アメリカ的なものへの決別

ノーベル平和賞を受賞したアメリカのオバマ大統領が、授賞式の席上で演説した中で、暗にイラクとアフガニスタンにおける戦争を正当化したことを巡って、今世界中で議論が百出しています。

多分こんなことは、今までになかったことです。
平和への貢献を認めて贈られる、世界一権威のある賞の受賞者が、平和の実現のために時に戦争という手段も必要であり、これまでのアメリカの武力行使はその意味において正当だと宣言したのですから。


アメリカという国・・・。
世界中の国々がアメリカの成功に倣おうとし、世界の覇者たるアメリカ・・・。

しかし事実を見る限り、一方で世界中に戦争の火種をまき散らして来たアメリカ。
冷静に思い起こせば、建国の歴史からして血に染まっていたのではなかったでしょうか。
かつてヨーロッパがアメリカ大陸の存在を発見した時、そこを「新大陸」と呼んだことは、先住民の側からすれば「傲慢」以外の何物でもなかったはずです。


また、アメリカが関わった戦争のほとんど全てが、アメリカ自身の画策によって始まったものであることは、後になって次々と明らかになりました。


しかし今私は、そのアメリカの人々を糾弾せよと言いたいわけではありません。
今、世界中の人々が、そしてアメリカの人々自身も、気づいて決別しなくてはならない何かがあると言いたいのです。


アメリカ的なもの・・・。
アメリカを、そして世界を動かしているメカニズム。

長い時間をかけて少しずつ形作られ、今この時代に姿を現したそれは、競争原理と産業と経済そして戦争も組み込んで出来上がった、まるで巨大なゲームマシンそのものです。
今や世界は、一大賭博場の様相です。

もはや誰もが、このゲームに加わらないわけには行かない。
そして勝っても負けても、次第に世界はお互いに疲弊しつつあるように見えます。

もちろん、自然の営みの中にも競争があり、闘いがあることは確かです。
しかし、人間はそこに際限なく残虐性を加えることが可能です。
このゲームに勝つために手段を選ばない、つまり回り回って戦争もありとするなら、そこから先は際限はないということです。


アルカイダ相手に交渉の余地はないのだと、アメリカが言うなら、アメリカを相手に他に方法はないのだと答えるでしょう。
長い歴史の中で、どちらが先に手を上げたのかを言い始めたら、全く切りのないことです。


この終わりのない罠と疲弊から救われるために、何に決別すべきか、それを考えなくてはならない時が来ていると思う私です。

寝床

夜、寝床に入る時、いつも決って思い浮かべることがあります。
それは、こうして雨風の当たらない屋根の下で、暖かい蒲団に包まって眠れることの幸せです。
事の始まりは山暮らしをしていた頃、氷点下の寒い冬の夜、蒲団に包まりながら、ふと外にいる鳥や獣たちのことを思いました。
自分の毛皮あるいは羽毛一重っきり、それ以外何もまとわず、木の陰か地面に掘った穴の中か、そんなところに隠れて寝ているのだろうな・・・。
でも大方ぐっすり寝てなどいられないだろうな。
それに比べたら、人間は何てのんきに眠り込んで、夢を見たりしてゆっくり目覚めるんだからな・・・。
そして次に、同じ人間でも、橋の下で寝る人もいたのだったと、そちらも思い出してしばし手を合わせ、いつの間にか眠りに落ちる私でした。


この頃になっても、やはり寝床に入る時は条件反射のように、同じことを思っている自分に少し驚きつつ、これは忘れてはいけないことなのだからと自分に言い聞かせています。


そんな思いと少し関係あるのですが、私は寝る部屋も蒲団の中も暖房していません。
寒い部屋の冷たい蒲団に入っても、すぐに温まって来るのです。
その体の健康にも感謝しています。


今日も、もうすぐ寝床の中です。

菓子屋の功罪

製菓業界に一つの法則があって、曰く「砂糖の使用量に比例して、売り上げが増える。」とか。
つまり、甘いものほどよく売れるというわけです。

一頃、甘味離れが話題になったことを覚えているのですが、その実どうだったのでしょう。
私の実感では、その法則はずっと生きていますね。
近頃は、若い人も年配の人も、「スィーツ」と名前こそ変わりましたが、甘味品への嗜好は多様化しますます強くなっているのですね。
甘いものへの需要が陰りを見せることはないようです。


一方、甘味品の摂り過ぎが健康によろしくないということは、前々から言われているのですね。
特にマクロビオティックの考え方では、砂糖は禁忌品と目されていますし、蜂蜜や果物さえも避けるべきと教えています。
その是非は賛否両論あると思いますが、甘味中毒というのは実際に起こり得る疾病なので、軽く無視しておけば良いというものではないと、私は思います。


人間の甘味への欲求には際限がないと言われています。
※そのへんのことは、<こちら>を参照していただきたいと思います。
しかしそうなると、いくらでも甘味を強くして嗜好を誘うことが出来るわけで、限度を超えれば明らかに健康に害が出ることは否定出来ません。
その限度がどの辺にあるのか、それがまたいろいろな意見があって難しいのですね。
人の味覚は、甘いとおいしいが微妙に重なり合っていて、はっきりと分け隔てることが出来ません。
つまり、甘いものはおいしい、おいしいものは甘い、と感じるように出来ているのですから。


実はその辺りに菓子屋の功罪があると思うのです。


食工房も、甘いお菓子を造っていますので、それが皆さんの健康にとって功となるか罪となるか、やはり気にしています。
もちろん、皆さんがそれぞれ自分に合った食べ方をコントロールすれば良いことなので、私が気にしても仕方がないのかも知れません。
それでも、食べた後になって「ああ、こんなに食べなきゃ良かった・・・。」と思われるようなお菓子でないことを願い、いつもそのコンセプトに基づいてレシピを練っています。


ちなみに、食工房のクッキーやケーキなどは、時々「甘くない。」とか「味がしない。」と言われることがあって、そういう時はいろいろな意味でちょっとショックです。


売れなきゃ困るけど、妥協は出来ない、したくもない。
万人に好まれるなんて所詮無理です。
例えお一人でも、おいしいと言ってくださる方がいれば、そこからスタートと思って今までやって来ました。


これからもその方向でやって行きます。
お付き合いのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

パン、値上げのお願い

先月の「パンだより」ですでに予告申し上げておりましたが、旧価格で仕入れた小麦粉が底を突き、いよいよパンの価格改定をお願いしなくてはならなくなりました。

そうは言っても、世の中はデフレ傾向が明確となり、値上げどころではない流れです。
ここでどういう判断をするか、難しいとろです。
値上げしてお客さまの反発を買うことになったのでは困りますが、我慢しているうちに経営が苦しくなって回らなくなったのでは、これまた仕方ありません。

結局、最低限度内の値上げということで、皆さまのご了承をお願いすることになりました。
実際に値上げになるのは、一部のパンです。
地元沼ノ平産のライ麦、小麦は契約価格なので、今回影響はありません。
プンパニッケルは、価格の変更はありません。
また焼き菓子類も、小麦粉の原材料費に占める割合が小さいので、今回は値上げを見送りました。
結局全体では、若干の利益減少となりますので、ここは皆さまの更なるご愛顧を賜ることで維持出来ればありがたいと存じます。


なお、実施は12月17日出荷分からとさせていただきます。
新価格の詳細は、とりあえず合わせて公開しました「パンだより49・冬至号」紙面をご覧ください。

メニュー表の更新は、この後作業いたしますので、今しばらくお待ちください。


  シュトレン 好評出荷中です。

すでに次々とご注文先にお届けしています。
おいしかったからと、もう一度あるいはギフト用にご注文くださる方も多数おられます。
今年は、バター不足の心配は全くないようで、このところ毎週36個ずつ、すでに160個余を製造いたしました。
まだまだ余力がありますので、さらに数を増やして、年明け以降にも出荷出来るようストックしておきたいと思っています。


皆さまからのご注文を、引き続きお待ちしております。
現在は、ご注文いただいてすぐに出荷が可能です。
どうぞよろしくお願いいたします。
シュトレンのご案内の記事は、<こちら>

海へ


強い西風に逆らって打ち寄せる大波は、後ろに向かって飛沫のアーチを描きながら迫って来ます。 



 この春眺めた高知の海とは、ずい分違う三陸の海です。
<こちら>をご覧ください。



 風が付けた紋様とカモメの羽毛
ここは「砂浜美術館」


昨日は、Altanのコンサートを聴くために、娘二人を連れて6年ぶりにいわき市まで出かけました。
連れ合いは、お留守番・・・。

何しろ遠い道のりなので、時間に余裕を見て大分早く出発しました。
こちらを発つ時、曇り空から冷たい雨がパラつく天気でしたが、浜通りエリアに入ると真っ青な空と暖かい日差しが待っていました。
会津の空と、何という違い!
「性格、変わるよねェ!」と思わず口をつきました。
庶民性は、その土地の気候にも大きく左右されると言いますが、その通りに違いないと思った次第。
逆に、会津人の寡黙さと辛抱強さにも納得する私でした。


そこで以前通い慣れた道を通ってみようと思い、高速道路を途中で下りました。
懐かしい道筋をドライブしているうちに、ふと海を見たくなり四ツ倉海岸まで行きました。
そこには、いつもお世話になっているふれあい物産館の「くさの根」さん<参照>があるので、そこで食事も出来るし女主人のNさんを驚かせてやろうと、いい思いつきに機嫌良く辿り着きましたが、何と!Nさんは入れ違いに喜多方方面にお出かけでした。

残念でしたが食事だけいただいて、海岸でしばらく過ごしました。
久しぶりに見る海は、やはり心を揺らすものを感じ、いつまでも去りがたい想いがありましたが、夕日を見ながらコンサート会場へと車を走らせました。



 いわき市での公演は、今回の日本ツアーの初日だったそう。


コンサートが素晴らしかったのは、もう言うまでもありません。
件の友人夫妻は、ロビーで歓迎コンサートに出演。
本番前の一時、いっそう気分を盛り上げるのに一役買っていました。
そして、Altanだけでもうれしいのに、もう一組のゲスト(カトリオーナ・マッケイとクリス・スタウト)も素晴らしい人たちで、こんな豪華なメニューを一晩で楽しめたのは、これ以上ないほど幸運なことでした。


会場で販売されていたCDを全部買いたかったけれど、とてもそんなわけに行きませんので、選びに選んで私と娘たちそれぞれ1枚ずつの勘定で3枚入手し、その場でサインしてもらいました。


かくして上機嫌で帰って来たのはいいのですが、この大散財の穴埋めをするために、今週は休日返上で仕事です。


  


  今週のクッキーとマフィンのお知らせです。


クッキーは、ジンジャークッキー、コーヒークッキー、わらいごまの3種類。


マフィンは、今週は4種類全部焼きます。

今日は大失敗

今日は、何年ぶりに酵母の醗酵を見誤ってしまいました。
否、冷静に思い出すと、ちゃんとサインが出ていたのですが、確実な対応が出来ていなかったのですね。
ですから、酵母のせいではなくて、あくまでも私のせいなのですが・・・。

それで今日焼きのパンは納得が行かず、全て自家用としました。
ああ、大変!

それはそれとして、今日はシュトレンも仕込みました。
こちらも酵母を使います。
さあ、これがどうなったか・・・?
36本ものシュトレンですからね。
金額から言っても大変な損害になります。

ところが不思議なことに(本当は不思議でもなんでもなかったのですが。)シュトレンの生地は、今シーズン最高の状態でした。
焼き上がりも最高です。

一体何故こんなことが起こったのか?
あまり詳しくお話しすると、酵母のノウハウを全て公開することになりますのでそれは出来ませんが、要は今日の場合、ただ時間を待っていれば良かったというだけのことでした。
だから午前中に焼き上がったパンは全滅。
午後遅くまで時間が延びたシュトレンは、最高の出来。

それにしても、こんな単純なことでも、その時には判断に戸惑いました。
何か未だ未知の領域があるのではないか、自分の知らないところで思いがけないトラブルが発生しているのではないか、そんな不安が頭の中を過って、ただ待っていればいいなんて結論は出せないのですね。
いい勉強になりました。
どこまでも奥の深い、天然酵母との付き合いです。


さて明日はいよいよ、楽しみにしていたAltanのコンサートです。
帰りは深夜になると思いますので、明日のブログ更新はお休みです。

B2

毎度、忙しい忙しいばかり申し上げて、恐縮です。
そう思っていたら、うちなんかよりずっと忙しいお仕事をしているところがあったのですね。
言うまでもなく、運送屋さんです。


食工房は、開店以来ヤマト運輸の宅急便を使っていますが、今日も集荷に来てくださった時点で一部梱包が間に合わず、うちからさらに山奥の地域へ回った後の帰り便に、もう一度寄ってもらいました。
いつも回って来るドライバーさんは決っていて、何人かメンバーがいるのですが、今日は中でも一番手際の素早いSさん。
最近、その彼がバリバリにハイテンションなのが分かるほどですから、どんなに忙しいのだろうかと想像しています。

ところでB2というのは、ヤマト運輸が業者向けに開発した、送り状発行システムの略称です。
自宅や会社のPCを使って、荷物に張り付ける送り状をプリント出来ます。
送り先や依頼主などのデータは、一度入力すればマスタ登録されていますから、二度目からは呼び出すだけですぐに発行出来ます。
間違いも少ないし、時間の節約にもなるし、専用の用紙は無料で供給してもらえますから、こちらはインク代だけ。
出荷後の追跡も、簡単に検索出来ます。
どの道PCを使っているのですから、取り入れて大正解でした。


と、そこまではこちらのメリットですが、実は集荷の際の大きな時間節約になることが、今日改めて分かりました。
送り状に刷り込まれたバーコードを読み取るだけで、瞬時に受け付け完了になるのです。
今日の荷物は8個。
彼が店に飛び込んで来て、荷物を抱えて出て行くまでに、1分くらいだったと思います。

「毎度ありがとうございます。宅急便です。」と言うが早いか、機械を取り出してピッピッと読み取り、十秒もかからず荷受け確認書のシールを発行して私に手渡し、荷物を抱えて駆け足でトラックとの間を二往復。
「ありがとうございました。」と言い残して、走り去って行きました。
いやー、忙しそうだなァ・・・とため息をつきながら、深々とお辞儀をする私でした。

明日にはもう皆さまのお手元へ、お荷物が届きます。

さあ、これからです。

今月は定休日から始まりましたので、食工房は今日から師走本番です。
昨日になって、パンのご注文がバタバタッと入って来て、けっこうな量の仕込みになりました。
午前中、娘たちに檄を飛ばしながら、自分もピリピリと緊張してスピードを上げていました。
宅配便の集荷の時間までには、焼き上がったものを包装梱包しておかなくてはならないからです。

今日は、どうやらセーフでした。
この前は間に合わず、後から宅配便の車を追いかけて、打ち合わせ場所まで出かけて行くはめになりましたからね。
そんなことが度重なったのではたまりません。


それにしても思い出すのは、山暮らしをしていた時のことです。
友人知人を相手に、パンやお菓子を焼いて宅配便で送って、現金収入の手段にしていましたが、焼いて一日、包装して一日、それから街に出かけるついでに出荷と、まあ何とものんびりとしたペースでした。


今は、荷物があってもなくても、毎日必ず集荷に回って来てくれます。
焼いたその日に出荷して、次の日にはもうお客さまの手元に届きます。
今時そんなの当たり前だよ!と言われそうですが、私は未だ適応し切れていません。



棚の向きが真っ直ぐになって、作業性が良くなりました。


ところで、店の方もちよっとした模様替えをやりました。
今まで使っていた、骨董品のような焼き上げラックを止め、収まりの良い寸法のワイヤーシェルフを、工房入口のガラス窓に向けて配置しました。


食工房のお店は、ご存じのとおり田舎の田園風景のただ中にありますので、ちよっと油断するとすぐに虫などが飛び込んで来ます。
街中でよく見かける、焼き上げ直売スタイルの売り方はとても出来ません。
全て一旦包装してから、売り場に出しています。


そこで、焼き上がりの様子が外から見えるようにと思ったわけです。
こんなことは、もっと早くに出来れば良かったのですが、開店6年も経ってやっと実現したというわけです。


さあ、忙しい上にも忙しい12月。
風邪を引かないよう注意して、がんばらなくてはなりません。

忙しい水曜日に・・・

毎週木曜日がパン焼きで忙しいのは、ご存じのとおりです。
木曜日に焼くパンのために、酵母種を戻しておくのは今日・水曜日
の日中からすでに始まっています。
ずっと1時間~2時間に一度、かき混ぜて空気(酸素)を送り込みます。
明日は早朝からの作業になりますので、今日のうちに粉の計量も終わらせておきます。

加えて明日は、明後日金曜日の支度をする時間がどうしても取れないので、それも今日のうちにやっています。
スコーンとマフィンの粉材料は、計量混合の後、冷凍庫に収まっています。
具にする材料は、計量の後冷蔵庫へ。


そして実は、それだけではありません。
午前中は、コーヒー豆の選別に時間を割き、午後から焙煎。
当然のことながら、一人では手が回りませんから、娘たちの手を借りています。

かみさんは何をしているのか・・・?ですって!
我が連れ合いは、通販のお客さま宛に手書きでお一人お一人に、納品書と手紙を書いているのです。
それ用の便せんには、毎月一枚ずつ新しい絵を描いて刷り込んであります。


かくして忙しい木曜日の前日の水曜日も、定休日どころではなくなりました。

でも、そんなやり方のおかげで成り立っているお得意さま方とのお付き合いは、もはや手離すことの出来ない大切な財産になっています。



 今月は鉛筆画で、お母さんと子どもたちの情景
同じテーマで、ポストカードもつくりました。

穏やかな休日

今日から12月。
今年も今月限りとなりました。

速いなぁ・・・、アッという間だったなぁ・・・、この一年。

でも今日一日は本当に穏やかに晴れて、初冬のひんやりとした空気を心地よく感じながら、時間を忘れて雪囲いの続きをやっていました。
手足や体を動かして、そう急かれているわけでもない用事に精出していれば、時間の経過はあまり気になりません。

今日の作業で、手間のかかるところは全部終わりました。

畑の大根も少し抜いて来ました。
蒔き遅れの白菜も、このところの暖かさで少しずつでも成長している様子。
きっちり巻かなくても、自家用なら問題ありません。
おまけにご近所からも沢山いただきました。


この冬も、ジャガイモとカボチャとサツマイモとそして大根と白菜は買わずに過ごせそうです。


 


一仕事終えたらもう日が傾いていました。
道路に伸びた自分の影が面白かったので、しばし自分の影と戯れました。



たちどころに童心に帰る私



これはどういう格好?