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思いがけない所にも弊害

クマの出没に翻弄されたここ数ヶ月です。
その害というものは、襲われてケガをしたり亡くなったりするような直接の害だけでなく、もっと離れた直接的には関係が無いような部分にも及んでいます。

たとえば、周辺にクマが出没する可能性があるというだけで、歩いて出かけるということが出来なくなります。
ゴミ集積所にゴミを出しに行く、郵便局に用足しに行く、となりの家に回覧板を持って行く等々、それまで何の支障もなく歩いて用が足りたことも、いちいち車に乗って出かけなくてはなりません。

そしてそれだけではなく、散歩に出かけることも出来なくなります。
健康のために毎日歩くのを日課にしている多くの人も、やがて運動不足に陥り健康を損なうことにもなりかねません。

子どもたちも、外で遊ぶことが出来なくなります。

コロナ禍の時を思い出します。
これはもう災害です。

余裕のない一年

今年は、全く余裕のない一年になっています。
残すところあと一ヶ月余り、この年末最後はどうなることでしょうか。

ふり返れば、今年はまず1月2月の大雪に始まりました。
食工房の営業にも大きな影響がありましたし、最後に除雪に活躍してくれていたトラクターが大損傷、もう一つあったロータリー除雪機も同じく大損傷で使用不能になりました。
トラクターは、大決心の末買い換えましたが、ロータリー除雪機は修理も出来ないままになっています。

そしてもう一つは、獣の害です。
クマの出没が例年にも増して急増し、近くで人身被害も発生し全国ニュースにもなりました。
そのせいかどうか分かりませんが、ご来店くださるお客さまの数が激減しました。
またクマの出没に対応するために時間を割かねばならず、業務にも少なからぬ支障が出ています。

いつものこの季節なら出来ているはずの冬支度が、まだまだしばらく先までかかりそうな状況、時間切れで雪が降り出してしまうかも知れません。
そのようなわけで、今年は貧乏くじの大当たりです。
あと一ヶ月でいくらかでも盛り返して、少しはいい気分で年を越したいものです。

幸いクマの気配はしなくなりましたので、食工房の仕事も集中度が上がっています。
がんばります。

と、その前に、明日と明後日は定休日です。
先ずは深呼吸して、気合いを入れます。
ではでは。

クマの気配、遠退く

一週間前の夜を最後に、どの地点のカメラもクマの姿を捉えることが無くなりました。
食べ跡、足跡、漕ぎ跡、糞などの痕跡もありません。

この状況で判断出来ることは、多分、この周辺の間近に冬眠場所はないだろうということです。

それから今、山の奥にはドングリが沢山落ちて食べ放題の状況があるのだろうと推測しています。

今年は、例年と比較して圧倒的に多数のクマが捕獲駆除されましたので、山の中の生息密度が幾分低くなった可能性もあります。

もうそろそろ冬眠に入る時期にも差し掛かっています。

そして、このあたりの強い排除圧力が、多少なりとも功を奏しているかも知れません。

それとかかわりがあるかどうか分かりませんが、イノシシも出て来ていないようです。

その代わりにかどうか知りませんが、シカの鳴き声を度々聴きます。
今のところ、川の向こうのエリアです。

とりあえずそのようなわけで、降雪も近いことから、電気柵の撤去作業を始めました。
設置の時よりはずっと速いとは言え、結構な手間暇がかかります。

ま、クマとはしばらくの間、休戦です。

さて明日は、また定休日明けの木曜日、パン焼きの日です。

おかげさまで、収穫の恵みパンセットが大好評、そのため仕込みがいつもより多くなっています。
ありがたいことです。

明日も、温かいコーヒーなどご用意して、皆さまのご来店をお待ちしております。

どこに居ても、どこに行っても

昨今のクマ出没に関わる騒動を見ていると、もはやどこに居ても、どこに行っても、いつでもクマに遭遇する可能性があるのだなと思わずにはいられません。

よほど大都市の中心市街地ならいざ知らず、地方の小都市では県庁所在地のような大きな街の中心市街地にもクマが出没し、空き地や公園は言うに及ばず、住宅地や学校や商業施設その他にも侵入しています。

当然のことながら、ケガ人も発生していますし、亡くなられた方も少なくありません。

これからは、自分のいるところはもちろんですが、どこかに出かける時も、行った先の安全を常に気にしながら行動しなくてはならなくなりました。

また、夕方は暗くなる前に帰ろうとか、逆に早朝は避けようとか、様々行動に抑制力が働きます。
多分、ありとあらゆる社会活動、事業、商売などに少なからぬ影響が出ていることと思います。
それらによる損失は、もはや無視出来ないほど大きくなりつつあるのではないでしょうか。

さすがに、クマをこのままにして置いていいはずが無いと、誰もが思い始めているでしょう。
世の中も少しずつ動き始めたように見えますが、実際に変化が見え成果が上がるまでには、まだまだ時間がかかると思います。

戦いは、これからです。
必要なのは、市民である私たちの覚悟です。
それが無いと、行政や警察や自衛隊が何をしようとしても、どこかで暗礁に乗り上げ行き詰まります。

クマは、いなくていいです。
心配しなくても、絶滅させることは恐らく出来ませんから、とにかく今は徹底的に数を減らして行けば良いのです。
そしてクマだけでなく、シカもイノシシも、ニホンザルも、野生動物の数は今よりずっと少なくていいはずです。

直接的な獣害はもとより、感染症などの間接的な害も、本当は知らないだけで実は大変深刻です。
もっともっと、獣たちの及ぼす害の実態を詳しく知る必要があると思っています。
そしてそれらを承知した上で、自然との付き合い方もあるのだということを、強く感じるこの頃です。

定休日という名の多忙日

明日(11/18・火)と明後日(11/19・水)の2日間、食工房は定休日となっております。
お間違えのございませんよう、よろしくお願いいたします。

一方、私にとっては、休養出来ればいいのですが、そうも行きません。
生活上の必要に迫られて、いろいろな用事が山積みです。

昨日も申し上げましたが、直ぐにもやらなければならないのが雪囲いの設置です。
あといろいろありますが、間に合わなければ間に合わないで、どろなわでも何でも最後までやるだけです。

己が選んだ道を歩いているので、何にしたって嫌々ということはほとんど一つもないのが、何よりの救いです。

ま、辛く苦しい時が多々ある一方、うれしい瞬間もいっぱいあります。
と言うか、喜びと言うのは、ほんの一瞬でもそれまでの苦難をすべて消滅させるほどの力がありますからね。

物事、終わり良ければすべて良しの倣いに従って生きて行けば間違いないと思っています。

さあ、明日も忙しい一日になりそうです。

クマはどこへ行った

数日前を最後に、周辺からクマの気配が消えました。

7台設置してあるトレイルカメラのいずれにも、クマの姿はなくキツネやタヌキなどが見られるのみ、イノシシの姿もありません。

クマに関しては、冬眠を前に居場所を変えた可能性があります。
とすると、この近くでは越冬するクマはいないのかも知れないと、淡い期待も持てる状況です。

ここ最近の相次ぐ駆除対応などで、クマたちは強い排除圧力を感じているのかも知れません。
尤も、まだもう少し先まで様子を見ないと、正確なところは分かりませんが・・・。

で、一昨日の夕方でしたが、ここから1kmほど離れた集落で、子グマが単独で目撃されたようです。
ひょっとするとですが、タルコの子で生き残ったピタコが生き延びようとしてあちこち放浪しているかも知れません。

それは別にしても、行く末は厳しいと思います。
多分、当年子の子グマが単独で冬を越すことは、ほぼ不可能です。
気の毒ですが、冬の間にどこかで息絶えてしまうでしょう。

明日から厳しい冷え込みが来るようです。
降雪の予報も出ています。

私にしても、まだ何の支度も出来ていません。
雪囲い、電気柵撤去、周辺の片付け、そして除雪機の修理、どれもこれも手が付いていません。

みんな、クマのせいです。

紅葉がきれい

今年の秋は、厳しい残暑で始まり、今頃になって今度は急な冷え込みがやって来ています。
このような急激な温度変化があると、紅葉が鮮やかに美しくなると言われています。
ここ数日、それをそのまま絵に描いたような鮮やかな紅葉が見られるようになりました。

こんな時、明るい林の中を歩きたいものですが、ちょっと待った!クマが・・・というわけで、二の足を踏んでいます。

でも、遠目に見ても、とてもきれいです。
今日は秋晴れの空の下、鮮やかな紅葉が目に沁みました。
そして夕暮れ時、夕焼けに染まる紅葉は、炎の様に燃えていました。

ふり返れば飯豊山はもう真っ白。
きれいな景色に囲まれて、ここはいいところです。

クマの動き、また変わる

以前にもそういうことがありましたが、ここ数日来、トレイルカメラに全くクマの姿が映らなくなりました。
この前のタルコ駆除を境に、クマたちの動きに変化が起こったのかも知れません。

あと一つ、p6地点から上った先にある墓地で、今、墓仕舞いの工事が一件進んでいます。
朝から夕方まで、工事関係の車両が止まり、複数の人が出入りしているため、クマは敬遠しているようです。

ここは、クマにとってもその他の獣にとっても、重要な通り道になっています。
そこを抑えられているので、動きが変わったとしても不思議ではありません。

一方で、イノシシの姿が見られるようになりました。
クマが出没している間、どこに行ったものか全く姿を消していたのですが、入れ替わりにその姿がトレイルカメラに映るようになりました。

冬眠の時期が近づいているクマですが、こうした撹乱要素が働くと、スムーズに冬眠に移行してくれるかどうか心配になります。

ま、クマが冬眠してくれても、今度はイノシシとの戦いになるので、それはそれで困ったものです。

今私が一番欲しいもの、それはマタギの心得と銃です。
無理は分かっています。

タルコ駆除、そして

子グマ一頭を連れて度々出没を繰り返していた母グマ・コードネーム =タルコは、今朝方わなにかかり駆除されました。

一方、子グマ・コードネーム=ピタコは、わなにかかっていなかったため取り逃がしてしまいました。

私も駆除に立ち会いましたが、この時、タルコの体のサイズや特徴を知ることが出来ました。
特に重要な情報として、胸の月の輪と呼ばれる白い部分の写真を撮りましたので、あとでトレイルカメラに映っている映像を見ながら詳細に検証した結果、タルコに間違いないと結論しました。

しかしそれで一件落着ではありませんでした。
実は、トレイルカメラが捉えた母子グマの映像の中に、タルコ+1ではないものがあったのです。

それは、11/3の記事の中で触れた情報です。

この時の子グマ一頭を連れて現れた母グマを、このエリアでこのタイミングならタルコ+1に間違いないはずと思い込んだのは無理もないことでしたが、それがそうではありませんでした。

今日、実際にタルコが駆除されたことで、それがはっきりと分かりました。

ということは、このエリアの中にもう一組いるということです。

子グマは2頭というのがよく見るパターンなので、子グマ1頭=タルコと思い込んでしまったのですね。

この他に、単独行動のクマも複数いることが分かっていますので、このエリアだけで一体何頭のクマがいることになるのか、ちょっと想像しただけでパニックになりそうな状況です。

人と野生動物の関係性は、これまでとは異なる次元に入ったかも知れない

私がまだ小さい子どもだった頃、普通に言われていたことは、「野生動物たちは皆、本能的に人間を恐れているのだ。」というものでした。

私も、それを疑うこともなく信じていましたし、実際野山で野生動物に遭ったこともありませんでした。

一人で山の中を歩き回っても、何も不安を感じることはありませんでしたし、中学生の頃、一時間以上もかけて山道を歩いて登校して来る子もいました。
冬など、暗くなった山道を一人で歩いて家に帰って行く子もいました。
本人も親たちも、先生も友だちも、誰も心配なんかしていませんでした。

それが最近はどうでしょう。
その変り様は、にわかに理解が及ばないほど大きなものに思えます。

この私にしても、大人になってもずっと以前の常識が通用するものと信じていましたし、人と動物たちの関係性を疑うことなどあり得ないことでした。
クマがいるここ会津に暮らすようになってからも、しばらくの間、相変わらず能天気な感覚でいたことは確かです。

しかし、ここ十年ほどの間に、少しずつ感覚が変わって来たと自覚しています。
きっかけは、実際にクマに畑を荒らされ、一夜でかぼちゃが全滅、続けて次の一夜でトウモロコシが全滅の被害を受け、仕掛けた箱罠に特大サイズのクマがかかり、その姿を目の当たりにしたことでした。
その迫力に、頭が真っ白になったことを、強烈に今でも覚えています。

それでも、クマは真昼間に人の前に出て来ることはありませんでした。
まだ、どこか人を警戒する態度が感じられ、日中ならクマが歩いたであろう場所を歩くことに、さほど大きな不安は感じませんでした。
※実は、その思い込みはとても危険だったと、今は理解しています。

そして最近に至って、クマをはじめとして野生動物たち全体が、いつの間にか人への警戒心を持たなくなっていることに気が付いたのですね。

どうして?と言うなら、それは私たち人が動物たちに対して何もしないで来たからに違いありません。
一部の狩猟を趣味や生業にする人を除けば、一般の我々は、野生動物たちのことにかまう機会はなかったのですね。

一方で、動物愛護の思想だけはどんどん普及して、ますます強固な信念にまでなった様相があります。
そのような時間が過ぎて行く間に、動物たちがどのような学習をし続けて、どのような感覚を持つに至り行動するようになって来たか、そのことにまだ気がついてもいないというのが、私たちの現在地です。

本当は、人はあらゆる生き物たちの中で、一番身体能力が劣る動物だということです。
しかし一方で、持てる知恵を駆使して、卓越した狩猟者になったこともまた確かです。
過去何万年かかったか知りませんが、そうして野生動物たちに恐れられる存在となったのも、また人類でした。

その魔法が、あろうことか最近解けてしまった感があるのですね。
人は、本当は簡単に倒せる弱い生き物だ・・・ということがバレてしまったかも知れません。

もしそうだとしたら、取り返しのつかない大失敗をしてしまったことになります。
これからは、人は、クマなど強い動物の餌食になる存在として、自然界での位置づけが確定してしまうということです。
異なる次元に入るということは、つまりそういう意味です。

何とかして、それを回避しなくてはなりません。
今からでも間に合うでしょうか。

最近、そのことがいつも頭から離れない私です。