日別アーカイブ: 2022年8月26日

食パン1斤、1000円の時代はもう来ている

この一年くらいの間、諸物価の上昇が顕著です。

その中で、ウクライナで戦争が始まってからというもの、小麦の価格が急上昇し食料品全体の価格に影響しています。
この10月にも、再び小麦価格が見直しされるようです。

皆さまご存知かどうか・・・、小麦は国家貿易品で価格は政府が管理しています。
そのシステムは、分かりやすく言えば、高く買って安く売るいわゆる逆ザヤです。
その補填費用は、税金が投入されています。
そのおかげで、製粉会社は安価に小麦粉を調達出来るのです。

何のことはありません、見かけ上小麦粉やパンその他の価格が安くても、実際には税金投入という形で国民が負担しているのです。
この10月の見直しでは、20%の価格上昇が避けられない状況だそうですが、政府は価格を据え置く方針を決めました。
なお一層税金による補填の割合が増えることになります。

こうしたやり方には、すでに多くの批判があって、国産小麦への代替が進まないなどの副作用も指摘されています。
私も、その通りだと思います。

以前、どこからも補助金を受け取らないで自家産した小麦を製粉して小麦粉とした場合、最低でも500円/kgにはなると申し上げました。
その粉を使ってパンを焼くと、食パン1斤で1,000円になるとも申し上げました。

否、実のところ、外国産小麦を使っていても、このところの価格高騰に対し市場原理に任せて何の補填もしなければ、すでに食パン1斤1,000円の時代が来ているのかも知れません。

この半世紀余り、日本は工業立国を指向して、農業はほとんど顧みられませんでした。
食糧は、いくらでも海外から安く調達可能だったからです。

そのおかげで、我が国の食料の自給率は先進国中最低で、カロリーベースで38%です。
小麦に関して言えば12%で、ほとんどを輸入に頼っている現状です。

特にパン用の小麦粉は、国産小麦では難しいと言われて来ました。
しかし、実際にはそんなことはありません。
最近では、外国産小麦に比べても遜色ない新品種も出来て、今後の普及が大いに期待されています。

あとは、現在の外国産小麦輸入に偏重している食料政策や農業政策を大きく転換して、食料自給に舵を切ることが求められると思っています。

参考記事 : 「税金投入で小麦価格維持の矛盾、9割輸入依存の痛恨」 日経ビジネス