クマを可愛い動物として描いたキャラクターは、実に沢山あります。
私たちが良く知っている人気の高いキャラクターと言えば、「クマのプーさん」「りらっくま」「パディントン」そして「くまモン」などなど、その他にも上げればキリがありません。
そして、それらのキャラクターは、例えば絵本になり、ぬいぐるみになり、また着ぐるみになって愛嬌を振りまき、小さな子どもから大人まで、誰もがもうすっかりその愛らしさにヤラれてしまっています。
ご存知の方がどの程度いるか知りませんが、私が一番好きだったクマキャラは、50数年前にNHK教育テレビで放送されていた幼児向け番組「なにしてあそぼう」に登場するこぐまの「ムーくん」です。
当時私は、17~18の生意気盛りの若者でしたが、私の頭はこのムーくんにはすっかりヤラれてしまい、心はもうメロメロでした。
番組の放送時間に間に合うために、ありとあらゆる努力をし、時には学校をサボってもテレビの前に居たものです。
また「あめふりくまのこ」というかわいい歌も好きでした。
それはまあ置いて。
私も含めて多くの人が、少し前まで(否、未だに)、クマを可愛い・・・、否、そこまででなくても、憎めない動物だと思い込んで来た(いる)ことを振り返ると、クマキャラの果たして来た働きというのは、大変な罪作りであったと思うのですね。
あのように完全に毒気を抜かれたクマキャラがいたことで、クマという動物の真の姿が隠されてしまい、誰の目にも触れることが無くなってしまったのではなかったのか?と思う私です。
一方、最近の私は、実際にクマの恐ろしい一面に触れる機会もあり、過去の認識との落差に愕然としています。
しかし、実物のクマにも、クマキャラの元になるような可愛く見える(本当に可愛いかどうかは別にして)一面が確かにあるのですね。
とくに子グマの可愛らしさは、もうほとんどの人が抵抗出来ないほどです。
でも、クマが実際にどうやって生きているかをつぶさに知れば、いくら可愛くても、そのような感情的理由でクマを保護しようなどという気には、到底なれません。
それとこれとは別だと。
子どもたちは、本当は、クマの縫いぐるみが他の動物の縫いぐるみを襲って喰ったり、人形に襲いかかったりする場面を、遊びの中でやればいいのです。
残酷だと言ってそれを避けることは、間違った自然観を植え付けることになると、私は思います。
だから私は、もうプーさんにもパディントンにもくまモンにもそして大好きだったムーくんにも、「さようなら」を言います。