日別アーカイブ: 2022年7月21日

あれは何だったんだろう

麦ラボ

ライ麦原穀
左から順に、正常粒、穂発芽粒、穂発芽直前粒、麦角菌汚染粒、正常粒

2014年7月に「麦拾い」というタイトルの記事を書いています。<参照>
状態の悪いライ麦原穀の目視手選別に辟易しているという内容の記事なのですが、自ら麦を作付け収穫するようになった今、改めて当時を思い出しながら、あれは何だったんだろうと複雑な感慨の念に囚われる私です。

当時、食工房が入手先としていたのは、オーガニックの製パン製菓用の素材を輸入販売している有名な専門業者でした。
ドライフルーツなどは、市販品とは一線を隔す秀逸な品質を認めていました。
オーガニックのライ麦原穀を入手出来るのは、そこ以外知りませんでしたし、食工房はその業者さんに全幅の信頼を置いていました。

それが、件の記事にあるように、全く酷い状態の原穀が提供されたわけです。
では、それ以前は問題が無かったのか?と言えば、そうでもありませんでした。

しかし当時は、オーガニックは何物にも勝る最善の計らいだと信じていましたから、とにかく無農薬、有機栽培で出来たものが最高であり、多少の虫食い跡や病害痕、カビの発生などは、それが自然の産物である証拠だと好意的にさえ受け取っていました。
ですから当初は、何でもそのまま丸ごと全体をいただくのが自然食の本義だと、疑うことなく製粉機にかけていました。

それが、件の状態の悪い原穀を目にした時、さすがにそのまま製粉機にはかけられないと、初めて疑いを持ちました。
その結果、麦拾いに至ったわけです。

今だから言えますが、あんなことをしなければならないものを出して来るなど、認識のある業者のすることではありません。
そもそも、廃棄すべき品質のものでした。
要するに、自分も無知であったことを証明しているだけのことでした。

そしてその後、麦角菌汚染のことを詳しく調べ始めると、穀物に生じるカビ類の中には強い毒性を持つものが少なくないことも分かりました。
実際に麦を作付け出荷している農家さんなら承知していることですが、例えば赤カビ発生粒が混入した場合は、その圃場から収穫された麦は全量廃棄と規定されています。
麦角菌汚染粒が発見されるなど論外です。

そうした被害を出さないために、入念な種子選別や種子消毒が必要です。
栽培中も必要に応じて、1回または2回の農薬散布も求められます。

否、そんなことも何も知らずに先に麦作りを始めてしまった私ですが、幸いにも収穫された原穀の状態は今のところ至って良好です。

しかし、年々会を重ねるに連れ、何時病害が侵入するかも知れず、これからはそうしたことにも注意を払って行こうと思っています。

4回目の収穫も終わり、これから5回目の作付けに向けて圃場の整備に取りかかります。
病虫害対策も視野に入れなくてはなりません。
また収穫された原穀のカビ毒検査を受けることも検討中です。(何しろ高額の費用がかかりますので。)

こうして見ると、農業は、毎年一年生と言っても過言ではないような・・・。
否、プのロ仕事は何でもそうなのかも・・・。
がんばります!