国産小麦のパン

国産小麦の粉ではパンはつくれないと、教わったような気がします。
いつ誰にだったかは忘れてしまいましたが・・・。
パンづくりは強力粉でするもの、お菓子づくりは薄力粉と、それが決まりのように・・・。

国産小麦はグルテンの含有量が少ないので、パンづくりには向かないのだと、製パン製菓業界では常識のように語られ、一般の方でもパン教室に通えば、まず教え込まれるのがこれです。

ところで先日、広島のパン屋さんが、一年間休業してヨーロッパでパン修行の旅をしていることを、このブログで取り上げました。<参照1>

今、スペインを歩いておられ、旅先からブログで報告される現地の様子と食べたパンの数々に対する考察は、私が最近薄々気づき始めていたパンに対する疑問を、見事に払拭してくれています。<参照2>

その中で特筆すべきは、必ずしも強力粉のパンがすべてではなく、中には薄力粉で焼いたパンもあったと言うことです。
まさにいろいろなパンがあって、いろいろな食べ方があるということ。

日本だったら、ご飯と一緒に並べられるような惣菜に、パンを添えて食事をしている、そんな例もあるのですね。
日本人の好みに合うパンに対する考察も大変参考になります。

そしてここ一ヶ月間のご報告を拝見していて気がついたのは、日本の国産小麦も結構イケるんじゃない!ってことです。
否、そんな予感があったからこそ、国産小麦だったんですよ!実は。
食糧自給や安全性はもちろん重要ですが、おいしいということはもっと大事なことだと思います。

そこでまた一つ、ヤマザキを筆頭とする大手製パンメーカーのして来た仕事というのは、ある意味とても罪深いものだと思うのですね。
だって、大方の日本人のパンに抱くイメージは、彼らによって作り上げられたものですから。

時間はかかるかも知れませんが、日本人の心の中に刷り込まれた、パンのおいしさの定義を書き換えたいですね。
そういう仕事がしたいものです。

そこでまた話しが飛躍しますが、問題はTPPですよ!
外国産の小麦が関税なしで入って来るとなると、国内産の小麦との価格バランスは一気に崩れてしまいます。

輸入小麦の価格は1/4に、国産小麦の価格は逆に4倍にもなるかも知れません。
そうなったら、外麦原料1斤50円の食パンに対し、内麦原料1斤1000円の食パンということになるでしょう。
貧乏人は、安い輸入原料のジャンクフーズを、金持ちは、国産の安全でおいしいオーガニックフーズを、そんな構造が現実になるかも知れません。

食工房は、いったい誰を相手に商売が成り立つのか、悩むことになるでしょう。
国産小麦のパンを、いつまで皆さまにお届け出来るか・・・。
そう・・・、パン屋の目にも、この国の未来は見えているのです。

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