酪農家のご苦労

昨日、べこ乳マルシェに子牛を連れて来てくださった酪農家の方とお話しする機会がありました。

その中で、子牛たちは間もなく離乳期で、この後北海道に送られて成牛になるまで過ごすのだと伺いました。
私は、北海道の大規模牧場に養育を委託する方がコスト的に安上がりなのかなと、まず経営上のことが頭に浮かんだのですが、そうではありませんでした。

実は福島県では会津でさえ、未だに地元の牧草は使っていないとのことでした。
もちろんこれまでもそして現在も、定期的にモニタリングをしていて、牧草自体は不検出レベルになっているのだそうですが、ごく微量でも、牛の生体内で濃縮されて乳に出て来るということが絶対ないとは言えないので、わざわざ遠方の北海道で育てるとのことでした。

成牛になってからは、購入飼料で飼育するので手元に戻って来るわけですね。
ちなみに子牛は、軟らかい草を食べさせるのが一番だそうです。

見えないところでこんな手間ひまをかけている酪農家のご苦労を思うと、福島県の農産品に対する数々の誤解に、改めて憤りを禁じ得ない私でした。

聞いたところによると、福島県の農産加工品を販売する業者に、福島県や国が補助金を出す事業があるのですが、この中で今年の3月を以て打ち切られた事業があり、それに合わせて取り引きを打ち切られた生産者が少なからずいると言う実態を、皆さまはご存知でしょうか。
会津中央乳業さんでも、こうした事例があったそうです。

こういう話を聞いて、私は思います。
補助金が出るから福島県産品を積極的に取り扱う、そして補助金が切れたら取り引き終了、これって何ですか。
お金だけが目当てということですよね。
福島の復興に貢献したいという志なんか、これっぼっちも感じません。
そしてそれは、生産者と消費者を同時に裏切る行為だと思います。

こんな補助金の出し方、愚策ですね。
何の支援にもなっていません。
こんな風に税金の無駄遣いになっている補助金が、実は沢山ありそうです。
もっともっと考えてもらいたい。

福島県産の農産加工品、生産者製造者のこうした苦労のおかげで、実は最高の品質になっているということ、もっと理解していただきたいと思っています。

酪農家のご苦労」への2件のフィードバック

  1. MIKIO AOKI 投稿作成者

    さいとうさん、コメントありがとうございます。
    福島の生産・製造品の地位が回復されるのは、まだまだ遠い先の話のように思います。
    でも、心ある方々のご支援に支えられて、善い仕事が残るのだと思っています。
    厳しい現実だけど、いい試練と言うか、良心を試されると言うか、真っ当な考えを持って臨まなくては、福島で仕事は出来ません。
    これからもがんばります。

    返信
  2. さいとう

    福島の復興や原発の問題は終わっていないのに、知らないところで実は知らなくてはいけないことがどんどん決まっているような気がして今の政治は不安ですね。

    震災及びそれによっておこったいろいろなことが、何もなかったようになっているのが気になります。

    必要以上に過敏になってモニタリング値を厳しくしていたり、基準値内なのに買うのを控えている人がまだまだいるのは悲しいことですね。

    返信

コメントを残す