月別アーカイブ: 2021年9月

スペルト小麦の香り

スペルト小麦は、現在広く生産されている普通小麦の先祖に当たる麦で、古代小麦とも呼ばれます。

収穫後脱穀した時点で硬い殻に包まった状態のため、これを剥いて中身を取り出すのは物凄く大変な作業です。

今は、米用の籾摺り機で簡単に剥くことが出来ますが、昔の人はこの苦労を何とかしようと脱穀と同時に殻が飛ぶはだか麦にするために、ありとあらゆる品種改良の努力を重ねて、今の小麦を作り出したのです。

それにもかかわらず、スペルト小麦は忘れ去られることはありませんでした。
それどころか、新しい技術で簡単に殻を除去することが出来るようになると、俄然注目度が上がりました。

というのも、スペルト小麦は特別風味が良いのです。
特筆すべきはその香りで、それを言葉で表現するのはとても難しいのですが、麦芽の香りに最も特徴があることは間違いないようです。

食工房のパンだと、スペルト小麦丸がスペルト小麦全粒粉50%ですから、ほとんどストレートにその香りを感じることが出来ます。

今年産のスペルト小麦は、今まで以上にその香りが強いように感じます。
出来が良かったということでしょうか。
麦の品質が、ストレートにパンの品質に響いて来ることを、今まさに実感しています。

ところで、麦にもいろいろ種類があって、それぞれ性格の違いがありますし育て方も違います。
3年やって見て、おぼろげながらそれが分かって来ました。
来年に向けての課題として、それぞれの麦に合わせた育成法を考えて世話をして行きたいと思っています。

麦の品質が上がれば、もちろんそれを活かすために、パンの技術も向上しなくてはなりません。
ま、いつまでも終わりのない物語のように。

覚え書き

実は昨日、私の誕生日でした。
70歳の大台に乗りました。
ここから先は、いよいよ人生の最終ステージです。

ふり返って、70年という長い時間を無事に過ごして来られたことに、ただただ感謝の気持ちあるのみです。
おかげさまで体は特に不具合も無く、これと言って不満は無く心は静か、まだまだ好奇心を失ってもいません。
この後も、パン屋の仕事に、麦作りの仕事に、その他何でも、身を粉にして働きたいと思います。

そして、誕生日を祝ってくれた息子や娘たちに、友人知人の方々に、特別の感謝を。
昨日は、良い一日でした。

皆さん、ありがとう。
この気持ちを胸に、明日もパンを焼きます。

ライ麦とスペルト小麦の種まき完了

麦ラボ

中島第3圃場にて
スペルト小麦を播く上の娘


麦ラボ

中島第3圃場にて
スペルト小麦を播く下の娘


麦ラボ

中島第2圃場にて
ライ麦を播く私


麦ラボ

午前中から始めて、終わったのは午後4時半頃、早や日は傾き赤みを帯びた光線に照らされた圃場には、
作業の跡がくっきりと浮かび上がっています。

麦ラボの主力作物である、ライ麦とスペルト小麦の種まきが終わりました。

朝から一日かけての作業で、食工房の製造仕事は休みました。

しかし、この2種類の麦の種まきが終わったことで、先ずは百姓4年生に向けて大きく一段進んだことになります。

心地良い疲労感に、体中がしびれています。
デスクワークと違って、肉体労働には一種快感がありますね。

こうして動くことの出来る体の健康に、言葉では言い表せないありがたさを感じます。
疲れているのに、逆にいろいろな事への意欲が湧いて来るのですね。
不思議です。

今夜から、またIIDEの編集にとりかかります。
やる気です。

後先になりましたが、食工房は明日と明後日は定休日となっております。
お間違えのございませんように。

明日は種まきを

ライ麦とスペルト小麦の圃場の整備が終わりましたので、明日、種まきをすることにしました。

この先数日のお天気を睨んでいます。
台風が近づいて来るそうなので、そのタイミングで雨が降るでしょうから、その前に・・・という計画です。

多分ですが、台風は、こちら福島県会津地域には大きな影響はないものと思っています。
まとまった雨が一回降ってくれればちょうどいいのですが、もし大荒れでも、播いた種にはそれほどダメージはありません。

ライ麦15aスペルト小麦10aを、明日一日で播けるだろうと思っています。
そんなわけで、食工房の製造仕事は一時停止です。

クッキーなど焼き菓子の製造が思うに任せません。
品切れ続出で、ちょっと申し訳ない状況です。

否、何でそこまでして麦作りなんだ?と言われそうですが、それはもうすでに申し上げた通りです。
ある種、病気なんてすね。
自覚しております。はい。

電気柵の設置

麦ラボ

先に出来ていた囲いから分岐ざせて延長しています。


麦ラボ

この頃、田畑のあるところ、どこに行ってもこの風景です。

獣害対策のために電気柵の設置を進めています。

今日は、スペルト小麦の圃場とライ麦の圃場を一回りで囲いました。
イノシシ除けなので、2段張りで済ませています。

熊のこともあるのですが、とりあえず買った材料で足りる分でやっています。
来年は、地区の耕作者で団体結成して補助金を獲得をし、その時は熊への対応も考慮して3段張りでまとめてグルっと囲う計画です。

電気柵のために、電線の下1m幅くらいを徹底除草しましたので、何だか圃場周りの景色がツルッとして変な感じです。
まあこれも見慣れて来るのでしょうが。
ただ、見通しが良いのは、いいことです。

今日は、囲い終わった後、トラクターで耕耘しましたので、誰かが歩けばくっきりと足跡が残ります。
果たして、電気柵の中に入れるのは誰でしょうか。
明日の朝になれば分かります。

小刻みに降る雨

天気予報では触れられていない、予想外の雨が小刻みに降ります。
農作業の予定を立てるには、とても難しいお天気模様です。

明日はパン焼きの日なので、午前中は食工房に缶詰です。
午後になって少し時間が取れるでしょうか。

朝からずっと晴れていてくれればいいなと思います。
まあ、何とかなると思います。

種まきが終わったら、いよいよこれで百姓4年生進級です。
早くそうなって、進級祝いのパンセットを販売出来るよう楽しみにしています。

今年のパンセットには、デュラム小麦のフォカッチャと南部小麦のパン(何にするかは未定)も入れる予定です。

そこで改めて思いますが、麦は本当に可能性の大きな作物です。

日本の気候では難しいと、最初からチャンスを捨てるような考えが広がってしまったおかげで、価値の低い作物として片隅に追いやられてしまっています。

本当は違います。
ものすごく価値のある、また必要性の高い作物です。
麦の自給率を上げることは、日本の国力にも関係していると思っています。

小麦、大麦、ライ麦、スペルト小麦、デュラム小麦、ライ小麦、これらは、食工房がすでに手掛けています。

いつか、周りの農家さんや、農政担当の方の目が向いてくれることを願いつつ、パン屋の傍らこちらもこれから死ぬまで一生の仕事として、続けたいと思っています。

カメムシが、白鳥が・・・

この秋の季節の進み方が気になります。

今朝は、寝部屋の窓にカメムシが2匹止まっていました。
この時期、窓際でカメムシを見るというのは、寒さが近づいている証拠です。

もう一つ気になるニュース、ここからは離れていますが同じ県内の相馬市で白鳥が飛来したそうです。
例年よりずっと早い飛来だそう。

いずれも、寒さは早くやって来ることを告げているのかも知れません。

一方で、気象庁の3ヶ月予報では、10月初旬は気温は高め雨量は少なめと出ています。
麦の種まきをこの時期に当てようと計画しています。

果たしてどうなりますことか?その時になれば分かるのは当たり前ですが、種まきするにも段取りというものがありますから、前以て分かっていた方が良いに決まっています。

自然現象から得られる情報、気象庁の発表する科学的な情報、それらを総合的に判断しながらなお且つどんな時にも臨機応変に対応する、これが賢い百姓の心得と覚えています。

そしてパン焼きは、気温や水温、生地の管理温度、発酵時間など数値測定と制御など科学的アプローチで、狭いピークにピッタリ合わせなくてはなりません。
手を抜かず、正確にやることが何より肝要とは言え、こちらも百姓とは違った意味での臨機応変な対応が求められます。

どちらの仕事にも一番に求められるのは、職人気質でしょう。
私たちは、それを食工房病と呼んでいます。

日よけの撤去

春から今日まで、午後の西日を避けるために店の前に張っていた日よけを、今日撤去しました。
表から店の様子が見えていいですね。

いくら日よけのためとは言え、わざわざ隠しているような眺めになっていましたから。
これで入口上部のかけ看板も良く見えます。

そして中にいる私たちの方でも、外が見えるというのは、なにか安心感につながるのですね。
動物的感覚でしょうか。

本当は、工房内のその他模様入りのガラス窓も、すべて透明ガラスにしたいくらいです。
尤も、割れたりしない限り、わざわざ費用をかけて入れ替えるほどのことでもありません。

明日はまた定休日明けの木曜日、パン焼きの日です。
表が見えて、ちょっと気分も明るく仕事が出来るかも知れません。
いつもご来店くださる方は、「オッ!」と思われるかも・・・。

明日のお天気は、早朝まで雨、朝から上がってその後は晴れて来るようです。
皆さまのご来店を、心よりお待ちしております。

もうすぐ種まき

明後日は秋分の日ですね。
ここ東北会津では、お彼岸の頃に麦を播くのが丁度良いと覚えています。

もちろんその年によって季節の進み具合が違いますから、多少の前後はあります。
昨年は、寒さが早くやって来るかも知れないとの予想があり、今頃はもうほとんど播き終えていました。

結果として、降雪前に育ち過ぎてダメージが大きかったものですから、今年は少し遅らしています。
今はまだ圃場の整備をしているところで、電気柵の設置のために圃場の周りをきれいにしています。

草を刈り払い、焼き払い、丸刈りの坊主頭のような状態です。
場所によっては除草剤も噴霧しています。

電線の下のクリアランスは20cm、油断しているとすぐに草が伸びて接触しますから、シーズン中は草が生えないように除草剤を使わざるを得ない箇所もあるわけです。

まあでも、そうやって見通しが良いと、獣たちの方でも出て来難いので、いいといえばいいのですね。
ただね・・・、道端のちっちゃいスミレとか、楽しめなくなりましたね。
どの道、イノシシがガボガボに掘り返すのですから、道草なんか無くなってしまって酷いものですが。

まあそうやって電気柵で囲っておいてから、もう一度耕耘して、それからやっと種まきです。
食工房の仕事もこなしつつ、合間合間に少しずつ進めています。

明日と明後日は定休日です

今日は敬老の日で休日、先週末から3連休でしたが、食工房へのご来店はごく少数。
コロナ禍の影響は、まだまだ大きいと感じます。

いつだったか、久しぶりに来られたお客さまが、こんな状況で行っちゃあ悪いかも・・・と言っておられました。
そうした気持ちが働くことも、影響しているのでしょうね。

思い出して見ると、この一年半ほどの間ずっと、店頭の様子はすっかり変わってしまいました。
静かと言うか、さみしいと言うか、にぎわいとはおよそ無縁な風景です。

以前のように、試食品を手に取ってもらったり、コーヒーサービスをしたりすることは、今はしたくても出来ません。
何だかなぁ・・・。

一方、娘たちのワクチン接種後の副反応が結構強くて、今日も食工房の製造仕事は出来ませんでした。
私は、一人でも出来る作業を細々こなして、後は圃場の整備に時間を充てました。

そんなこんなで営業の一週間も、静かに終わりました。
明日と明後日は定休日です。