過去にも何度か申し上げていますが、コーヒー豆は農産物です。
当たり前のことですが、工業製品のように画一的な品質を期待することは出来ません。
いつも頭を悩ますのは、焙煎前の選別作業のことです。
産地で完璧に選別済みのものがある一方、大変緩い選別でそのままでは使い物にならないものもあります。
困ったことに、選別状態の悪い豆でもこちらで丁寧に選別すれば、素晴らしい風味を出してくれる豆が、案外多く存在します。
それも私の好みに合ったものが・・・。
今日も午前中、娘に手伝ってもらいながら、合計約8㎏ほどの生豆をかれこれ2時間くらい集中して選別しました。
やはり選別するとしないでは、雲泥の差があります。
地味な仕事ですが、コーヒーの味はこの選別で決まると思っています。
これについては過去に詳しく申し上げていますので、長い文章ですが以下に引用しておきます。
このコーヒー豆の選別というのは、なかなか奥の深い仕事で、誰でもすぐ出来る一面、知れば知るほど意外に難しいことが分かって来ると言う、一筋縄では行かない仕事なのです。
もう何度も申し上げていますが、選別はコーヒーの味を良くするためにやっています。
しかし、選別の精度が上がらないと、その効果も程々のところで留まってしまいます。
的確な選別をするためには、これももう何度も申し上げていますが、経験と勘に頼る以外方法はありません。
機械化する方法、マニュアル化する方法、いろいろ考えて見ましたが、そんな簡単には行きません。
比重による選別、色による選別、粒度による選別、どれも豆の欠点を感知するファクターとして決定的ではありません。
では、コーヒー豆のどこを見ているかと言うと、果実としての熟度・乾燥遅れによる発酵・虫食い痕・亀裂と割れ・カビの発生、こうした要素を目視で判断します。
これらの中で、一番難しいのは果実としての熟度を見抜くことです。
農産物としての果実としての、健全性を見なくてはなりません。
しかしこれは、米や麦、豆や雑穀など、粒物に数多く接して来た私にとっては、そんなに難しいことではありません。
乾燥遅れによる発酵の方が、むしろ頭を悩ませます。
それは、はっきりここまでここからという線が引けないからです。
完全に変色変質しているものは迷いなく落とせますが、中間的な段階が連続的に存在していますから、そこは経験によってこのくらいまでというラインを自分で決めなければなりません。
それに比べれば、後の三つは誰でも眼で見て分かる要素ですから、簡単と言えば簡単。
一つだけ難しいのは、小さい虫喰い穴から内部にカビが回っている時です。
これは、外見で分からないこともあります。
これも、今までに疑わしいものをカッターナイフで切り割って内部を確認するなどして、経験値を蓄積してきた結果、まず見落としはないと自負しています。