猿知恵との戦い

近年このあたりでは、熊や猿などの野生動物による農業被害が深刻です。

熊、猿のほか、カモシカ、鹿、猪もいます。
まだその他に小さいもの、穴熊やハクビシン、タヌキなどもいますが、彼らはまだしも対応が容易いので、大した問題ではありません。
大きなものはやはり脅威です。

そんな中で猿は、他の者たちとは違って、少しばかり知恵があるので、対応が難しいのですね。
また、群れで行動するので、一旦侵入を許してしまうと、沢山の個体を相手にしなくてはならなくなり、それだけでも大変です。

畑のじゃがいもの味を覚えた猿は、じゃがいもの葉が茂って来ると、すぐに引き抜いてしまいます。
下においしいイモがあると覚えているわけです。

でも、まだ早すぎてイモは出来ていません。
次々、全部引き抜いて、結局あきらめて他の場所に行ってしまいます。

しばらく待っていれば、やがてイモにありつけるということが分からない、だから猿智恵なのですね。
こうして、その場所のじゃがいもは、今年の収穫をあきらめざるを得ないことになります。

電気柵が効果があるというので、畑のまわりを囲ったところもあります。
ところが、どうやって発見したか分かりませんが、大きな板切れだか角材のようなものを持って来て柵の上に倒しかけ、その上を歩いて易々と中に入り、カボチャなどを抱えて運んで行くことがあったとか。
あるいは、柵の下を電線に触れずに潜り込める子猿に入らせて、中からかぼちゃを放り投げさせて、外にいる親猿たちが運んで行くこともあったそうです。

結局、こうした猿との攻防に敗れて、一部の圃場を耕作放棄せざるを得ない状況に追い込まれた集落があるのです。
そうなって来ると、いつまでも動物愛護だの鳥獣保護などとばかり言ってはいられません。

しかし、法律はそう簡単には変わりませんから、今の状況では、私たちは手も足も出すことが出来ず、成す術がありません。
被害届と有害獣駆除の申請を出して許可をもらって、狩猟免許を持っている猟友会の方にお願いして駆除ということになりますが、その間に畑の作物は無くなってしまいます。

否、実のところ、侵入を許してしまってからでは遅いのです。
如何にして入られないようにするか・・・、そこにこそ害獣対策のポイントがあります。

事、猿に関しては、犬を放し飼いするのが一番効果的なのだそうですが、今は放し飼いは禁止ですから、それは出来ない相談です。
特別に訓練した猿追い犬を、集落の方々の同意の下受け入れて、猿が出た時に放すという方法があるそうですが、犬の訓練や世話をする人の確保、近隣住人の同意獲得など、ハードルが高いのですね。

それより何より問題なのは、ほとんどの場合、被害が深刻になるまで本気で関心を持つ人がいないということです。
私としては、それでは拙いことが分かっている以上、何とかしたいと思っているわけで、辺りを刈り払って焚き火をしたり、時々花火を鳴らしたり、歩き回ったり、とにかく獣たちにサインを送ろうとしているわけです。
うまく伝わっているかどうか、今一つ確信はありませんが・・・。

もし家の近くや畑に猿が出没したらどうしましょう・・・?
ま、いろいろと考えてはいるのです。
熊と違って、一匹二匹くらいまでなら、戦えない相手ではないので・・・。
何はともあれ先ずは頭脳戦、猿と知恵比べです。