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次亜塩素酸水をめぐるメディアの報道について

先日も触れていますが、独立行政法人:製品評価技術基盤機構(略称:NITE)が次亜塩素酸水のコロナウイルスに対する消毒効果について、現段階では効果を確認出来ておらず、なお継続評価中とする発表を行っています。

これを各新聞社、NHKをはじめとするTV各社などの報道機関が、ニュースとして伝えたわけですが、結果として、「次亜塩素酸水は効果なし、かえって有害・・・」と受け取った人が多くいたということで、混乱が生じています。

食工房では、私の考えとして次亜塩素酸水の有効性と安全性を疑っていませんが、多くの方が不安に思われているなら一時的でも使用を中止すべきと判断し、お客さまの手指消毒用に提供することを止めています。
また加湿器による噴霧も休止しています。

私は、このメディアの報道について、発表当初から何かおかしいのじゃないか?という印象を拭えませんでした。
ジャーナリスの多くが、ごく初歩的な化学的知識すら持ち合わせることなく、記事を書いているのではないかと。
そうしたところ、当の独立行政法人:製品評価技術基盤機構(略称:NITE)が、メディアの報道にクレームを付けましたね。

とにかくこうしたことは、先ず第一は化学的知識に基づくこと、もう一つは我が国の法律に関する知識に基づくことが重要です。
化学的なことについては、以前にも取り上げて、別な参照情報サイトをご紹介していますので省きます。
後述の動画を見ていただく方が良いと思いますので。

一方法律的なことですが、次亜塩素酸水は、法的には一部食品添加物として認可されているものがあります。
もしくは、雑貨品としての扱いになっています。
消毒剤として販売するためには、医薬品または医薬部外品としての認可を取得する必要があります。

すでに、コロナウイルスそのものを使った効果検証も行われていて、良い結果が出ている例もあるのですが、それを以てしても、今のところ消毒剤として販売することは出来ません。

噴霧についても、加湿器は家電雑貨であり医療用機器ではありませんから、同様ウイルスに対する効果を宣伝することは出来ません。

安全性についても、いくつか検証結果がありますが、消毒剤ではないあるいは医療機器ではない以上、これも同様です。

しかしそれを以てして、効果なし、かえって有害・・・との印象を広めてしまうのは、賢明な行動だとは思えません。
ひよっとすると、とても貴重な資源を見失ってしまうことになるかも知れないからです。

初歩的な化学的知識があれば、家庭でも手作りできる次亜塩素酸水が、本当に役に立つものであるなら、こんな素晴らしいことはないからです。

こうした報道を真に受けて、市民の中にさえ次亜塩素酸水を力強く否定する意見を言う人がいることに、私はものすごく残念で悔しいことと思っています。

お時間のある方、以下の動画をぜひご覧になってください。


「NITEの中間報告について、資料を見ながら話します。後半はコメント返し」

やっぱり、アルコールが買えない

今日、娘たちが仕入れと消耗品の買い出しに出かけました。
で、やっぱり・・・、アルコール除菌液を買うことが出来ませんでした。

店頭にお客さまの手指消毒用に置きたいということももちろんありますが、日常の業務でもよく使います。
無いと、業務にも支障が出ます。

当然メーカーは増産を図っていることでしょうが、十分な供給量に達するまでには時間もかかることでしょうから、ここ当分不自由しそうです。

それにしても大変な事態になって来たと思っています。
皆さまはどのようにお感じでしょうか。

恐怖心に駆られて冷静さを失うことはもちろん避けたいことですが、かと言って根拠もなく楽観的になるのも避けたいものです。
私は、これからしばらくの間、商売も生活も大変な状況になるかも知れないと、半ば覚悟をしています。

今この状況で一番避けたいことは、知らない間に自分が感染して、潜伏期間中に家族やご近所の方やご来店のお客様などにうつしてしまうことです。
もはや感染の機会は、そこいらのどこにあるか分からない、否、どこにでもあると考えた方がいい状況ですから、感染の状況を注視しながら、対応し切れないと判断した時は臨時休業に踏み切ることを躊躇しないと思っています。

加藤厚生労働大臣も、今日の記者会見で言っていましたが、感染拡大のスピードを抑制することは何より重要です。
それにより、ピーク時の発生数を少しでも少なく出来るからです。
発生数が医療の対応能力を超えないことは、絶対条件ですから。
国民一人一人がよく考えて、今は、国の方針に協力しなくてはならない時だと思っています。

新型コロナウイルス肺炎、どうしましょう

ここ数日の動向を見ていると、新型コロナウイルス肺炎は、もはや市中に拡散を始めたと受け溜めなくてはならない段階になったようです。
すでに三次感染、四次感染が起こっているということです。

ワクチンが出来るのはまだまだ遥か先のことだし、治療法も確立していないし、私たちに出来ることは、せいぜい感染しないように注意することくらいです。

健康で体力のある方は、感染しても無症状または軽い症状のうちに治癒回復することも多いらしいですから、そうであれば幸運だったということになりますが、逆に他人にうつしてしまうリスクはないわけではありませんから、重症化するかも知れない高齢者などにうつしてしまわないよう、自らの行動には注意していただきたいですね。

そして一方、私のようにお客様相手に商売している者は、自分のことだけでは済まないのですね。
店が感染の中継地点になってしまっては大変ですから、当面出来ることは、店の入り口に除菌スプレーを置くことでしょうか。
早速実行したいと思います。

あとは様子見ですが、感染が広がり出したら、お出でくださる方も少なくなることでしょうし、もし自分自身に感染の疑いが出た時は、過たず休業の判断をしなければなりません。
なかなか難しい状況になって来たと思っています。

とりあえず明日も明後日もは営業、皆さまのご来店をお待ちしております。

新型コロナウイルス肺炎の憂鬱

目下世界を震撼させている新型コロナウイルス肺炎ですが、ここに来て新たなフェーズに入ったと思います。

もっとずっと早い段階でなら、特定の場所の中で淘汰することが可能だったかも知れませんが、もはや広く環境中に放たれてしまったも同様だと受け止めなくてはならなくなりました。

発生国の中国の対応の拙さが、その原因の一つである事は確かですが、今それを言っても始まりません。
反省は後でしてもらうとして、とにかく今は世界中で感染の拡大防止に努めることがまず第一でしょう。

それにしても先行きの見えなさには、憂鬱な気分にさせられます。
何か似たような気分を味わったような気がすると思っていたら、思い出しました。

そうです、あの震災の時に同時発生した原子力災害です。
あの時も得体の知れなさ、先行きの見えなさに、不安を感じ憂鬱な気分が続いていました。
どちらが・・・と比較しても意味の無いことですから止めておきますが、注意しなくてはならないことは案外似ているような気がします。
マスク、手洗い、うがい、消毒など、一つ一つ手を抜かないで丁寧に注意深く行うということですね。

もし感染を疑う状況になった時は、迷わず医療機関を訪ねることでしょう。
そうしないと、周りに感染者を増やす可能性があるからです。
人から人に感染して行くのですから、自分だけという考えが一番悪い結果を生むことになると肝に銘じておきたいと思います。

しかしそれにしても、医療体制の行き届いている日本は幸せです。
その貴重なリソースを浪費することのないよう、日々を注意深く過ごしたいと思います。

キャッシュレス決済、どうする

今日から消費税が10%になりました。
あわせて、キャッシュレス決済によるポイント還元も実施されています。

食工房はどうするの・・・?とそんな声は特に聴こえては来ませんが、世の中はキャッシュレスに向かってはいるのかな・・・と思ったりします。

少し前でしたが、中国系のキャッシュレスPay Pay を勧める電話が繰り返しかかって来たことがありました。
キャッシュレスに関心が無いわけではありませんが、今はキャッシュレス決済の黎明過渡期ですから、それこそ数えきれないほどの決済サービスが名乗りを上げて、○○Payを導入しませんか・・・とプロモーション合戦の最中です。

これから先、何度も統合再編が起こり、その間に数限りないトラブルも発生するでしょう。
この前の7Payみたいなお粗末な事例もありましたし、それに忘れてはいけないのは、決済サービスは大なり小なり手数料が発生するってことです。

現金売りならその場で100%回収できる売り上げも、時間を経てしかも手数料を取られてやっと手元に回収出来るわけですから、小さい金額ではメリットはありません。
そんなわけで、丁重にお断りしました。

利用する方にとっては、ポイント還元の恩恵を受けられない現金取引だけでは、ある意味ガッカリされるかも知れませんが、まあこれはもう仕方ありませんね。

この先、国が主導して責任も負いながらキャッシュレスを進めるという方針なら、従わなくもないと思っていますが、果たしてそこまで行くのかどうかです。

そのようなわけで、食工房は、まあ当分キャッシュレス導入はないと思っていてください。
申し訳ありません。

アメリカは、本当に戦争する気なのだろうか・・・

今日8月15日は終戦記念日、日本の降伏により第二次世界大戦が終結した日ですね。
72周年を迎える今年の終戦記念日は、何とも憂鬱な気分で迎えることになりました。

言うまでもありません。
北朝鮮とアメリカの関係が、これまでになく緊張しているからです。
ここ数日来の双方の激しい言葉の応酬に、ひょっとすると戦争が始まるかも知れないと感じたのは、私一人ではないと思います。

彼の大戦後の負の遺産とも言える、東西あるいは南北に分断された国の中で、朝鮮だけが未だに南北二つに分断されたままです。
しかも紛争は目下休戦中というだけで、終結したわけではありません。
この先何時ということは別にしても、近い将来何らかの決着を付けないわけには行かないでしょう。

当時とは、世界情勢も周辺国情勢もすっかり変わってしまいましたが、今度は北朝鮮とアメリカが直接対立しているのですね。
そして周辺国である韓国と日本はこれに深く関わっており、何かあれば巻き込まれないわけには行きません。

数日前北朝鮮が予告したとおりに、グァム島に向けてミサイルを発射したとして、一体どのようなことが起こるのでしょう。
アメリカは、言葉通りに北朝鮮を攻撃するでしょうか?
もしそうなったら、日本も韓国も地獄を見ることになります。

逆に、とりあえず危機が回避されたとして、今度は北朝鮮は確実に核保有国への道を進み続けるでしょう。
そして近い将来、アメリカを筆頭とする核保有国に対し、相互確証破壊の関係に入ることになるでしょう。

そうなったらそうなったで、朝鮮半島情勢はもちろんのこと、日本も大きく影響を受けないわけには行かないでしょう。
それもまたある意味地獄です。

現実的に考えて、この際、我が日本にはどのような選択肢があるのかないのか、とてもとても難しい、悩ましい状況下にあることは間違いありません。

私は、政治家でもなければ評論家でもありませんから、具体的な考えは申し上げませんが、この際、国際間の平和とはどのようにして維持され得るのか、理想の平和思想非暴力無抵抗主義は一個人の在り方として可能であるとしても、社会国家に対してそれを求めても、決して実現することはないのかも知れません。
自らの利益のために樹策を巡らし暴力さえ肯定する人たちも共にいるのが、この世界の現実ですから。

憂鬱です。

風評被害、今更に・・・

今朝のNHK県内ニュースで、私たち生産者としては大変気になる情報が流れていました。
福島県産の食品が、相変わらず風評被害にさらされているという内容でした。

実は東日本大震災後、消費者庁が全国の主要都市の消費者を対象に、食品における残留放射能のリスクに対する意識調査をしています。
第1回の平成25年3月から今年10月まで、半年に一度合計8回の調査の結果が公表されています。※1

この10月の調査の結果を見て、特に注目したいのは、福島県産の食品が放射能検査を受けていることを知らないと答えた人が、34.8%(3人に1人以上)もいたということです。
この数値は、調査開始以後、若干の起伏を伴いつつも少しずつ増えています。
そして、福島県産の食品の購入をためらったり避けたりする人も16.6%いて、こちらは調査開始以後微減傾向ですが、前回の調査比では0.9%増です。

その他の項目も合わせて全体から見えて来るのは、消費者の方々の関心離れの傾向と、その一方で何となく気分的に福島県産を敬遠しているという傾向です。
日々努力している私たちとしては、大変ショックと言うか、言葉を失う結果です。

一方、人の関心なんて案外そんなものなのかも知れない・・・、とも思います。

もちろん今後も、検査は継続して受けますし、情報の公開もして行きます。
しかし、やたら声高に叫んでも、届かないものは届かないし、伝わらないものは伝わらない・・・。
限界を感じます。

出荷量が、5年経った今でも震災前の半分以下という生産者は、少なからずいるのです。

残留放射能の害は、もはや実体は無くなっていると言って良いのですが、その印象だけが風のように漂って、人々の心に不安をまき散らしているのですね。
まさに風評被害、今更に・・・という実感です。

※1 詳しくご覧になりたい方は、消費者庁のホームページの「食品と放射能に関する消費者理解増進の取組」のページを参照してください。<参照>

私たちは、誰を何を相手にしているのか・・・

先日、「こんな記事が目に留まりました。」とご紹介した記事<元人質が語る「ISが空爆より怖がるもの」>をお読みになられましたか?
そしてこの記事をお読みになられた方、どのような感想を持たれたでしょうか。

この記事を書いたブレイディみかこ氏のもう一つの記事があります。
<パリ同時多発テロ:レトリックと復讐。その反復の泥沼>

この二つの記事を読みながら、私は、ISに関して、私たちは、一体誰を何を相手にしているのか・・・本当に分かっているのだろうか・・・と思わずにはいられませんでした。

私たちが、彼らのテロ行為に対し断固たる態度で制裁を叫ぶ姿は、彼らにとっては祝福なのであり、ますます彼らを勢い付かせる力にしかならないとしたら、他に私たちは何が出来るでしょうか。

件の記事にもあるように、先に我々を殺すことが出来れば自分は喜んで殺されたい(または自殺したい ※自爆テロのこと)という敵を目の前にして、自己を防衛するために何が出来るのか・・・、そこはよくよく考えて見なくてはならないでしょう。

そしてもう一つ忘れてはならないことがあると思います。
それは、ISのメンバーは皆、私たちのいるこちらの社会・世界で生まれ育った子どもたちだということです。
※ISのメンバーは、ほとんどが若者だということを念頭においてください。

そして、次々と志願してメンバーに加わる若者が後を絶たないということは、それは私たちのいるこの社会・世界の病理だということでしょう。
こちら側に原因があるかも知れないという視点に立たない限り、テロを根絶することなど出来はしないと思うのですが、いかがでしょう?
それに関連して、もう一つ興味ある記事をご紹介します。
CUI BONO (得をするのは誰だ)

この記事を読んでも分かるとおり、ISから石油を買って彼らを潤しているのは誰なのでしょう?
そしてその金で武器弾薬を買わせて潤っているのは誰なのでしょう?
そうやって彼らに力を与え、ますます強大化させるエネルギーを送っているのは一体誰なのか・・・。

今や世界の脅威となったテロに対し、私たちは、誰を何を相手にしているのか、実は分かっていないのではないかと思う私です。

世界は、悩み深き時代に・・・

言うまでもありません。
先日、フランスはパリで起こった同時多発テロ。

いろいろな意見が飛び交っているようですが、多くの人は戸惑いを隠せないようです。

私は、思っています。
とうとうここまで来たか・・・と。

そしてこれは、私たちが今まで信じて来た常識とか正義とか善と呼ばれるものの中に、何か決定的な間違いがあったのかも知れないと。
それは何だろう・・・。

そう簡単には答えは出ないと思います。
でも、気づかなくてはならないでしょう。
このままでは行き止まりにしか見えませんから。

この次、どんなことがこの世界に起こるのか・・・。
あまり考えたくありませんが、向き合わないわけには行かないでしょう。

自分が当事者になることがないとは、もはや誰にも言えない状況に、この世界はなってしまった・・・。

この先何年、否何十年、世界は悩み深き時代に入ったのだと思っています。


カレンダー

2016食工房オリジナルカレンダー

モノが手に入らなくなる時代

全く漠然としていて分からないタイトルを付けていますが、最後にはご理解いただけるものと思って進めます。

皆さまご存じの通り、食工房の看板メニューの一つにライ麦のパンがあります。
現在、地元の農家さんに作付けしていただいたライ麦を使用して、大変納得の行く製品づくりが実現しています。

これが昨年の今頃は、カナダ産のライ麦を仕入れて使っていて、その品質が例年になく悪くて困っていました。
あの小さい麦粒を、目視手選別していたのですよ!
たった1㎏を選別するのに1時間もかけて・・・。
当然、仕入れ先にクレームを申し入れましたが、明確な返答はありませんでした。

そしてライ麦の収穫期を迎えて、やっと地元の農家さんから原穀が入荷して一安心した頃、カナダ産ライ麦の仕入れ先からは、結局天候不順による減収のため前年度分の在庫終了、新年度分は港湾労働者のストライキの影響で現地で船積みが出来ないため、入荷の目途が立たないという通知が届きました。

ま、こちらとしては、その時点でカナダ産に頼る必要が無かったので、そのまま聞き流していたのですが、どうやら大変なことになっていたらしいのですね。
今日また改めて届いた通知によると、昨年夏に収穫されたライ麦原穀は、まだカナダを出てもいない状況だとのこと。
日本への到着は、2月以降かさらに先になる見込みだそうです。

そしてこれも前例があって分かっていることなのですが、日本に着いてからも通関業務が渋滞して数か月間税関に留め置かれることも珍しくないのですね。
そうこうしているうちに、今年の収穫期にかかりますよ!
1年遅れで入荷だなんて、笑い話にもなりません。

食工房では、2008年から地元の農家さんにライ麦と小麦の作付けをお願いして来ており、量的には間に合わないことが多いものの、次第に定着しつつあります。
いずれ近い将来、ライ麦だけでも100%地元産を実現したいと思って取り組んでいます。

それはそれとして、輸入品の入荷が思うに任せないという今回のような状況、一体何が起こっているのでしょう?
アメリカ西海岸の港湾労使交渉の問題も、なかなか根が深そうで、一気に解決は望めそうにもありません。

また日本の税関業務の渋滞も以前から慢性的で、コーヒー豆でも新豆の入荷を長いこと待たされた覚えがあります。
そして仮にそれらの問題がなかったとしても、昨年のライ麦の場合のように不作で、欲しくてもモノが無いということもあり得ます。

私たちの生活を支える重要な物資が、手に入らないという事態がある日突然やって来る・・・みたいなことが、これから次々本当に起こるのかも知れません。
自分たちの足元、もっと気をつけて見なくては・・・と思っている私です。

参考資料 アメリカ西海岸における港湾労働労使交渉の顛末(2014年の資料)

国内でも物流危機が・・・ 「NHKクローズアップ現代・モノが運べない!?物流危機」