いい匂い、食工房のパン

もう、何度も申し上げたかも知れません。

しかし、お客さまから度々そうしたご感想をお聞かせいただきますので、こちらとしても二度三度ならず申し上げたことを承知でも、改めてまた自慢したくなるのですね。

とにかく食工房のパンはいい匂いがするとのご感想です。

宅急便のドライバーさん曰く、食工房のパンを積んで走っている間、荷室を開ける度にパンのいいにおいが漂うと。
お届けした先のお客さまは、箱を開けてまずそのいい匂いに感激されるようです。
また納品に伺った業者さんでも、コンテナを開けて検品の時に、「いい匂い!」と仰います。

そのパンをつくっている私たちは、酵母種の時からパン生地まで、そして釜入れして焼いている最中、焼き上がりの時、袋詰めの時、それぞれずっといい匂いを嗅ぎながら作業していますので、ちょっと慣れっこになっていて、逆にお客さまのような新鮮な感激を味わうことは無くなっているのかも知れません。

いずれにしても、そのいい匂いの元は、一つは酵母種です。
もうかれこれ35年以上、継ぎ足し継ぎ足し使い続けている酵母種です。
毎回、継ぎ足すのは小麦粉と水と砂糖と塩、これだけなのにあの香りが出るのですから、これはもう魔法みたいなものです。

そしてもう一つは、小麦粉です。
自家産のライ麦やスペルト小麦そして南部小麦、ゆめちから、麦たちの力です。
土と水とお日さまの働きと、そして私たちの汗が混ざって、あの麦芽の香りが生まれます。

この二つの力をパン生地の中で花開かせるのが、パン屋の腕前です。
本当に沢山の計らいと働きが合わさって、食工房のパンが出来上がっています。

さあ、明日もパン焼きです。
明日も、店頭でいい匂いが漂っていることと思います。


「紙版・飯豊の空の下から・・・」No.85 2025年11月号をご覧いただけます。

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