食工房麦ラボでは、もう10年余りにわたり小麦の研究を続けています。
事の発端はすでに何度かお話していますので省略しますが、その中で古代小麦はとりわけ重要なテーマです。
これまでに入手した古代小麦の品種は、スペルト、エンマー、コーラサン、アインコルンの4種類ですが、スペルト小麦だけはいち早く実用段階に達し、今年は400kgを超える収穫を得ました。
残る3品種は、種の保存のみを細々と続けている状況ですが、今年はちょっと珍しい現象が起こりました。
というのは、コーラサン小麦が発芽した中にアルビノが出現したのです。
アルビノというのは、体細胞中にメラニン色素が欠落する遺伝疾患がある個体です。
そのため、外見が真っ白に見えることから「白子」とも呼ばれます。
アルビノは、凡そほとんどの生物種に見られる現象で、人を含む動物にもまた植物にもその例が見られます。
植物の場合、光合成色素の欠落が起きているので、発芽はしてもその後の成長は出来ず、種子の栄養分を使い切った時点で枯死するとされています。
とにもかくにも、世にも珍しい古代小麦のアルビノ出現です。
最後まで観察します。
一方、これら3品種の古代小麦ですが、少しずつ種を増やして実用段階に持って行きたいと考えています。
5㎏くらいになれば、畑1枚くらい作付け出来ますから、そこから100kgを超える収穫が得られるでしょう。
安定的に維持するためにはそのくらいの規模にした方がいいですね。
その価値は十分にあると思っています。
ま、それをするだけの余力があるかどうかは別にしてですが。