今一度、次亜塩素酸水を考察する

一年前の今頃、手指消毒用のアルコールが品薄となり、どこを探しても手に入りませんでした。
ネット上では、法外な高値で転売されていたりして、こんな時に何という不心得な行為だと憤りを禁じ得ませんでした。

そんな折、次亜塩素酸水が注目され、自治体の中には簡易な方法で調合した次亜塩素酸水を、市民に無料で配給するところもありました。

ところがその後、経済産業省の中の一団体である「独立行政法人 製品評価技術基盤機構(nite)」が、各種消毒液に関する評価をする中で、次亜塩素酸水については有効性および安全性について未確認(評価の対象外としたため)とする見解を公表しました。
このことがきっかけになり、次亜塩素酸水に対する見方は一気に否定的になりました。
冷静に受け留めれば分かることですが、発表は次亜塩素酸水について評価しなかっただけで、有効とも無効とも、あるいは安全とも危険とも言っているわけではなく、一方で民間の団体の研究では有効性や安全性が確認されているとする情報が沢山あり、危険だとする情報はありませんでした。

唯一注意しなければならなかったのは、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムを混同する事例があったことです。

メディアの報道でも、次亜塩素酸水は否定的に扱われそのように報道されていました。
そんな状況を見ながら、私は関係者の勉強不足と無理解を嘆いたものです。

その後、niteは次亜塩素酸水の有効性を確認したと発表しましたが、それは必ずしも民間の研究結果と一致するものではなく、次亜塩素酸水に対する否定的な見方を解消することは出来ていません。

そして現在でも、次亜塩素酸水は市民権を得ておらず、その事が逆に次亜塩素酸水に対する理解が深まることを妨害していると、私は思っています。

さて、そこまで申し上げた以上、私が何故次亜塩素酸水を推すのか、そのことに触れて置かなくてはなりません。

次亜塩素酸水とは、次亜塩素酸の水溶液のことを指します。
殺菌あるいはウイルス不活化の効き目の本体は、次亜塩素酸です。

次亜塩素酸の殺菌および不活化の仕組みは、アルコールや界面活性剤のそれとは全く異なり、活性酸素の酸化作用によるものです。
塩素の毒性によるものとする説明も散見しますが、正確ではありません。
あくまでも、主になるのは酸化力です。

そして、私たちの体内でリンパ球(白血球)の一つである好中球が飲み込んだ細菌あるいはウイルスを、酵素反応により生成した次亜塩素酸を作用させて効率的に殺菌、不活化を行うことでも知られているとおり、体内免疫物質の一つです。

この次亜塩素酸による殺菌、不活化の優れている点は、細菌やウイルスの側に耐性が生じないという点です。
またコロナウイルスなどとは違うノロウイルスや芽胞菌にも効果を発揮します。

このように優れた性質を持つ次亜塩素酸を利用することを、否定的に扱うのは何故なのでしょう。
確かに、最低限の化学的知識は必要かも知れません。
しかしそれは、中学校の理科程度のものです。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いが分かれば十分と言えます。

一方現在、次亜塩素酸水は、薬機法における消毒液には分類されておらず、一般雑貨としての扱いです。
それを良い事に、次亜塩素酸水をネット上で販売する業者が無数にあります。
中には、決して良心的とは言えないものもあり、いずれ当局から的外れな規制がかかり、せっかくの次亜塩素酸水を使えなくなる可能性があります。

その場合でも、個人が自分のために、調合精製して用いる分には問題ないと思いますから、私が実行している簡易な調合精製方法を、この場に紹介しておきます。

手法としては、炭酸中和法による微酸性または弱酸性次亜塩素酸水精製と言うことになります。

材料となるのは、次亜塩素酸ナトリウム溶液(6%濃度・ピューラックスなどの商品名で販売されています。)、強炭酸水、水道水、これけだけです。

また、正確な計量をするために、100ccのメスシリンダー、正確な目盛の付いた10ℓ程度のプラスチック製調合容器(農薬などを調合するために売られているものがあります。)を用意します。

そして、出来上がった次亜塩素酸水の液性を確認するために、ピペット、ビーカー、pH試験紙またはpH計、有効(残留)次亜塩素酸濃度試験紙を用意します。

いずれも、インターネット上にてAmazonなどで、容易に入手できます。

先ず作るのは、有効次亜塩素酸濃度250mg/L≒250ppmの次亜塩素酸水10ℓです。
アルコールの代わりに、手指の消毒、物の表面の清掃など、広範囲に使用出来ます。

精製した後の保存期間については、1ヶ月以内を目途にしています。
真夏の気温が高い時では、1ヶ月で若干pHが上昇し、有効(残留)次亜塩素酸濃度が20%くらい下がります。
以下、画像を挟みながら説明します。

次亜塩素酸水

主成分になる次亜塩素酸ナトリウム液(6%濃度)は、20Lタンク入りの物を購入。
1.8ℓ入あるいはもっと小さい容器のものもあります。


次亜塩素酸水

一度に使用する量が微量なので、小出ししやすい容器に移し替えます。
6%次亜塩素酸ナトリウム液は、淡い黄緑色をしています。


次亜塩素酸水

メスシリンダーで正確に40mLを計量します。
となりのペットボトルは、炭酸水です。


次亜塩素酸水

正確な目盛の付いたバケツを使って調合します。
はじめに、10ℓ以内で半量以上程度の水道水を入れておきます。
そこに、6%次亜塩素酸ナトリウム液を投入します。


次亜塩素酸水

次に、強炭酸水500mLを投入。


次亜塩素酸水

全体量10Lになるまで水を足します。


次亜塩素酸水

出来上がった次亜塩素酸水の液性を調べるためにpH試験紙またはpH計と次亜塩素酸濃度試験紙は必須です。


次亜塩素酸水

pH値は、6と7の間ですから、約6.5と読み取れます。


次亜塩素酸水

先端の部分が液に触れると発色します。
5段階の色見本と比較しながら、およその濃度が判断出来ます。
この場合は、計算値も参考に約250mg/Lと判別。

出来上がった次亜塩素酸水は、ポリタンクに入れて冷暗所に保管します。
太陽光に当てると、紫外線の作用で分解が進み、効果が失われます。
このままあるいは2倍程度に希釈して、スプレーボトルやポンプボトルに入れて使用します。
アルコールのように手が荒れることもなく、引火の危険もありません。
外出の際はいつも、スプレーボトルをポシェットに入れて首から下げて歩きます。
何かに触る度に、手指にスプレーしています。
★参考資料
家庭で作る次亜塩素酸水 作り方 ノロウイルス、インフルエンザ対策、空間除菌消臭
Wikipedia 「好中球」
「次亜塩素酸水」

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