました。
そうしたら、売り場の半分以上は、インスタントコーヒーでした。
それから袋入りまたは缶入りの挽き豆、そしてやっと全体から見れば少しばかりの豆のままのコーヒー、といった具合。
改めて、想像以上にインスタントコーヒーが飲まれていることを知りました。
そしてそのインスタントコーヒーも、コストパフォーマンス重視のスプレードライの大量お徳用パックから、超こだわりの炭火焙煎ネルドリップのフリーズドライまで、ずらーっと並んでいるではありませんか。
まあ、インスタントコーヒーを飲みたい気持ちも分からないではありません。
以前、阿武隈山中で山暮らしを始めたばかりの頃、とにかく何にもなしという状況で、突然コーヒーが飲みたい衝動に駆られて、インスタントコーヒーを買って来て飲んで感激した覚えがあります。
それはそれとして、インスタントコーヒーがそれほど飲まれている一方で、豆から挽いてハンドドリップで抽出して飲む人も、決して少ないわけではないと思います。
両刀使いなのでしょうかね。
それでそのコーヒー豆をどこで買っているのかという時、スーパーマーケットなどではなく、こだわりの自家焙煎店で買っている人が多いのじゃないかと思います。
コーヒーは、大量生産には向かない、数少ない品目の一つです。
とにかく鮮度が大切。
しかもそれを長く保持する方法はないのですから。
小さなコーヒー屋が生き残れるチャンスは、十分あると思っています。
そこでもう一つ忘れてはならないのは、「スタバ」に代表されるファーストコーヒーです。
こちらはインスタントと違って、街の小さなコーヒー屋にとっては、手強い敵かも知れません。
彼らの提供するコーヒーは、決してグレードは低くないのです。
それでも、じゃあコーヒーと言えば、インスタントとスタバだけってことになったら、誰しもやっぱりつまらないと思いますよね。
そこに、私たち小さいコーヒー屋が商売させてもらえる隙間があるように思います。
これからも、神出鬼没にアイディアを吐き出しながら、コーヒー商売を続けたいと思っています。

☆明日、明後日、やっぱりブログをお休みします。

日が長いので・・・



緑の海の中で、樹木が泳いでいるように見えました。


向かいの斜面、草原に囲まれて林があるのが分かりますか?
きっと何かいそうな、そして別世界への入口がありそうな・・・。


夏至を過ぎたばかりのこの頃は、日の入りが遅くいつまでも明るいので、つい油断して時間を忘れてしまいます。
畑でキュウリの棚を作ったり、きぬさやえんどうを採ったりしているうちに、いつの間にか午後7時を回っていました。
でも、こういう風に時間が過ぎていく時って、とっても幸せな感じがしますね。
今日は定休日だったので、朝と夕方は畑にいました。
途中、資材が足りなくなったのでホームセンターへ行くついでに、一週間分の食料や食工房で使う消耗品なども買出しに、日頃は何かと一緒に出かけられない連れ合いと一緒に行きました。
用が終わって夕方になりかけた頃、帰り道を急ぎつつも、例の牧野にちょっと寄り道して見ました。
この一ヶ月たらずの間、ほとんど雨が降っていないのに草丈がすっかり伸びて、緑が濃くなっていました。
草原に見えても、中に入っていくのは容易ではありませんので、道端から眺めているだけでしたが、何と言うか雰囲気のあるところです。
それで突然思い出しましたが、北欧フィンランドあたりは今頃ちょうど白夜なのですね。
会津の風景に似ていると言われる彼の地の風景を、想像の中で目の前の風景に重ねて、しばしボーっとしていました。

地域情報から

喜多方市の産業課の方から、いつもイベントなどの情報をいただいています。
今回、飯豊山の山開きについて、皆さまにご案内いたします。
飯豊山に登ってみたいと思いつつ、なかなか機会を得られない方には、良いチャンスだと思います。

日時: 平成20年7月12日(土)~7月14日(月)
受 付  :7月12日(土)午前5時00分~55分 御沢野営場

詳しい実施要綱と申し込み用紙のPDFファイルがあります。
<こちら>からダウンロードしてご利用ください。
※ページが開くまでに多少時間がかかります。タイムアウトする場合は、そのまま繰り返しアクセスしてください。


6月現在の飯豊山頂付近の状況




飯豊本山小屋より大日岳方向を望む




飯豊本山と縦走路

写真提供 喜多方市産業課 佐藤さん


 


 食工房より

明日は定休日です。
おかげさまで、今日までにパンは完売いたしました。
ありがとうございました。
それから今週は、木曜日にクリングラ、土曜日にカネリプッラを焼きます。
お目当ての方、お間違えありませんように・・・。

昨日のこと、今日のこと

昨日はブログを休まないつもりでしたけれど、結局書けないままお休みしてしまいました。
実は昨日は、お店のお客さまのお一人のお誘いで、ある映画の上映会に参加させていただきました。

その映画は、「1/4の奇跡~本当のことだから」というタイトルで、石川県で養護学校の先生をしている、山元加津子さんという方のドキュメンタリー映画でした。
本当に行って良かったと思いましたし、映画を見られるめぐり合わせも、ただの偶然ではないとはっきり分かりました。
常々自分が思っていることにピタリと符合することあり、また「目から鱗」の心を洗われるような言葉や場面の数々。
すばらしい内容でしたけれど、あまりにも多くのメッセージを一度に受け取って、頭も心も満腹状態で、それを反芻し消化するにはしばらく時間がかかりそうです。
いつか自分の言葉で、この映画や山元さんのお話しの印象を語れるようになりたいと思っています。
それまではとにかく、映画のタイトルと山元加津子さんのお名前だけ紹介しておきます。
ネットで検索していただければ、私がこれ以上何も言う必要はないかも知れません。
そういうわけで、昨日の夜はこの映画のことしか頭の中に残っていませんでしたし、かと言ってそれを題材に記事を書く気にもなれませんでした。

そして今朝は、5時から部落の「人足」で近くの国道沿いの花壇の手入れがあり、共同作業をして来ました。
ちょうど私たちがここに引っ越して来た頃に始まった国道沿いの花植えも、5年経った今はアジサイが大きな株になってずい分見栄えがするようになりました。
たいていの方がお休みの日曜日、早朝からこうやって汗を流して、一体何のため?誰のため?なんて、初めの頃そう思ったことがありましたが、いつも淡々と作業している皆さんを見て、またきれいに花が咲いた国道を散歩する時、そうだそんなことじゃないんだと分かりました。
これが、「土の人」の心意気と底力なのかなと思いました。
「土の人」<参照>

そして今日は、スコーンと山の子クッキーとロンサムパイン、暑い時にはなおさら手間のかかるメニューを焼きました。
お客さまも三々五々。
ガソリン代もとんでもなく値上りし、また先日は価格の値上げ改定を実施したばかりなのに、こんな街から遠いところまで、パンを買いに来てくださるお客さまには、ただただ頭が下がるばかりです。
あとは、皆さまのご期待を裏切ることのない、パンやお菓子を造ることだと思っています。

近頃、カフェが流行り?

喫茶店の斜陽化が言われて久しい昨今、巷ではカフェが流行っているらしいですね。
同じようにコーヒーが飲めて、おしゃべりする時間と空間を提供している点では、喫茶店もカフェも名前の違いだけのような気がしますが、実際はそうではないようです。
今、世界中のどんな珍しいものでも店先に並ぶ時代で、コーヒーも昔のように、コーヒーそのものが珍しいという状況ではなくなりました。
コーヒーに関する情報や知識も広く普及して、一般の方のコーヒーに対する要求も多様化し、高度に趣味化している面もあります。
コーヒーを商売にする者は、そういった多様なニーズに応えて行かなくてはなりません。
コーヒーだけでなく、紅茶やハーブティーなど他の飲み物、またスィーツと呼ばれるお菓子の類も好まれていますから、それらについても勉強しておく必要があります。
つまりこの時代のカフェは、一昔前の喫茶店に比べて、はるかに多様なスタイルを持ち得ると言える状況なのです。
お客さまを喜ばせる要素は多岐にわたっていますから、何をどのように採り入れるかによって、お店の個性も様々です。
お客さまの身になって考えると、いろいろなキャラクターのお店が出来て、楽しみが尽きなくていい時代になったと言えるのじゃないでしょうか。
しかし店をやる側からすると、自分の店の評価を固めるのは、なかなか大変になったと言えるのじゃないかと思います。
そんな中で、ちょっと面白い動きだなと思えるのは、イベントととしてカフェを店開きすることです。
かく言う私も、イベントの会場で一日限りのカフェをやったことが何度かありますが、固定した店の営業よりずっと強力な集客力があります。
でもそれはあくまで一過性のものであって、生業にすることは出来ません。
それでもそこには、固定したお店の営業を成功させるための、何か大きなヒントがあるような気がします。
多分これから先、カフェはさらにいろいろな要素を取り込みながら、多様なスタイルが生まれると思います。
趣味性の強いお店も、それなりに成功するチャンスもあると思います。
でもその一方水面下では、厳しいせめぎ合いになるのも避けられないでしょうね。
では自分はどのように生き残れるかと考える時、私は、自分の店は本当にボチボチと食べていければ良し、後は、他所のお店の成功に貢献出来る立場で仕事をしていられたらいいなと思っています。
私は、どちらかと言うと、裏方人間だと自覚しています。
おいしいコーヒーのロースターとして、一目置かれるくらいになりたいです。
もちろんパン屋も、疎かにはしません。


食工房とおつきあいいただいているカフェ




駅カフェ



空色カフェ



けむりの木



グラティチュード


ビオトープ


    おしらせ
今週は、木曜日がカネリプッラです。
クリングラは、土曜日。

明日、明後日、ブログをお休みします。

飯豊の精



登山口の飯豊杉の大木と祠




この緑の下にいるだけで、心が満足して行くのが分かります。


定休日の今日、やっと今年初めての山歩きに出かけることが出来ました。
実は丸々二年ぶりなのです。
飯豊山の登山口まで車で行って、そこからわずかに数キロの範囲を歩き回っただけですが、本当に出かけて良かったと思いました。
自分の中で一番大切に思っているものが、まだ死んではいないことを確かめられたからです。
それから近くの黒森山の登山口の方へも回って見ました。
車を降りて、林の中の道ばたに座り込んでいると、帰りたくない自分がいることに気づきました。
そのまま山頂まで往復してきたかったけれど、家に帰って畑もやりたかったので、また次の機会にしました。




険しい地形とそこに広がる樹海に、
神々しさと畏怖の念を感じます。




こういう山道に入ると、どうしようもなく血が騒ぐ私です。


それから今日はもう一つ、途中二ヶ所で山の水を汲んで来ました。
パン種に、飯豊の精を注ぎ込むためです。
山の水も場所によって様々で、皆違う味わいと雰囲気を持っています。
今日汲んだ二ヶ所のうちの一つは、以前にも何回か汲みに行ったことがあり、やっぱり一番納得の行く素晴らしい味わいです。
酵母に使う前に、コーヒーを淹れて飲んでみましたが、改めて驚くほどおいしかったです。
ここ山都町は、水道水でも、外からいらした方はおいしい水だと言ってくださいますが、その比ではありません。
ちょっと大変だけど、これからはコーヒー用の水を汲みに通うしかないと思っているところです。


今日はあとは、これも久々に畑に出て、このところちっとも雨が降らないので、定植してある苗に水をやったり、近所の農家の方にいただいたネギを植え付けしたりしているうちに、早くも夕方になりました。


おかげさまで今日は、一日中よく体を動かして、山の空気をいっぱい吸って、土にも触って、昨日までの妙に疲れた感じはどこかに吹っ飛んでしまいました。

天然酵母パン





おいしそうなパンだと思われた方
食工房へおいでください。<こちら>



今やすっかり一般に認知された感のある「天然酵母パン」という呼び名。
私も自ら「天然酵母パン」と称するパンを焼いていますが、皆さんがこの「天然酵母パン」というものをどのように理解していらっしゃるのか、最近とても気になっています。
私たちは、たいてい「天然」とか「自然」という言葉に良いイメージを持っていますので、「天然」「自然」を冠した名称に、何となく好印象を抱いてしまいます。
もし、明確な定義や正しい理解がないままに、「天然酵母」や「天然酵母パン」という呼び名を使い続けていると、いずれ必ず足元をすくわれることは間違いないと考えています。
そう思って、インターネット上に氾濫している「天然酵母」「天然酵母パン」に関する情報を手当たり次第に閲覧していますが、残念ながら、ちゃんと説明出来ている論説には未だお目にかかれません。
逆に、「天然・・・」の名称に批判的な論説の方が、説得力があるような気さえします。
ここで少なくとも食工房の天然酵母パンについて、私の持論を申し上げておく必要があると感じました。


 「天然」の前に、そもそも「酵母」とは?

酵母は、糖(ブドウ糖、果糖などの糖分)を分解して、水と炭酸ガスとアルコールなどを生成する微生物です。
自然界に普遍的に生息しており、それを私たちは醸造やパンづくりなどに利用しています。
自然界に生息している酵母を、いつでも使いやすい状態に維持管理する方法は、世界中に沢山あります。

 「天然酵母」と「イースト」

本来、酵母は天然、自然の産物なのですから、わざわざ天然の名を冠する必要はありませんでした。
イーストが区別されるようになったのは、第一次世界大戦当時、戦時下のドイツにおいて、短時間のうちにパン生地を醗酵させるために、工業化学的手法によって醗酵環境を管理して、純粋培養された酵母が使われるようになってからです。
それまで酵母の醗酵は、果実や穀物そのものから時間をかけて培養されていたのであり、もし醗酵初期に雑菌が繁殖すれば失敗してしまう、大変扱いの難しいものだったのです。
イーストでは、醗酵力の強い菌株を選び、且つ化学的手法で醗酵のための環境をつくります。
雑菌の繁殖を防ぐためにpHを下げたり、中和したり、イーストの活性を高めるためにイーストフードと呼ばれる薬品も使われます。(現在は、ビタミンC・L-アスコルビン酸が使われていますが、以前は臭素酸カリウムが使われた。※現在は危険であるとして禁止)
イーストは、酵母の醗酵過程の中の炭酸ガスを発生するところのみに着目して開発されたものであり、単純に膨らめばいいという発想です。
しかしパンの風味は、自然な状態で醗酵が始まり、時間をかけて熟成して行く過程で醸し出されるものなので、イーストを使うことにより、それまでの風味豊かなパンは造れなくなってしまいました。

その後の時代、食品製造が次々と工業化されて行く中、その利便性ゆえ、イースト使用はパンづくりの主流になりました。
その一方で、パン食文化の層の厚いヨーロッパでは、伝統的な直接天然に由来する酵母を使うパン屋が生き残り、最近になればなるほど見直されているという状況です。

 威儀を正しておかないと・・・

さてここで、少なくとも私が「天然酵母」という時の「天然」とは何かということを申し上げておかなくてはなりません。
それは、あらゆる化学的プロセスを排除し、直接天然、自然に由来する醗酵過程を踏むことであるということです。
世の中には、定義も曖昧なまま「天然」「自然」の名を冠することに、不快感を露にする人々が少なからずいるということを承知して威儀を正しておかなければ、いずれ「天然酵母パン」という名称は使えなくなるかも知れない思っています。

※食工房の自家培養酵母についての記事があります。
ご参照いただければ幸いです。
<こちら>からご覧いただけます。