日本の農業の進むべき方向

食糧安全保障という考え方が出て来て、農業のあり方が注目を浴びるようになりました。

しかしそこで語られることの第一番は、生産効率、経済効率です。
そのために農政が導こうとしている方向性は、一つは集約化大規模化です。
もう一つは、AIを活用して農業をスマート化することです。

ですが、この日本の国土を考えれば、国土の大半は山間地であり厳しい傾斜地ばかりです。
大規模化に適した平らな土地は少ない上に、その他の用途にも大きな需要があり、そもそも確保に限界があります。

野菜工場のような設備の中で集中的に高効率で生産する方法もありますが、扱える作物の種類には限界があり、米や麦豆などの主要食糧は、やはり広い面積の圃場が必要です。

また、AI活用によるスマート化だけでは、日本の現状を捉え切れない局面も少なくないと思います。

まあざっと申し上げましたが、私の言いたいことはそこではありません。

今日、私が言いたいのは、日本の農業を考える時、国土の保全ということとセットで考えるべきではないかということです。

一昔前の日本の農業を思い出せば分かることですが、山間に棚田や段々畑があり、山から引いた水路があり、また薪炭用として、用材用として、周辺の山々が手入れされ、山崩れや洪水を防ぐことにも一役買っていました。

今、過疎化が進み人がいなくなった山間の寒村は、耕作放棄地と荒れた山々だけが取り残され、増えた獣たちによる周辺への獣害が深刻になり、山崩れや鉄砲水などの水害も起こるようになりました。
最近頻発する大規模山林火災も、こうした山間地の現状と無関係ではないと思います。

そうした現状を前にして、農業は国土保全のために重要な役割を果たすことが出来る、必要な事業としてそのコストを公が負担することも視野に入れるべきでしょう。

農業だけの経済効率という視点で見るのではなく、そうした国土保全に果たす役割に対し正当な報酬を受け取ることが出来れば、効率の悪い山間地の農業にも活路が見えて来ると思います。

いかがでしょうか。

そこで必要なのは、この話に広く国民の理解が及ぶこと、それに押されて政治が動くことです。

私も山間地の農業者の一人として、今後この件に関する主張を積極的に発信して行きたいと思っています。


「紙版・飯豊の空の下から・・・」No.86 2026年2月号をご覧いただけます。

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