スコーンの糸引き現象の原因が分かったのをきっかけに、製造環境全体の衛生管理を見直すことにしました。
まず、パンや焼き菓子は、庫内温度が200℃に達するオーブンで焼いた時点で完全に滅菌されるはずと思いがちですが、実はそうではないのですね。
水分のある生地を焼くのですから、水分が無くなるまで焼くのでなければ、表面はともかく内部は100℃を超えることはありません。
たいていは80℃くらいに止まるようです。
これでは、バチルス菌の淘汰など望むべくもないことですから、何か別な方法を考えなくてはなりません。
※バチルス菌は、150℃ 30分間でも完全には死滅しない。
防腐剤あるいはpH調整剤などの添加物に頼る方法が先ず一つです。
これに関しては、重曹+りんご酢の件で説明した通り、化学反応によって酢酸ナトリウムが発生するので、ある程度の殺菌効果が期待出来ます。
それから、ヨーグルトなどの乳酸発酵製品を原材料の一部として使用することで、バチルス菌を抑制する効果があるそうです。
このあたりをもっと詳細に化学的に検証して、確実な殺菌効果を発揮出来てしかも風味に響かない配合を編み出せないか、研究して見たいと思っています。
あと一つは、製造環境のクリーニングの意味で、オゾン発生器による環境除菌を検討中です。
あるいは、次亜塩素酸水の活用も可能ではないかと、そちらも検討しています。
尤も、酵母菌や乳酸菌も一緒に淘汰されたのでは元も子もなくなりますから、使用する場面や使用方法などは、細かく検討する必要がありそうです。
ちなみに、本年の食品検査では、スコーンを検体として提出しました。
※年一回以上、製品の生物化学的検査が義務付けられています。
結果は、一般生菌数 10未満/g 大腸菌群 陰性 /0.1g 黄色ブドウ球菌 陰性 /0.01g でした。
これなら、糸引き現象が発生する懸念はないものと思います。