ちょうどピッタリにカサが上がりました。
昨年の11月に入った頃からでしたが、食パンのカサが上がらなくなり、食感はもちろんですが風味も微妙に変化しました。
その前までずっと会心の出来が続いていただけに、大変ショックでした。
焼いたものの出荷を断念したことも、一度ならずありました。
食パン以外のパンも、その時は特に不備不足はないように思えましたが、今思えばやはり微妙に違っていました。
その原因が、まずは酵母の発酵管理にあるものと考え、徹底的にいろいろと試行錯誤しましたが、年末までかかって尚解決しませんでした。
年が明けてさらにその状態は続き、少なからぬ不満を抱えながらパンを焼く状況でした。
最近になって、否、実は当初からもう一つ疑っていたことがありました。
それは、小麦粉の品質そのものが変わったのではないかということでした。
製粉会社が製品として出している小麦粉に、それほど大きな変化があるはずがないという思い込みもありましたので、そこを疑うことは敢えてしていませんでした。
しかしどう考えても腑に落ちない状況がいくつかあり、試行錯誤の中で、これはもう小麦粉の品質が変わったこと以外に原因はないと判断するに至りました。
尤も、小麦は農産物ですから年々の出来不出来が当然あるわけで、単一品種限定の小麦粉では、その影響が少なくないことは予め承知しておくべきでした。
東北地方は、昨年夏に収穫された小麦の作柄が良くなかったのです。
地元の農家さんの小麦も、一見問題ないようでしたが、蛋白(グルテン)含有量が落ちました。
小麦の年度変わりは、例年10月から11月にかけてなので、ちょうどこの頃にパン生地の状態や酵母種の状態が変化したことは、符合するのですね。
今日のパン焼きで酵母培養に使う小麦粉も含めて、東北産の南部小麦の割合を減らし、北海道産のゆめちからの割合を上げたところ、思っていた通りパン生地の状態が以前のようになりました。
焼き上がったパンも、食感、風味共に元に戻ったように思えました。
それでもなおまだ少しの不満が残っていますので、北海道産の別な種類の粉もサンプル購入してあり、近々テストする予定です。
思った通りのパンを焼くためには、農業にも深く関わらざるを得ないですね。
近々お知らせすることになりますが、実は、新規就農することになりそうです。
もちろん麦を作るために。