モノが手に入らなくなる時代

全く漠然としていて分からないタイトルを付けていますが、最後にはご理解いただけるものと思って進めます。

皆さまご存じの通り、食工房の看板メニューの一つにライ麦のパンがあります。
現在、地元の農家さんに作付けしていただいたライ麦を使用して、大変納得の行く製品づくりが実現しています。

これが昨年の今頃は、カナダ産のライ麦を仕入れて使っていて、その品質が例年になく悪くて困っていました。
あの小さい麦粒を、目視手選別していたのですよ!
たった1㎏を選別するのに1時間もかけて・・・。
当然、仕入れ先にクレームを申し入れましたが、明確な返答はありませんでした。

そしてライ麦の収穫期を迎えて、やっと地元の農家さんから原穀が入荷して一安心した頃、カナダ産ライ麦の仕入れ先からは、結局天候不順による減収のため前年度分の在庫終了、新年度分は港湾労働者のストライキの影響で現地で船積みが出来ないため、入荷の目途が立たないという通知が届きました。

ま、こちらとしては、その時点でカナダ産に頼る必要が無かったので、そのまま聞き流していたのですが、どうやら大変なことになっていたらしいのですね。
今日また改めて届いた通知によると、昨年夏に収穫されたライ麦原穀は、まだカナダを出てもいない状況だとのこと。
日本への到着は、2月以降かさらに先になる見込みだそうです。

そしてこれも前例があって分かっていることなのですが、日本に着いてからも通関業務が渋滞して数か月間税関に留め置かれることも珍しくないのですね。
そうこうしているうちに、今年の収穫期にかかりますよ!
1年遅れで入荷だなんて、笑い話にもなりません。

食工房では、2008年から地元の農家さんにライ麦と小麦の作付けをお願いして来ており、量的には間に合わないことが多いものの、次第に定着しつつあります。
いずれ近い将来、ライ麦だけでも100%地元産を実現したいと思って取り組んでいます。

それはそれとして、輸入品の入荷が思うに任せないという今回のような状況、一体何が起こっているのでしょう?
アメリカ西海岸の港湾労使交渉の問題も、なかなか根が深そうで、一気に解決は望めそうにもありません。

また日本の税関業務の渋滞も以前から慢性的で、コーヒー豆でも新豆の入荷を長いこと待たされた覚えがあります。
そして仮にそれらの問題がなかったとしても、昨年のライ麦の場合のように不作で、欲しくてもモノが無いということもあり得ます。

私たちの生活を支える重要な物資が、手に入らないという事態がある日突然やって来る・・・みたいなことが、これから次々本当に起こるのかも知れません。
自分たちの足元、もっと気をつけて見なくては・・・と思っている私です。

参考資料 アメリカ西海岸における港湾労働労使交渉の顛末(2014年の資料)

国内でも物流危機が・・・ 「NHKクローズアップ現代・モノが運べない!?物流危機」