スズメバチとハエ

およそどこに行ってもいるのがハエです。
自然の豊かな田舎に来ればなおのこと、何種類かのハエがいるのを確認出来ます。

食品を扱う仕事をしている者にとって、ハエは大敵です。
しかし、防ぐのはなかなか大変です。
真冬以外の季節、いつも頭を悩ませています。

一方、スズメバチと言えば、これも皆さまよくご存じだと思います。
刺されたら命に関わることもある恐ろしい昆虫・・・と思っている方も少なくないでしょう。

このスズメバチの食糧はと言うと、小さい虫全般です。
ハエは格好の餌になっています。
一匹のスズメバチが、一日に100匹以上のハエを捕まえて巣に運んでいることが知られています。

ちょっと話が脇に逸れますが、スズメバチは捕まえた虫を噛みほぐして肉団子にして巣に持って帰ります。
それを自分が食べるのではなく、巣の中にいる幼虫に与えます。
幼虫たちは成虫のスズメバチが運んで来た肉団子を食べて育つのです。
一方成虫は、幼虫が口から吐き出す液体を吸います。
実はこれが高カロリーの栄養源で、活動のためのエネルギーとなります。
専門的には、栄養交換と言うそうです。

真夏の活動期、どんどん巣が拡大して幼虫の数が増え続ける間、成虫たちは休みなく虫を獲り続けます。
近くにスズメバチの巣が一つあれば、あたりからハエが一匹もいなくなります。
これは本当の話しです。

昨年のこと、孫たちがやって来た時、たまたま微妙な位置にスズメバチの巣があり、これを駆除することになりました。
ハエのことを考えるとそのままにしておきたかったのですが、孫たちのうちの誰かが刺されでもしたら大変ですから、結局駆除することにしました。

ところがその後が大変でした。
巣が無くなった次の日から、家の中にハエが入って来るわ、入って来るわで大騒ぎになりました。
これほどはっきりと結果が出るとは、あらたか予想していた私でさえビックリでした。
息子も嫁さんも孫たちも、ハエにうんざりすると同時にスズメバチの果たしていた役割を思い知ったという次第。

さて今年は、ちょうど良い距離離れた場所に二箇所、スズメバチの巣を確認しています。
一つはキイロスズメバチでもう一つは小形スズメバチです。

たまに家のまわりを飛び回っているのを見かけますが、巣から離れているので危険ではありません。
そしてやはり・・・、ハエが少ないと言うか、ほとんどいません。

どんな殺虫剤より確実だし安全だし、これからますますハエが増える秋にかけて、スズメバチの方も数が増えますから、バランスが崩れることなくハエのいない状態が保たれます。
そしてハエだけではなく、害になるその他の虫も捕まえてくれているのです。

まことにありがたい自然の計らい、我が家ではスズメバチは神様扱いです。