デュラム小麦に関する考察

麦ラボ

デュラム小麦のセモリナ
カッターナイフで切断して、断面を出して見ました。
芯まで半透明の黄色です。

日本の気候では栽培が難しいと言われて来たデュラム小麦ですが、近年国産品種も開発されて、日本国内でも作付けされる例が出始めています。

デュラム小麦は、別名マカロニ小麦とも呼ばれます。
小麦には大まかに二つの系統があって、一つが私たちが良く知っているいわゆる小麦粉、これはパン小麦という分類になります。
そしてもう一つがマカロニ小麦です。
こちらは、主にイタリアでパスタの原料として使われている小麦です。

少し前、パスタがブームになったことがありました。
今では、パスタとイタリア料理は、日本でもすっかり定着していますが、当時から国産原料でパスタを造りたいという需要は当然あって、普通の小麦粉で挑戦する例も多々見られました。

そんな中、地中海型気候の瀬戸内の広島県で、国産初のデュラム小麦の品種が開発されました。
その名も「瀬戸デュール」。

行政、食品業界、(独)農研機構などが組んで、地域の特産にしようと積極的に取り組んでいます。
現在は、すでにパスタの製品が出来るところまで進んでいるようです。

さて一方、食工房でデュラム小麦の栽培を何故やるようになったかと言えば、結構長い話になります。

食工房では、ライ麦全粒粉を使っていますが、当初、カナダ産のライ麦原穀を仕入れて自家製粉していました。

ある時、原穀の状態が大変良くない年があり、ライ麦自体の品質も良くありませんでしたが、多くの雑多なゴみなどが混ざっていました。
それを目視で取り除かなければならず、大変な思いをしたことは言うまでもありません。

しかし、その中に所在不明の穀物が沢山混ざっており、どれもほぼ麦に間違いなさそうでした。
そこで、上の娘が興味を示し、一粒ずつ鉢植えにして様子を見ました。

その結果、十種類近くにもなるそれぞれ特長の異なる麦が成長しました。
インターネット上で散々調べ回った結果、いくつかの麦は品種を推定することが出来ました。

その中に、デュラム小麦と思しきものが3種類あり、その中の一つが今実用段階にまで栽培量を増やしたデュラム小麦です。
★参照~デュラム小麦の脱穀

詳細な品種のプロフィールは、もちろん分かりません。
異物として混入していた数粒の麦ですから。
ただ、デュラム小麦としての特徴は確実に備わっており、この麦がデュラム種であることは間違いありません。

今回、満足な品質の原穀が得られましたので、セモリナを得るべく精麦機にかけて見ました。
セモリナというのは、穀物の粒の芯の部分だけを削り出したもののことです。
お米で言えば、酒米の精米のようなものです。

さて、その精麦機にかけること4時間、最初の大きさの半分ほどにまで削られた粒を見て、改めて感激せざるを得ませんでした。

黄色い色が特徴のデュラム小麦ですが、何たって粒の芯まできれいな透き通るような黄色なのですから。
画像を見ていただいて分かる通り、断面は中心部分まで一様に黄色です。
まるで乾麺のスパゲティを折った断面の様です。

明日は、これを粉に挽いて見るつもりです。

こんなデュラム小麦が、雪国会津で育っているのです。
まだ誰に認められたというわけではありませんが、本当は凄いことです、これは。

そして実は、あと2種類のデュラム小麦も、大変興味深い性質を持っていることが分かって来ました。
そのうちの一つは、古代種の可能性があります。
もう一つは、早生で短稈種、そして越冬特性に優れています。

ま、それらは先の楽しみとしておいて、早速来週からになりますが、フォカッチャの再開とオンラインストア での新発売が実現する運びです。

どうぞお楽しみに。

デュラム小麦に関する考察」への2件のフィードバック

  1. arz2bee

     これは凄い。デユラム小麦が半透明の黄褐色とは知りませんでした。それにしても混入から見い出してものにするなんて、凄いですねえ。

    返信
    1. MIKIO AOKI 投稿作成者

      arz2beeさん、コメントいただきありがとうございます。
      私もびっくりでした。
      昨年それに気づかなかったのは、出来が良くなかったからです。
      きれいに芯まで黄色いものだけでなく、白濁して中は白くて柔らかいでんぷん質の粒もあるのです。
      ちなみに、デュラムとは硬いという意味のイタリア語だそうです。
      確かにデュラム小麦は米粒のような硬さで、だからセモリナを削り出せるのですね。
      しかし、製粉は大変です。

      返信

コメントを残す