パンがうまく焼けさえすれば

午前3時に起きると言うのは、いつものことではあっても、やはり少しは辛いものがあります。
早過ぎるんですよ、バイオリズムからすると。

でも、いったん動き出せば作業はどんどん進みます。
そして、パンがうまく焼けさえすれば、その後の気分は上々です。
疲れもどこかへ吹き飛んでしまいます。
今日のパンは、また一段と良かったので、後片付けもチャンチャンと進みました。

ところで話は変わりますが、今、自家培養酵母というのは、なかなかに技術的ハードルが高いのだということを、再認識しています。
今から30年も前、やり始めの頃は、条件さえ整えば発酵なんて自然に始まるもので、何も四苦八苦することはないと思っていました。
実際そのレベルでもパンは焼けるし、そこそこうまく回っても行くのです。

ところが30年経った今は、もう全く違う感覚の中にいます。
パンの種類によって、出したい風味を出せるように発酵をコントロールすることは、実はとてもとても難しいことだと認識するに至りました。
季節要因や作業場の室温、ドゥコンディショナーの設定温度と実際中に入っている物の温度の差、各作業のタイミングなど、留意する項目は次々増える一方です。

そんな中、最近で特筆すべきは、プンパニッケルです。
幾人ものお客さまから、おいしくなったと評価をいただいています。
実際、製造数が急増中です。

では、今までと何が違うのかと言えば、プンパニッケル専用の酵母種であるザワータイクの発酵です。
熟度を正しく見極められるようになったから・・・と、先ずはそれが一番です。
そのノウハウは、もうすでに私ではなく上の娘の手の中にありますが・・・。

そしてその前に、ライ麦の品質も利いているいるのです。
つまり畑の中から、もうすでに焼き上がるパンの運命は、半ば決まっているということです。

私が、紙版・飯豊の空の下から・・・ の11月号の表紙の絵に添えた文章の中で、「誰も知らなかった世界に一歩踏み込んだような気がする」と申し上げたのは、実はこのことが元になっているのです。

来年収穫されるライ麦は、さらに品質が良いようにと尽くすべき手を尽くすつもりですから、あとはお天気と自然界の計らい次第で、本当に素晴らしい結果が得られるかも知れません。
楽しみです。