日別アーカイブ: 2009年2月25日

地味な仕事に支えられている


いつもこのブログをご覧いただいている方なら、
これが何をしているところかご存知のはず。


ここ何年間か、女の子たちに人気の職業と言えばパン屋(ベーカリー)と菓子屋(パティスリー)が筆頭で、そして中高年の男に人気の職業の一つがコーヒーロースターだそうで、食工房はその両方を掛け持ちしている格好なんですね。
極最近は業績も上がり始めましたので、羨ましがられる側面もあるかも知れません。
しかし実際には、毎日の地味な仕事の積み重ねで、その割には金銭的な報いは少ないと言わなければなりません。
では何故そんな職業を選んだのかと言われそうですが、そこはそれ、また違ったところに価値を見出しているからだと、私の中では答えははっきりしています。


ところで、この仕事をしていて分かったことは、機械や設備あるいはレシピよりも、日々の細々とした作業の中にこそ、製品の出来を左右するノウハウが隠れているということです。
例えばコーヒー豆の選別ですが、悪いものは確実に拾い出し且つロスを少なくするためには、経験を積む以外に方法がないのですね。
情報化しようと思っても複雑な要素があり過ぎて、最後は人の目と手だけが頼りです。
現地であらかた選別してあるものでも、やはり焙煎前の手選別は欠かせません。

どんな仕事でもそうだろうと思いますが、コーヒー焙煎でも仕上がりを大きく左右するのは、実はほんの些細なことばかりです。
それをここで明かすわけには行きませんが、この「悪豆拾い」のように、やっていて全く楽しくない作業(時間と手間をかけて、目減りさせるわけですから)ほど、製品の出来に影響するもののようで、精神性を鍛えられますね。
結局話が元に戻りますが、自分の中ではっきりとした答えを持って臨まなければ、この時代にモノづくりという仕事は続けられないと思います。
やっと手応えのようなものを感じ始めた今、多くの人が定年を控えるこんな歳になってからかえって苦労していることも、まあ悪くないと思っている私です。


  おしらせ
「食工房のパンだより 41・早春号」を公開しました。
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