熊、捕獲

多分今朝早く未明の頃でしょうか、仕掛けてあった罠に熊が一頭かかりました。
早朝、近所の人が畑の方からやって来て、「熊が入ってるよ。大きいよ。」と報告してくれました。

設置してから丸二週間、設置許可の期限が過ぎて、今日あたり撤去されるはず・・・と思っていたところでしから、よりによって今朝かかるとは何と気の毒な熊だろうと微妙な気分でした。

間もなく猟友会の方々がやって来ましたので、娘たち二人と共に同行して立ち会わせてもらいました。

オリの中に捕獲されていたのは、一目見て成獣と分かる大きな熊でした。
こんなのに至近距離をうろうろされていたのでは、危なくて仕方がないと思った次第。

いくら気の毒でも、ここは死んでもらう以外仕方がありません。
銃声一発、頭を撃ち抜かれて昇天。

そして死んだ熊の体を調べていると、いろいろなことが分かるのですね。
雄雌の判断は、外見ですぐに雄と分かりました。
すり減った牙の様子から、相当年齢を重ねた雄であることも分かりました。
また腹のあたりの肉付き具合から、たっぷり餌を喰っていることも。
(そりゃあそうでしょう。家のかぼちゃを一度に10個も、次の日にはとうもろこしを40本も喰っているのですから。)
身長は、立ち上がると優に大人の背丈に届くくらい。
体重も130kgくらいあるのじゃないかということでした。

それで意外だったのは、子連れの雌熊がいるとの推測があったのに、かかったのは雄熊だったこと。
侵入ルートも、推測していたのとは反対の方角からだったことです。

ちなみに雄熊は、子連れの雌熊を見つけると、雌を発情させるために子熊を殺すのですね。
それで雌は、神経質なまでに雄を避けるように行動します。
この周辺で大小二つの熊の足跡が見つかっていますから、子連れがいることはほぼ間違いありません。
それを追いかけて、今朝かかった雄がうろついていた可能性があります。

我が集落では、今年になって急に熊の被害が広がりました。
今までにも熊の出没は確認されていて、農作物の被害もあったのですが、散発的で捕獲駆除をするまでには至りませんでした。
しかし、手をこまねいている間に、このあたりはすっかり熊の領域になってしまっていたようです。
知らぬが仏、ひょっとすると我が家の庭先が通り道になっていた可能性もあったわけです。

この後も、まだ別の熊がいる可能性が大なので十分気をつけるようにと、今朝熊の始末に当たった猟友会の方から言われています。

一度人里を自分のエリアと認識して、畑の作物に手を出すことを覚え、人が積極的に抵抗するわけでもないことを学習してしまった熊は、何のためらいもなく際限なく作物に手を出して来ます。
実際、今年の状況がそうでした。

農家の方と話していていると、「山間なのだから、熊がいるのは仕方がない。かぼちゃやとうもろこしを少しくらい喰われたってそれはかまわない。人に危害がなければ・・・。」と、よく耳にします。
しかしそれは違います。

易々と作物に手を出させてはいけません。
餌付けしているようなものですから。
必ず次から、農作物を当てにするようになります。

そのうち畑が彼らの縄張りになり、いつか不幸な出会いで人的被害が発生します。
熊の領域と人の領域を分けておくには、人が努力しなくてはどうにもならないのです。

この前も申し上げたように、今回は最悪の事態と言えます。
私は、今日死んだ熊の命を弔うためにも、人のなすべきこと、役割と使命に想いを至らせて、これからの人生を過ごしたいと思っています。