投稿者「MIKIO AOKI」のアーカイブ

何にしても忙しかった、百姓一年生

圃場への麦の作付けが始まったのが、ちょうど一年前の今頃でした。

それまでの試験的な栽培ではなく、食工房で原材料に使用するための本番ですから、一つ一つの行程はどれも皆初めての取り組みでした。
トラクターに始まり収穫時のコンバインまで、農業機械の使いこなしも覚えなくてはなりませんでした。

一年一作ですから、何をやるにも失敗は許されません。
失敗すれば、また来年!と言うことになりますから。

その緊張感は、今までの仕事には無かったものです。
そのせいもあって、何しろ忙しかったと言うか、余裕がありませんでした。
まあ、当然と言えば当然ですよね。

で、この秋から二年目が回り始め、百姓二年生ということになりました。
一言で申し上げて、どれほどか気持ちが楽になりました。

農業は、経験を積む以外学習の方法がありません。
机の上で勉強すれば知識は増えるかも知れませんが、実際の圃場で次から次へと起こる多様な出来事に対応するには、経験こそがその時々の判断の基礎になるのであり、また次なる学習へのきっかけにもなります。
そうやって手足を動かしながら頭を働かせながら獲得して行く喜びと楽しみは、尽きることがないと思っています。

たった一サイクル回っただけですが、多分この実感はそんなに外れていないと妙な自信があります。
来年の今頃、百姓三年生になる時にどんなことを呟いているのか、今の気持ちをしっかり記憶に留めておくことにいたします。

今シーズン最後の種まき

麦ラボ

試験栽培区(中島第一圃場)の種まき終了
計8種類の麦を播いています。
すべて、来年に向けての採種穂になります。


麦ラボ

量が少ないものは種まき機が使えないので、こうして手で播きます。


麦ラボ

少ししかない種を確実に実らせるためには、恐ろしく手間がかかりますが、こうして一粒一粒手で播くのが一番です。


麦ラボ

人力(手押し)式種まき機・GONBEI
これでも、鍬一本の手作業に比べれば10倍早い。


麦ラボ

南部小麦も自前で確保することにしました。
来年の作付けに向けて、種を増やします。


麦ラボ

中島第一圃場の1/3くらいの面積を試験栽培区としました。
残りは来年の春から、じゃがいも、かぼちゃ、さつまいもを順次作付けの予定です。
うしろの第二圃場のライ麦が、緑色に見えるようになりました。

台風が過ぎ去った後の束の間の晴れ間でした。
この後また雨だと言うので、急遽、残っていた試験栽培区の麦の種を播きました。

で、今年から試験栽培区を、中島第一圃場に移しました。
高野圃場は、少し距離があるので目が届かず、管理がし難いからです。
わずかの距離ではありますが、すぐそこに見えているのとそうでないのとでは、ずい分違うのです。

その試験栽培区で、今年は計8種類の麦を播きました。
すべて、来年に向けて種を増やすための採種穂になります。

その中には、以前近隣の農家さんに作付けしてもらったことのある南部小麦も含まれています。
今度は、食工房が自前で収穫して自給する計画です。
小麦麺用に、パン用に、風味と腰のある小麦です。

中島第一圃場は、これでもまだ半分以上空きがありますので、あとは来春からじゃがいも、かぼちゃ、さつまいもを順次作付けの予定です。
こちらなら、まだしも猿の被害を防ぎやすいと思っています。

一方、すぐ隣の第二圃場と第三圃場に、それぞれ先に播いたライ麦やスペルト小麦は、もう早や青々としています。
来年は、このあたりの風景がまた一つ変わります。
楽しみです。

さてこれで麦仕事も一段落しました。
麦踏みは、比べれば楽な仕事で空いた時間にやればいいので、シュトレンづくりで忙しくなるまでのわずかの隙に、ビールを仕込もうかなと思っています。
初夏の頃にと思っていて、ついに手が出せませんでしたからね。
もう絶対やらなくては・・・。
酵母がいい調子なんですから、きっとうまいビールが出来るでしょうから・・・。

台風通過

台風通過、正確に言うと、台風くずれの低気圧が強い勢力のまま、福島県の上を通過して行きました。

今日は午後から夜にかけて、断続的ではありましたが、とても強く激しい風雨に見舞われました。
それでも麦畑に、ギリギリ水が溜まるほどではありませんでした。
昨年なら、完全に水没していたかも知れませんが、それだけ土壌改良の効果が上がっているということでしょう。

今日はまた、午後6時から商工会主催の経営セミナーがあり、明日のパン焼きを控えて時間的余裕がない中、少々無理をして受講して来ました。
とても良い内容の講演で、いろいろ参考になりました。

その内容を食工房に落とし込むと、一つ初心を忘れないこと、一つサプライズの心を忘れないこと、分かっていることはすべて怠惰に流れず実行すること、となります。
つまり、心がけです。

夏の売り上げが落ちたのは、暑さのせいなんかじゃありません。
がんばります。

明日は、土曜日のパン焼きです。
好評のラード入り食パンも焼きます。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

シュトレンのご予約、受付開始します

実はここ数日風邪を引いていた影響もあり、ちょっとボーっとしていたようです。

10月1日から受け付け開始としたかったシュトレンですが、たった今から受け付け開始といたします。
各方面での告知はこれからです。
先ずこのブログで第一報です。

今年は、否、今年も、商品内容、価格ともに変更ありません。

実際のところは、値上げ要因に取り囲まれている状況ですが、消費税増税で大変なのは皆さま方も同じだと思いますので、食工房もここは我慢で乗り切ります。

いつも通りの味わいと香りの良さをイメージしていただければ、決してそれを裏切るようなことはありませんので、どうぞ安心してご予約ください。

お届けは11月下旬からですので、まだずっと先ですが、作業の予定を出来るだけ早めに立てたいので、出来ましたらお早目のご連絡をお願いいたします。
ご本人さま用の他、ご依頼先へのギフト直送も承ります。

この頃は、クリスマスのお菓子も多様で、シュトレンの他にもいろいろお楽しみが多くなって来ています。
食工房は、今のところシュトレン一筋です。

そのシュトレンもいろいろなお店がつくるようになって、選択肢が広がっています。
他所のシュトレンをお召し上がりになって、やっぱり食工房のシュトレンという方も、実は少なからずいらっしゃいます。

今年も食工房のシュトレンを、どうぞよろしくお願いいたします。
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また猿や熊がやって来る

ここしばらく、猿も熊も気配がしませんでした。
時折、遠くから追い払い用の花火の音が聞こえてくることもありましたが、近くにやって来た形跡はありませんでした。

もう畑に目ぼしい食べ物は無くなったことが分かっているのでしょうか。
またこの時期は、山の中の方が食べるものがいろいろあることだろうとも思いますし。

でも、そろそろ栗や柿が食べ頃になって来ていますから、また来るだろうなと思っていました。

そうしたところ、一昨日の夜から昨日の朝にかけて、我が食工房の麦畑中島第二圃場と中島第三圃場を熊が通って行った跡を発見しました。
向かった先には、これから熟して来る柿と今が食べ頃の栗が沢山あります。
足跡は、一直線にそちらに向かってついていました。

一方同じ頃にカモシカも通ったようで、熊と鉢合わせたのでしょうか、途中で急転回して向きを変え走り出したような足跡が土をえぐっていました。
麦の葉を食べた様子はありませんが、所かまわず踏み歩くので傷んでしまった株が沢山ありました。
何度も侵入されると、それなりにダメージが大きくなりますから、どうやって防ごうか・・・思案中です。

柿は取る人もいないので、伐採した方が良いと言うのが大方の人の意見、栗は食用に重宝するので、熊の先を越してどんどん取っているそうです。
確かに、柿と栗が無くなれば熊はもうそこに用は無くなるわけで、どこかに行ってしまうでしょう。

でも、カモシカは柿や栗が欲しいわけではありませんから、どうすればいいのでしょう・・・。

麦を育てるのも、思いがけないことで大変です。

キャッシュレス決済、どうする

今日から消費税が10%になりました。
あわせて、キャッシュレス決済によるポイント還元も実施されています。

食工房はどうするの・・・?とそんな声は特に聴こえては来ませんが、世の中はキャッシュレスに向かってはいるのかな・・・と思ったりします。

少し前でしたが、中国系のキャッシュレスPay Pay を勧める電話が繰り返しかかって来たことがありました。
キャッシュレスに関心が無いわけではありませんが、今はキャッシュレス決済の黎明過渡期ですから、それこそ数えきれないほどの決済サービスが名乗りを上げて、○○Payを導入しませんか・・・とプロモーション合戦の最中です。

これから先、何度も統合再編が起こり、その間に数限りないトラブルも発生するでしょう。
この前の7Payみたいなお粗末な事例もありましたし、それに忘れてはいけないのは、決済サービスは大なり小なり手数料が発生するってことです。

現金売りならその場で100%回収できる売り上げも、時間を経てしかも手数料を取られてやっと手元に回収出来るわけですから、小さい金額ではメリットはありません。
そんなわけで、丁重にお断りしました。

利用する方にとっては、ポイント還元の恩恵を受けられない現金取引だけでは、ある意味ガッカリされるかも知れませんが、まあこれはもう仕方ありませんね。

この先、国が主導して責任も負いながらキャッシュレスを進めるという方針なら、従わなくもないと思っていますが、果たしてそこまで行くのかどうかです。

そのようなわけで、食工房は、まあ当分キャッシュレス導入はないと思っていてください。
申し訳ありません。

恵みの雨降る

麦ラボ

中島第二圃場のライ麦
今シーズンは、ライ麦はこの圃場だけです。
それでも、昨シーズンよりも増収の見込みです。


麦ラボ

ライ麦の発芽3日目近影


麦ラボ

横から見るとまばらに見えますが、収穫の頃には隣の列が見えない状態になります。

稲刈りをしている方にはまことにお気の毒としか言いようがありませんが、麦を播いた私にとっては昨日の雨は恵みの雨となりました。

一昨日芽を出したばかりのライ麦は、今日にはもう緑色が差して丈も5cmを超えていました。
発芽の様子からして、ライ麦の生命力の強さを実感する情景を見せてくれています。

隣の圃場のスペルト小麦も、順調に発芽して葉を伸ばし始めているようです。
ここ当分は見守るだけで、特にすべきこともありませんが、毎日カメラを持って見回りにだけは行きます。
それが重要なんですよね。

周りの方も、うちの麦畑の様子をよく見ていらっしゃるようです。
自分がしていないことをしていると、どうしても観察の目が行くと言うのが農家の習いなんですね。
私も同じです。
そうやってお互い勉強しているのです。
そのうち麦を作ってみたいと言う方が現れたりしたらうれしいですね。

さて、食工房の営業の一週間がまた終わりました。
今週も、ご来店、ご注文、ありがとうございました。

明日と明後日は定休日です。
また木曜日から、よろしくお願いいたします。

麦が変わって、パンがおいしくなった

食工房の自前の圃場で収穫した麦(ライ麦、スペルト小麦)を使うようになってから、パンがおいしくなったと、沢山の方から評価を頂戴しています。

私が自分で言うのも何ですが、確かにおいしくなったと実感しています。

それにも増して大きな変化は、香りの良さです。
今回のようなライ麦やスペルト小麦の麦芽の香ばしい香りは、これまでに味わったことがありません。

また麦そのものの味わい深さも、今までには無かったものがあります。
これはもう、自然界からの素晴らしいプレゼントです。

ずっと以前、カナダから直輸入されたオーガニックのライ麦原穀を自家製粉して使っていましたが、この時だって今回のような満足の行く品質に出会ったことはありませんでした。

また最近使用していた製パン材料として市販されているライ麦全粒粉も、全く納得の行く品質ではありませんでした。

そこで、これほどまでに大きな違いが出た理由を考えてみました。

まずライ麦ですが、収穫時にしっかりと登熟を待ってから脱穀したことが一番の理由だと思っています。

私がライ麦を初めて見たのは、カナダ産のオーガニックのライ麦原穀でしたが、その時の印象はライ麦って緑色っぽい灰色をしているな・・・というものでした。
小麦は、いわゆる小麦色と言われる日焼けした肌の色をしていますが、ライ麦はそれに比べればほとんど緑色に見えます。

しかし自分で栽培するようになって気づいたのは、登熟を待てばライ麦も小麦ほどではありませんが、茶っぽい色合いになって来ることでした。
それまで見ていたライ麦に比べて、粒も大きくなりましたし、つまりこれは未熟なうちに収穫しているのだなと気が付きました。

ではどうして未熟なうちに収穫するのでしょうか。
考えられるのは、ライ麦は背が高く穂が重くなってくると茎が折れたり倒れたりしやすい事、また穂は殻に包まっていなくて剥き出しの状態で、刈り遅れるとカビが付いたり脱粒してしまうリスクもあることなどのため、若干早刈りすることでリスクを避けているのだろうと思われます。

実際、今年の中島第一圃場では、強い風のせいもあってめちゃくちゃに折れたり倒れたりして機械での収穫が出来ず、すべて手刈りしてハザにかけ。天日乾燥してから脱穀しました。

しかし後になって分かりましたが、第二圃場のライ麦に比べてもここのライ麦が一番品質が良かったです。

一方スペルト小麦は、それ自体の素性の良さもありますし、風味が良いのは当然だろうと思っています。
それより、栽培に関しては経験も浅くノウハウもありませんでしたから、決して会心の出来というわけではありません。
むしろ反省点が多いくらいなので、いくら風味が良いとは言えこれに満足せず、さらに上を目指したいと思っています。
以上、自前で麦を作付けして一年目から、早くも多くを学ぶことが出来ています。

さてここから後は、この収穫の喜びと満足を如何にパンづくりに還元して行くかです。
この麦の良さを生かし切るパンづくりのため、日々研鑽怠りなく磨きをかけたいと思います。

中島第二圃場、ライ麦発芽

麦ラボ

中島第二圃場
ライ麦が発芽しました。


麦ラボ

中島第二圃場
ライ麦の発芽近影


麦ラボ

中島第三圃場
スペルト小麦が発芽しました。


麦ラボ

中島第三圃場
スペルト小麦発芽近影

ここ数日雨が降っていないのですが、中島第二圃場のライ麦がいっせいに発芽しました。

一体、どこから水分を得たのでしょうか。

考えられるのは、種まきする時に少し覆土を厚くしておいたことが良かったのかなと考えています。
発芽の様子を見ると、地面の下の深いところから伸びて来たような姿をしています。
まあしかし、きれいに揃って発芽してくれましたので、正解だったのではないでしょうか。

スペルト小麦の方は、発芽は不揃いですが、これは固い殻を破って出て来るまでに個体差があるためではないかと思います。
でも、長い成長の間に、その差も縮まって問題はなくなると思っています。

いずれにしても、蒔いた種はどれも無事発芽してくれたようですから、一先ず安心しているところです。
ここ当分の間、静かに成長を見守るのみです。
次は麦踏みの様子をご紹介することになると思います。

この後雨も降って来るようなので、まことに良いタイミングだと思います。

ちなみに本日は、私の誕生日でした。
今日の発芽の風景は、これはもう最上の天からのお祝いの贈り物でした。

秋晴れの空の下

麦ラボ

高野第一圃場
スペルト小麦が発芽しました。


麦ラボ

高野第一圃場
スペルト小麦の発芽近景

今日は、ほぼ一日快晴の秋空でした。
風は微風、少々汗ばむくらいの陽気となりましたが、最高の秋の一日でした。

昨日発芽を確認していたスペルト小麦の写真を撮りに、朝一番に高野第一圃場に行きました。

何度見てもうれしく感動的な情景です。
これが来年の夏には、豊かな実りになるのですから、自然の計らいはまことに素晴らしいものです。

飯豊の空の下から・・・

いつもの撮影スポットから、秋の風景の中の飯豊山

一方配達に出かけた折、いつもの飯豊山を望む撮影スポットに立ち寄ってみました。
ちょうど稲刈りが始まったところで、一面の黄金色の稲穂の海の向こう、快晴の空に飯豊山が浮かんでいました。

さあ、明日も元気を出してパンを焼きましょう。
お天気は微妙のようですが、皆さまのご来店をお待ちしております。