一人で出来ない大きな事、あるいは複雑な事を成し遂げるために、他人と力を合わせることはよくあることだと思います。
そうした時、息が合うということが大切であることは、まあどなたも否定しないでしょう。
で、ちょっと音楽の話しになりますが、私たちの国日本で息を合わせると言えば、皆で声をそろえて一つの歌を歌うとか、拍子を揃えて鐘や太鼓を打ち鳴らすとか、そういう情景がまず目に浮かびます。
迫力ある和太鼓の演奏なども、リズムで言えば基本的には頭が揃っています。
息を合わせると言うのは、頭を揃えるという感覚なのですね。
私自身の感覚でも、これは無理の無い自然な感覚として受け入れられます。
ところが世界に目を向けると、すごく不思議なと言うか手の込んだ息の合わせ方があるのですね。
例えば、スペインのバスク地方の伝統的な打楽器にチャラパルタ(Txalapartaと表記する)というものがあります。
これは、分厚い木の板(時に金属や石ということもあります。)を並べただけの素朴なものですが、これを二人の奏者が横に並ぶか向かい合うかして、両手に一本ずつ持った木の棒(合計4本)で叩きます。
どんな演奏が聴かれるかは、あとで動画を見ていただければ分かります。
ここで特筆に値するのは、二人の奏者は決して同時に叩くことは無いということです。
4本の手が交互に動いて、ものすごい早打ちをしたり、信じられないような複雑なフレーズを出したりします。
まるで4本の手を持った一人の人間が演奏しているかのような、否、それどころではない神業のようなリズムを打ち出すのです。
これもまた二人の息がピッタリ合っていなければ不可能なことです。
でも、私たちのような頭を揃えて一斉行動する息の合わせ方とは、どこかが違います。
世界には、こういう感覚を介する人たちが少なからずいるようです。
インドネシアのバリ島のガムランやケチャもその類に属します。
※2人だけでなく、4人あるいは6人で、2台または3台のチャラパルタを演奏することもあるみたいです。
そこで思うのは、こうした感覚を持っている方々と私たちが、息を合わせて何かをすると言うことになった時、何が起こるだろうかということです。
何かとても面白いことになりそうな・・・。
一方、その方々と戦争しなくてはならない局面となった時、多分作戦の立て方とかがまるで違う発想の上に乗るのではないか・・・、そんなことも思います。
何はともあれ、件のチャラパルタの演奏をお楽しみください。