スペルト小麦は、現在広く生産されている普通小麦の先祖に当たる麦で、古代小麦とも呼ばれます。
収穫後脱穀した時点で硬い殻に包まった状態のため、これを剥いて中身を取り出すのは物凄く大変な作業です。
今は、米用の籾摺り機で簡単に剥くことが出来ますが、昔の人はこの苦労を何とかしようと脱穀と同時に殻が飛ぶはだか麦にするために、ありとあらゆる品種改良の努力を重ねて、今の小麦を作り出したのです。
それにもかかわらず、スペルト小麦は忘れ去られることはありませんでした。
それどころか、新しい技術で簡単に殻を除去することが出来るようになると、俄然注目度が上がりました。
というのも、スペルト小麦は特別風味が良いのです。
特筆すべきはその香りで、それを言葉で表現するのはとても難しいのですが、麦芽の香りに最も特徴があることは間違いないようです。
食工房のパンだと、スペルト小麦丸がスペルト小麦全粒粉50%ですから、ほとんどストレートにその香りを感じることが出来ます。
今年産のスペルト小麦は、今まで以上にその香りが強いように感じます。
出来が良かったということでしょうか。
麦の品質が、ストレートにパンの品質に響いて来ることを、今まさに実感しています。
ところで、麦にもいろいろ種類があって、それぞれ性格の違いがありますし育て方も違います。
3年やって見て、おぼろげながらそれが分かって来ました。
来年に向けての課題として、それぞれの麦に合わせた育成法を考えて世話をして行きたいと思っています。
麦の品質が上がれば、もちろんそれを活かすために、パンの技術も向上しなくてはなりません。
ま、いつまでも終わりのない物語のように。