日別アーカイブ: 2018年10月15日

小麦のことを知らないパン屋、パンのことを知らない農家

タイトル通り、それが世の中の大方のパン屋と農家の認識です。

パン屋は、製粉会社が提案し売り込んで来る小麦粉の中から気に入ったものを選ぶ、農家は、農協や県が奨励する品種あるいは業者が高く買い付けてくれる品種などの中から条件に合ったものを選んで作付けする、まあそのあたりに終始するのが普通です。

パン屋にとって良い小麦粉とは、吸水率が高く扱いやすいパン生地が出来て、食感の良いパンが焼ける、なおかつ風味が良好、価格も安い、これに尽きます。

一方農家にとって良い小麦とは、収量が多い、病虫害に強い、県や農協が奨励していて種が手に入りやすく、奨励金も高いなどが条件です。

そしてパン屋と農家の間にいるのが製粉会社ですが、彼らは彼らで、考えていることは会社の利益です。
パン屋にとっても、農家にとっても、自分たちの望みを叶えてもらえない都合があったりします。
例えば、特定の農家限定の小麦粉などは、まず不可能です。

こういった体制で一番問題なのは、農家はどんな小麦を作れば本当においしいパンづくりに貢献出来るのか、またパン屋はどんな小麦にどんな性質があるのか、そんな一番重要な情報がほとんど共有されていないことです。

食工房が、麦の栽培に手を付け始めて早や10年近くになりますが、年々、小麦はもちろんのことその他の麦についても認識が深まり、すでに次元が違うところに来たと感じるまでになっています。
パン屋と農家、両者の都合を良く知ることで、最終製品であるパンや焼き菓子などの出来が良くなることは確かです。

ここで言う「良い」とは、健康な体の養いに貢献出来ること、満足感のある風味や食感を備えていること、且つ健全な味覚を養う効果もあることです。

麦の勉強もして農作業も体験して見ること、それはパン屋にとって必須なんじゃないかと思うこの頃です。
そしてまた、農家もパン屋に来て話しをしたりパン焼きを体験したりして欲しいと思いますね。

その点食工房は、意欲的且つ協力的な農家さんに囲まれて、理想的な条件が整いつつあると思っています。
先が楽しみです。

営業再開、もうあと少し。
どうぞお楽しみにお待ちください。