食品に関し、「無添加」と聞くと、大方の人は良い印象を持ちます。
わざわざ商品ラベルに「無添加」と謳っている例もあります。
食工房は、大多数の製品を無添加で製造していますので、そういうスタンスなのだと思われがちなのですが、何も頑なにそれにこだわっているわけではありません。
以前は、無添加です!と宣伝することもありましたが、最近は無添加と言う言葉を発することはほとんどありません。
ところで、無添加業界の方でも、ベーキングパウダーだけは疑いなく使用している例が多く見られます。
そして、何に対するこだわりなのか知りませんが、同じベーキングパウダーでもアルミフリーのものを使用していることをわざわざ告知している例もあります。
いずれにしても高度な化学合成品であることに違いはなく、食品成分表上の分類も食品添加物です。
そもそも、主成分の重曹が食品添加物です。
食工房では、焼き菓子の一部に、膨張剤として重曹(炭酸水素ナトリウム)を使用しています。
そしてこれだけでは炭酸ガスの発生が弱く、また重曹特有の臭いや味が残りますので、中和剤としてりんご酢またはクエン酸を調合しています。
ベーキングパウダーのように一剤ではなく、その場で合わせなくてはならないので使い勝手が悪いのですが、風味や食感に関してはこれが一番良い方法だと思っています。
したがって、この手法で製造する製品は無添加とは言えませんし、そのような説明をしたこともありません。
さらに、出来上がった製品のpHを低く保つために、若干中和剤として加えるりんご酢またはクエン酸の量を多くしています。
詳しくは申し上げませんが、化学的計算により正確にpH値を決定出来ます。
実際の製品を用いて実測したところ、pH=5.5~6.5 でした。
これにより、雑菌による劣化をある程度防ぐことが出来ます。
ちゃんとした防腐剤や品質保持剤には敵いませんが、脱酸素剤を併用することにより、寒い季節では一ヶ月程度品質を維持出来ます。
ちなみに夏場では一週間です。
とりあえず今はこの方法で落ち着いていますが、食品添加物についてあらためて一から勉強してみようかなと思っています。
その上で使うか使わないかを判断するのが、本当の意味で賢明な判断だと思うからです。