小麦のことを知らないパン屋、パンのことを知らない農家

タイトル通り、それが世の中の大方のパン屋と農家の認識です。

パン屋は、製粉会社が提案し売り込んで来る小麦粉の中から気に入ったものを選ぶ、農家は、農協や県が奨励する品種あるいは業者が高く買い付けてくれる品種などの中から条件に合ったものを選んで作付けする、まあそのあたりに終始するのが普通です。

パン屋にとって良い小麦粉とは、吸水率が高く扱いやすいパン生地が出来て、食感の良いパンが焼ける、なおかつ風味が良好、価格も安い、これに尽きます。

一方農家にとって良い小麦とは、収量が多い、病虫害に強い、県や農協が奨励していて種が手に入りやすく、奨励金も高いなどが条件です。

そしてパン屋と農家の間にいるのが製粉会社ですが、彼らは彼らで、考えていることは会社の利益です。
パン屋にとっても、農家にとっても、自分たちの望みを叶えてもらえない都合があったりします。
例えば、特定の農家限定の小麦粉などは、まず不可能です。

こういった体制で一番問題なのは、農家はどんな小麦を作れば本当においしいパンづくりに貢献出来るのか、またパン屋はどんな小麦にどんな性質があるのか、そんな一番重要な情報がほとんど共有されていないことです。

食工房が、麦の栽培に手を付け始めて早や10年近くになりますが、年々、小麦はもちろんのことその他の麦についても認識が深まり、すでに次元が違うところに来たと感じるまでになっています。
パン屋と農家、両者の都合を良く知ることで、最終製品であるパンや焼き菓子などの出来が良くなることは確かです。

ここで言う「良い」とは、健康な体の養いに貢献出来ること、満足感のある風味や食感を備えていること、且つ健全な味覚を養う効果もあることです。

麦の勉強もして農作業も体験して見ること、それはパン屋にとって必須なんじゃないかと思うこの頃です。
そしてまた、農家もパン屋に来て話しをしたりパン焼きを体験したりして欲しいと思いますね。

その点食工房は、意欲的且つ協力的な農家さんに囲まれて、理想的な条件が整いつつあると思っています。
先が楽しみです。

営業再開、もうあと少し。
どうぞお楽しみにお待ちください。

麦踏み

麦ラボ

第二圃場の広さがお分かりいただけると思います。


麦ラボ

中島第二圃場の残り半分に、スペルト小麦を播きました。


麦ラボ

一番先に播いた、高野圃場のスペルト小麦です。
麦踏みが終わった状態です。


麦ラボ

地上部を完全に踏みつぶす感じです。


麦ラボ

横歩きで足先の巾ずつ移動して行きます。
同じところを二回ずつ踏むことになります。


麦ラボ

踏み加減をコントロール出来るよう、踵で踏むのを避け横向きになってつま先から土踏まずのあたりまでを乗せて踏んで行きます、

本日は、中島第二圃場の種まきを終わらせ、今年の種まき作業は終了となりました。

順調に発芽生育すれば、来年の夏はうれしい忙しさに興奮するはずです。
先ずは、芽が出てくるのを見ないことには・・・。

そして先に播いたスペルト小麦とデュラム小麦の麦踏みをやりました。
播いた時期が早かったのと土壌が良好だったことが功を奏して、たいへん順調に生育していて、若干育ち過ぎかも知れません。

夕方の一時、せっかくここまで育ったのではありますが、地上部を完全に踏み潰しました。
しかし、これが刺激となって地中深くに根を伸ばし、倍旧の勢いで盛り返してくるのが麦の特長なのですね。

こうして冬が来るまでにどのくらいまで成長させておくかによって、冬雪の下に埋もれる前と春雪融けの頃、凍結や水没に遭って根腐れを起こして死んでしまう危険を避けられるのです。
品種によっては、麦踏みの他に土寄せも必要です。
そしてそういった面倒見が良ければ、飛躍的に収量も多くなるのですね。

今日はまだこの他に、ライ麦を播いて発芽生育中の中島第一圃場にもみ殻燻炭を撒きました。
もみ殻燻炭は、近所の農家さんからいただいたものです。
沢山いただきましたので、他の圃場にも撒こうと思っています。
燻炭は、蟻避けになるそうです。

一方建築作業ですが、こちらもどんどん進めています。
ただ、業者さん頼みの工程が、業者さんの都合で先延ばしになっていて、ちょっと気をもんでいます。
今、そこがネックで先に進めない部分が出ています。
とりあえず、先に出来ることをしています。

毎日毎日目いっぱい動いて、夜が来る頃にはクタクタです。
でも、こうしてブログを書くのが。時に気分転換になります。

また明日もがんばります。

今シーズン最後の種まき

麦ラボ

後ろから押すだけではうまく進まないので、前からも引っ張っています。


麦ラボ

何とか整備出来た中島第二圃場
畔を境に右側は、整備中の中島第三圃場です。

今日は、午後からでしたが、今シーズン最後の麦の種まきのために、中島第二圃場の整備を仕上げ、続けてライ麦の種を播きました。
スペルト小麦も播きたかったのですが、日が暮れてしまいましたので、明日に持ち越しとなりました。

今回、新しい種まき機を入手して臨みました。
と言うのは、前回借りた種まき機は、播き溝を切るのにくさび型の部品が付いていましたが、土壌の質によっては抵抗が強すぎて前に進めなくなるのですね。

それが回転する円盤型の溝切りパーツだと、多少の障害物があってもスムーズに前進して行きます。
今回は、前後の車輪も直径が大きく、元水田のような柔らかくても重たい土壌に対応出来る機種を選びました。

それでも、稲の切り株にぶつかり前方に土を抱え込んで進めなくなる場面があり、ロープをかけて前から引っ張ることでうまく行きました。
時期的に限界を過ぎたかも知れない季節になっていますが、何とか無事に発芽して育って欲しいと、祈る気持ちで種を播きました。
日暮れまでに半分程度の面積を終えたところで、本日の作業は終わりにしました。

明日また続きをやります。
明日は、スペルト小麦です。

今日は、半日ずつ建築作業と農作業に時間を振り分けて、どちらも目いっぱいで正直くたびれました。
また明日もです。

野生のクルミ

福島県を含む南東北の一帯は、クルミが自生しています。

このクルミという植物、狭い日本の中にあってもどこにでもあるというものではありません。
意外に狭い緯度帯(気候帯)しか適応出来ない植物なのですね。
しかも生息は水辺に限られます。
その点、会津は絶好の環境らしく、ほとんどどこにでも自生しています。

で、この季節、大きくなったクルミの実が木の上からぽたぽたと落ちて来ます。
上の娘は、少しでも時間を見つけてはクルミ拾いをしています。
クルミは、一斉に落ちるのではありませんので、コツコツと暇を見つけながら集めることが出来ます。
いつの間にやら、バケツに何杯ものクルミが集まっていました。

これの外皮と果肉を腐らせて取り去り水洗いして乾かせば、かたい殻に入ったクルミを得ることが出来ます。
そして今度は、その殻を割って中身を取り出すのですね。
以前、このブログでも記事にしています。<参照>

それで最近分かったことなのですが、このあたりには食用に利用出来るものとして、オニクルミとヒメクルミの二種類があり、ヒメクルミの方が殻の中の中身を取り出しやすいのですね。
オニクルミより若干小ぶりですが、味はオニクルミと変わりありません。
そこで娘は、最近ではヒメクルミを優先的に拾い集めています。

こうして集めたクルミは、みのりのパンやくるみびすけっと、森のパン屋のビスケットなどの素材として利用します。
何と言っても、輸入物の菓子クルミよりも濃厚な味わいがあります。

営業再開したら、早速にもこのクルミを使ってパンやビスケットなどを焼きます。
あぁ、早くパンを焼きたい!

今日も、建築作業が進んでいます。

現代農業、購読

現代農業

幾つになっても、知るはよろこび、学は楽しみです。

今月から、現代農業という雑誌を購読しています。
一年間の定期購読を申し込みました。

この現代農業という雑誌、ずっと前のことですが、折々に書店で買って読んでいたことがあります。
その頃は農業に興味はあっても、実際に耕作はしていなかったし、そんな環境も整っていませんでした。
しかし、現代農業から伝わって来る情報は、私にとってはいつも興味津々でそそられるものがありました。

そして今年、念願の自宅と農地が縁あって私たちの手にあずけられることになり、また農文協(農山村文化協会・現代農業刊行)から執筆のチャンスもいただき、機が熟したとでも言うのでしょうか、現代農業の年間購読を決めました。

今日、購読一回目の号が手元に届いて、早速興味深い記事の数々を走り読みしました。
驚いたのは、以前と違って実際に耕作するようになった今、受け取る情報の量も質も全く次元が違う感じがしたことです。
当然と言えば当然ですが、改めて土に関わるこの仕事の魅力や大切さを思わずにはいられませんでした。

六十代も後半になって、また新たな学びと実践の機会を得られたことに、大きな喜びと感謝の気持ちがわいて来ます。
これから先死ぬまで、人生最後のステージの幕が開いたと思っているところです。

恵みの雨

今日は、夕方から雨が降り出しました。

日中、外に電動工具を出して材木を切る作業をしていましたので、出来れば降らないでいて欲しい、でも、ライ麦のためには雨も欲しいと思っていました。

その点、曇り空だったので日差しに照らされて乾く心配はなく、降り出すまでと割り切って作業を続けました。
うまくしたもので、大方今日の予定が終わるころになってポツポツと雨粒が落ち始め、日が暮れる少し前の時間にわか雨になりました。

今はまた止んでいるようですが、明日は一日降ったり止んだりのお天気のようです。
ライ麦が勢いを増すと思います。
大根と白菜も大きくなることでしょう。
本当に土さえあれば、生きていけるのだなぁとうれしい気持ちになります。

長い時間が経ってしまいましたが、新店舗の方も次第に形が見え始めて、あとどこをどうすればと先が見えていますので、気持ちを強く持ってがんばることが出来ます。

今月いっぱいには、保健所に申請が出せると思います。
許可さえいただければ、その日から営業が出来ます。

もう少しです。
なお油断せずにがんばります。

穏やかな一日

台風続きで荒れに荒れた夏から秋でしたが、ここに来てやっと穏やかな空模様が続きそうです。
こんな日が、しばらく続いてほしいですね。

明日は、夕方から雨が降り出す予報になっていますが、この季節このあたりでよくある時雨模様のお天気でしょう。
畑の白菜や大根には、恵みの雨です。
麦にとっても、大切な水分補給です。

一番先に播いた高野圃場のスペルト小麦は、もうじき麦踏みをします。
ライ麦は、今度の雨で一気に勢いづくと思います。

その後晴天が続けば、中島第二圃場にスペルト小麦とライ麦を半分ずつ区切って播きます。
今年の種まきは、それでおしまいです。

さて、建築作業の方も、いよいよ大詰めに来ました。
今週のうちには、ステンレス張りの工程が終わり、来週初めに設備の移動です。

今、材料置き場の部屋の造作をしていて、明日と明後日でいいところまでやり上げなくてはなりません。
それらが終わったら、入口の造作を仕上げます。

看板も描かなくてなりません。
カミさんが下絵を描いてくれましたので、実物を描くためのパネルを作ってやらなくてはならないのですが、ずっと後回しになってしまっています。

もうしかし、後がない。
いつやろうか・・・、悩んでいるところです。

少々疲れ気味ながら、ラストスパートです。
ここは何が何でも走り切るしかないでしょう。
がんばります!

ライ麦の発芽

麦ラボ

本当に小さな小さな命の誕生の瞬間です。
立派に育ってください!と祈らずにはいられません。


麦ラボ

ライ麦の萌芽
爪楊枝の先端くらいの大きさです。


麦ラボ

スペルト小麦
発芽から一週間、こんなに旺盛に育っています。


麦ラボ

近所でも話題になり始めた食工房の麦畑です。


麦ラボ

発芽率100%なんじゃないかと思えます。
ちょっと込み過ぎかも知れません。

毎年毎年、何度見てもその度に新たな感動を覚える発芽の瞬間です。

寒暖の差が大きい今頃の季節は、雨が降らなくても夜露がたっぷりと水分を補給してくれるのですね。

朝、日が差し始めたばかりの頃、水滴を湛えたライ麦の萌芽が、圃場一面に宝石のようにキラキラと光り輝いています。

全く素晴らしい。
どんな苦労も必ず報われると思わせてくれます。

今日は、午前中は建築作業に集中し、午後は中島第二圃場の二度目の耕転をしました。

近所の農家さんがもみ殻を大量に提供してくださったので、それを全面に散らしてすき込みました。
一度目の耕転で半ばほぐれた土壌が大分乾いていましたので、今日の二度目の耕転は土を細かく砕きました。

麦を播くためには、さらにもう一度、出来れば二度くらい耕転しなければなりません。
播き遅れを覚悟の上です。

ちなみに第三圃場は、水はけが悪いので、今年は種まきまでたどり着けません。
土壌改良の下ごしらえをして、あとは来年の作業となります。

しかし、確実に農業への足がかりを捉えたと実感出来るところまで来ました。

おいしいパンの種を播いているのだと、自らに言い聞かせつつ汗をかいています。

待っていてください

今日は、西寄りの風が吹いて、会津地方は時折細かい雨が吹っかけて来る不安定なお天気でした。

しかし、先日種まきしてから雨が降らないライ麦畑にとっては、発芽を促す良いきっかけになったようです。
土の上に、赤茶色の糸のような芽が突き出しているのが見えました。

この発芽の瞬間が最もデリケートな状態で、十分発芽が進まないうちに乾いてしまうと、死滅する恐れがあるのですね。
午後、日が差して来て土が乾き始めたので、どうなることかと心配していました。

でも、夕方になって気温が下がり、今夜はたっぷりと夜露も降りることでしょうから、明日の朝には力強く発芽したライ麦の姿を見られると思っています。

建築作業の方も、コツコツと進めています。
午前中は、排水管まわりのコンクリート仕事。
そして旧工房から、シンクや調理台、焼き上げラックなどを運んで来ました。
午後は、材料室の造作。

早く食工房のパンが食べたいと、あちらこちらからお声が届いています。

ありがとうございます。

畑仕事と並行するようになって、少しペースが落ちたかも知れませんが、確実に進めていますので、どうぞ待っていてください。

30℃超え、しかし秋の空

日本海を進む台風の影響で南風が吹き、今日は最高気温が30℃を超えました。
さすがに暑いと感じましたが、空気は乾いていて空は澄んで秋晴れでした。

周辺の田んぼも稲刈りが進んで、残っている方が少なくなって来ました。

ところで、今度の冬はどんな様子になるのか、それを占うためにまわりの様子に気を付けています。

今日は、カメムシが飛び回って、家の中に侵入しようとしていましたので、暑くても窓を開けられませんでした。
網戸だと、ごくわずかの隙間からすり抜けて中に入って来るのです。

そして、高野の圃場にある水溜に住み着いているトノサマガエルが一斉に姿を消したと娘の報告です。
多分、越冬に備えて移動していったのでしょう。
冬は、足早にやって来るのかも知れません。

一方今日は、ホームセンターに材料を買いに二往復して半日が過ぎ、残りの半日建築作業をして日が暮れました。
暑さのせいもあって、久しぶりにぐったりするほど疲れました。

あとは寝るだけ。
ではでは。