敵は静か

一昨日、猿の群れがやって来て緊急対応しましたが、翌朝山の上の方で猿の呼び声が聞こえたものの、その後は気配が遠のきました。

一方、イノシシも熊も、何の痕跡も見つかりません。
どこか近くに潜んでいるのでしょうが、尻尾を掴むことが出来ません。

そうしている間にも、麦畑は確実に実りの時期を迎えていますので、今のうちにと圃場の周りをネットで囲っています。
何しろ資材費を安く上げるために、杭は竹を切り出して使っています。
藪の刈り払いを兼ねていますので、一挙両得というわけです。

しかし手間は大変です。
まあそれでも、何とか間に合うのじゃないでしょうか。

その一方で、行政の打つ手はいかにも緩慢で、私たちが被る被害の深刻さに比べたら全く吞気なものです。
野生動物の数が減ることは、どんな理由であれお好みではないようです。
もっともこれは、街に住んでいる大多数の方の感覚なのでしょう。

私たちが、毎日毎日、獣たちへの対策のためにどれほど時間と労力を割かれているか・・・!、それが何のためであるか、単に作物を守るためだけではないということを理解してもらうのは、否、とてもとても難しい、遠い遠い話だと思っています。

ま、私たちのことは私たちで何とかしなくては・・・、その努力は少しずつですが報われる時に近づいていると信じています。
そのせいだか、今のところ敵は静かです。

ワクチン接種の案内が来た

75歳以上の方の接種が一回りしたということのようで、65~75歳の年代対象にワクチン接種の案内が来ました。

もちろん事前に予約してからになりますが、受け付けが電話のみだというので混雑を心配したものの、かけた見たら一度で繋がりました。
人口の少ない地方都市だからでしょうか。
スムーズだったのは良かったです。
私も連れ合いも、この次の日曜日に接種です。

不特定多数のお客さまを相手の商売をしていますので、先ずは自分が感染源になることだけは絶対に避けたいのですね。
ワクチン接種は、必須と考えています。
2回の接種が完了してその後一定期間が過ぎれば、一応安心出来る状況になると考えています。

一方、だからと言って感染対策を解除することはないと思っています。
日本国内はもちろんのこと、広く世界を見渡して完全な終息を見るまでは。

まあでも、ある程度ワクチン接種が進んだ状況になれば、また外にテントを張ってお茶席など用意することも出来るようになると思っています。

さあ、ここで気を緩めず、がんばりましょう。
ワクチン打つ前に感染してしまったら、本当に何にもなりませんから。

久しぶりに猿の群れ

夕方、追い払い用の3連発花火の爆音が聞こえました。
当集落内です。

ちょうど一仕事終えたところだったので、こちらも花火など用意して駆け付けました。
3~4人ほどの人が出て、花火を打っていました。
猿の群れが来たとのこと。

ここ二ヶ月ほど猿の気配もありませんでしたから、本当に久しぶりです。
「いやー、ずーっと猿来なかったからさ。オレ、さみしかったよ。」と冗談をいう一幕も。
「そろそろ畑のじゃがいもが気になって見に来たんじゃねぇの!」というわけで、今日から警戒の日々の始まりです。

明日は、どちらに移動するか、概ね予想は付いていますので、そちらのエリアに居る方のお宅に知らせておきました。
うちのじゃがいもも気を付けなくては・・・。

熊、イノシシ、猿、カモシカ、さてこれで大物4役が出揃いました。
ま、そうそう奴らの好きにはさせません。

コロナ禍の影響、じわじわと

会津は観光地です。
管内には国定公園の区域がありますし、各地に有名な観光どころが点在しています。

会津管内の商店や事業所は、直接間接に観光との関りを避けることは出来ません。
およそどんな商売をしていても、観光の動向に影響を受けないということはあり得ません。
ですから、この一年余りの間のコロナ禍の下、観光地が被った影響は計り知れないものがあります。

それでも昨年当初は、経済的な救済措置も次々打ち出されましたし、給付金などによって危機を免れた事業者は数えきれないくらいいたと思います。
そうです、食工房も例外ではありませんでしたから。

そして昨年夏の頃から展開されたGo To トラベルによって、飛躍的に会津の経済状況は良くなりました。
しかし、その後のリバウンドによる第3波により、再び東京など大都市圏に発出された緊急事態宣言とともに、Go To トラベルも中止されてしまいます。
そこから先は、観光地会津にとっては地獄のような状況が続くのですね。

春になって一番のかき入れ時だったゴールデンウィークの頃も、会津における感染者の急増という事態に見舞われ、もはや最悪の状況です。
このところ少し落ち着いて来たように見えるものの、相変わらず観光地には客が戻って来ません。
街は本当に静かです。

食工房にお出でくださるお客さまの数も、平均すればずっと減少傾向が続いています。
会津管内の取り引き先からの注文も、今までにないくらい減ってしまっていて、業界全体が苦境なのだと分かります。

ここまで来ると、あとは何か決定的に人々の気持ちを安心させるような状況が来ない限り、回復は望めないと思います。

当面、ワクチンの接種がどこまで進むかでしょうね。
冷静かつ科学的に見れば、決してワクチン万能ではないはずなのですが、人々の気持ちが変わることは間違いなさそうです。
今の状況では、ワクチンに頼るより他ないのかも知れません。

パンの出来さえ良ければ

今日はパン焼きの木曜日、早朝3時から作業にかかりました。

このところ気温が高い日が続き、室温も上がっていますから、酵母やパン生地の扱いも、冬の寒い頃とは違った気遣いが必要です。

人間の体感というのは案外当てにならず、ちゃんと温度計を使って数値を見なければ正しい判断は出来ません。
酵母は、温度と時間と糖度で動きますから、正確な計量計測が必須です。

しかしながら、つい面倒くさがって感覚に頼ってしまうと、思わぬ失敗の元となります。
いつもそのことを肝に銘じながらやっているわけです。

環境全体が暖かくなって違うことは、保温よりも冷却が必要になることがあるということです。
温度にして僅か1℃程度の上下でも、酵母にとっては世界が変わります。
パン生地も然り。
最近やっとそのあたりのことに理解が及び、おかげさまでパンの出来も外れが少なくなりました。

あとは、焼く時に焦がさないように・・・。
これはまた別次元の注意力、集中力の問題です。

今日は、ちょっと焼きが強すぎるものが若干二品目・・・。

本当に最後の最後まで、「まだまだ分からん!」パン焼きです。

かくれんぼしている気分

先日の子熊、畑を荒らしたイノシシ、どちらもこの地域内にいることは間違いありませんが、ここ一週間ほどの間、はっきりと行動を掴むことが出来ません。

全く痕跡がないわけではありません。
しかし、とりあえず畑は荒らされていませんし、どれも確証の乏しい痕跡ばかりで、監視カメラを仕掛けてもすべて空振りです。
それでも、この集落内の田畑やその周辺を歩いていることだけは確かでその証拠はあるのです。

こうした状況をどう評価すれば良いのでしょう。
私たちの圧力がある程度効果を上げていると言えるでしょうか。

全く尻尾を掴むことが出来ません。
まるでかくれんぼしている気分なのですね。

もっともっと彼らのことをよく知って、かすかな痕跡も見逃さず、そこから次の行動を予測出来るようになりたいですね。

狩猟者の感覚をこそ、今一番学びたいことです。

半農半商の本分

麦ラボ

水田には青苗、麦畑はそろそろ色づく頃


麦ラボ

中島第2圃場 ライ麦


麦ラボ

手前から、第3圃場・スペルト小麦、第2圃場・ライ麦、ずっと後ろに第5圃場・南部小麦が視界に入ります。
間に隠れて見えませんが、第4圃場・ライ小麦も作付けされています。


麦ラボ

中島第5圃場 南部小麦

パン屋を営業しながら、原材料の麦を自分で作付け、つまり農業ですね。
この生業の形は、言って見れば半農半商ということになります。

どちらも、それだけで十分重く奥の深い仕事です。
それを二つ掛け持ちしている私は、欲張りかも知れません。

でも、麦の作付けに挑戦するようになったきっかけは、止むに止まれぬ事情あってのこと、それはそれまで使っていたライ麦が、どうにも納得の行かない品質低下で使えなくなってしまったことでした。

一度は、地元の農家さんに作付けをお願いしたこともあったのですが、こちらも続きませんでした。
結局、自分でやるしかないという結論だったのです。

パン屋の仕事だけでも大変なのに、農業まで抱え込んでどうするつもり・・・と言われそうですね。
まあでも、パン屋が麦のことを知っていて損はありませんし、逆にパン屋の仕事を知っているからこそ良い麦を作ることが出来るという側面もあります。

私の場合は、半分は自ら望んで、あとの半分は運命的計らいによって、農業が出来る環境とパン屋を開業出来るチャンスを同時に与えられたわけです。
どちらの仕事も、片手間に出来る仕事ではありませんから、バランスを考えながらそれぞれを極めて行きたいと考えています。

ですから、街のパン屋さんのように毎日パンを焼いて売ることは出来ません。
農作業に時間を割かなければならない時は、臨時休業することもあります。

でも、パン屋と農業、どんな比重になっても守らなければならないことは一つです。

それは、多くの皆さまに支持していただける、喜んでいただける、おいしいパンを焼いて提供することです。
日々、命を養う糧としてのパンを、心も体も元気になっていただけるパンを。

井上憲一フォークロアライブ1974年10月

今日、ふっと思い出して、古い音源を掘り返していたら、昔録音したお宝が見つかりました。
前に一部をご紹介したと記憶していますが、今回、フルライブバージョンということで、全編ノーカットでアップロードいたします。
その場に居合わせた皆にとっても、私自身にとっても、本当に良い時代でした。
コロナ禍の下、ステイホームで時間がある方、約1時間半のフォークロアライブをどうぞ。
井上憲一フォークロアライブ1974.10.mp3

今朝は、熊

今朝と言っても時間にすると午前10時頃の話です。

すぐ近所の方から電話があり、すぐ下のカーブのところ(道路)を子熊が横切るのを目撃したとのこと。
昨年秋に柿の木に熊が上り下りしたあたりです。

二時間ほどたって一仕事終えてから、直接詳報を聞きました。
どうやら一週間前5/28に国道を横切るのを目撃されたあの子熊のようです。
推測の域を出ませんが、まずほとんどのところ今年親から離れて独り立ちしようとしている子熊です。

では、どうして山の中ではなく、わざわざ人里を選んで子を放すのでしょう・・・?
その理由は、たぶんこうです。

山の中には、大きくて強い雄熊がすでに縄張りを持っていて、入り込む隙がないのです。
子熊にとって一番の敵は、大人の雄です。
大きく強い雄熊が、子熊や若い熊を襲って喰ってしまうことは、何も珍しいことではありません。

そこで母熊は、危険な雄熊が近寄って来ない人里に子熊を放します。
と言うことは、人は熊から見てさほど恐れる必要のない存在になっているということです。
分かりやすく言えば、舐められているのです。

今時、大方の人間が熊を恐れていることは、熊の方ではとっくの昔に感づいています。
ですから、時には山の中から大きな雄熊が母子連れを狙って人里にやって来ます。
彼らもまた、もはや人は恐るるに足りない存在だと自覚している可能性が濃厚です。

さてでは、この子熊をどうしましょう・・・。
近年、人間にとって悪い学習ばかりをし続けている熊たちですから、どこかでそれを断ち切らなければ、私たちが安全に生活出来る場所は、そのうち無くなります。

何とかして、人間は手強い存在だと言うことを思い知らさなければなりません。
それも、一時的なものでなく継続的に、日々私たちの側の努力によってのみ成し遂げられるものであることを、銘記しておきたいと思います。
そして生存は、常に命の危険とせめぎ合い闘うことであると。

正直落ち着かない毎日

麦ラボ

ポールの間隔、約2.5~3m ネットの高さ、約1.9m


麦ラボ

中島第3圃場と第2圃場の南端 約40m

麦畑が実りの季節を迎えています。
開花の時期を過ぎ、少しずつ実が熟し始めています。
まだ緑色をしていますが、気が気ではありません。

と言うのは、イノシシがうろついているからです。
彼らは、穀物が大好物です。
量当たりのカロリーが高くて、栄養豊富ですから。

そこで圃場の周りをネットで囲う作戦なのですが、被害に遭う前に囲い切れるかどうか、そこを心配しているわけです。

否、何とかして囲い切りたいものですが、一方、何か別な方法でイノシシが近づかないような作戦は立てられないものかと思うのですね。

あるいは、捕獲して殺処分するとか。

圃場の周りを囲うなんてのは、いちばん受け身で消極的な対応ですから。

役場には駆除願いを出していますが、いつ対応してもらえるのか、今のところ動きはありません。

これは、ある意味命がかかっているのですよ。
昔の農民の気持ちが分かります。
大事な作物を餌食にされるくらいなら、その前に撃ち殺して肉を食いたいと。

この生ぬるい社会の中で、多分こうした命のやり取りを理解してはもらえないであろうことに、釈然としない思いばかりが募る私です。