何にしても忙しかった、百姓一年生

圃場への麦の作付けが始まったのが、ちょうど一年前の今頃でした。

それまでの試験的な栽培ではなく、食工房で原材料に使用するための本番ですから、一つ一つの行程はどれも皆初めての取り組みでした。
トラクターに始まり収穫時のコンバインまで、農業機械の使いこなしも覚えなくてはなりませんでした。

一年一作ですから、何をやるにも失敗は許されません。
失敗すれば、また来年!と言うことになりますから。

その緊張感は、今までの仕事には無かったものです。
そのせいもあって、何しろ忙しかったと言うか、余裕がありませんでした。
まあ、当然と言えば当然ですよね。

で、この秋から二年目が回り始め、百姓二年生ということになりました。
一言で申し上げて、どれほどか気持ちが楽になりました。

農業は、経験を積む以外学習の方法がありません。
机の上で勉強すれば知識は増えるかも知れませんが、実際の圃場で次から次へと起こる多様な出来事に対応するには、経験こそがその時々の判断の基礎になるのであり、また次なる学習へのきっかけにもなります。
そうやって手足を動かしながら頭を働かせながら獲得して行く喜びと楽しみは、尽きることがないと思っています。

たった一サイクル回っただけですが、多分この実感はそんなに外れていないと妙な自信があります。
来年の今頃、百姓三年生になる時にどんなことを呟いているのか、今の気持ちをしっかり記憶に留めておくことにいたします。