続・きびしい時代がやって来る

つい先日、会津ではよく知られた最先端ハイテク企業が、会社更生法適用を申請して倒産したと大騒ぎになっています。
聞くところによれば、昨年12月期は黒字だったとか。
それからわずか2ヶ月足らずの間に急激に経営が悪化して、資金が回らなくなったらしいですね。
このニュースに触れて思ったことですが、最近の産業と経済の構造というのは、砂上の楼閣と言うか、薄氷を踏んでいるような危なっかしさの上に成り立っているのですね。

この前は、薪ストーブに例えてみましたけど<参照>、それより石油ファンヒーターに例えた方が当たっていますね。
スイッチオンですぐに猛烈な火力で部屋を暖めますが、燃料が切れて火が消えたらもうその瞬間から寒々として来ます。
この例えの方が、より近頃の世相を反映していると思います。
つまり何をするにも即効性が重要視される、直ぐ使える人材、直ぐ結果が出るプラン、待つことも溜めることもなく欲しい結果だけを急ぎます。

して見ると、強大に見える資本の力も実は、一足飛びに目的地に行き来するために張った細いワイヤーに吊るされたゴンドラに乗っているようなものだとも思えます。
調子がいい時には、地上を荷を背負って歩いていることがいかにも馬鹿馬鹿しいことに見えるでしょうが、もし途中で目的地が変わってしまったら、もう何の役にも立ちません。
まあ、例え話はそのくらいにしておきましょう。

このニュースを知った時、真っ先に思い浮かんだのは、昨年秋の「国際交流フェスティバル」の時、食工房のブースの後ろでカレー屋さんをやっていた若いインド人の男性の顔でした。
今回のニュースに直接関係あるかどうか知りませんが、彼もまた日本に出稼ぎに来た外国人の一人でした。
日本人よりも安い給料で働いて、会社にとって貢献度が高くても、厳しい状況になれば遠慮なく首を切られるのは、間違いなく彼らです。

グローバリズムに乗っかって企業が多国籍化し、労働者も国境を越えて行き来するようになりましたが、例えば失業などのトラブルの救済などのことになると、しっかりと国境の壁が立ちはだかります。
国家の対応は、儲けには柔軟でも、損失にはとても辛辣になります。
でも、そこに人の生活の如何がかかっているのですから。

こんな状況に、片田舎で小さなパン屋をやっている親父が何が出来ると言うわけではありませんが、それでも自分の暮らし方や物事への望み方を見直すことで、何か少しでも役に立つことがありはしないか?そんなことを思っている私です。