食工房の中に、いつの間にか麦の研究室が出来ていました。
上の娘が、カナダから輸入されたオーガニックライ麦の中に異物として混入していた、小麦らしき種子を鉢植えして育て、種を増やし始めて早や4年目。
最初2粒しかなかった物も、4年目の今年、2kg収穫出来たものもあります。
一方、ライ麦と南部小麦の地元産も定着して来ました。
大麦も、地元の方から入手出来るようになって、早や3年目。
今、麦がとても面白い!と感じています。
日本は、お米の国だと言われるのですが、麦だってなかなかどうして、活躍の場は米よりもむしろ多いくらいです。
大麦は、主食用にも使われますが、何と言ってもビールでしょう。
小麦は、パンやお菓子に。
そして日本の食卓に欠かせない醤油は、大豆と小麦が主原料です。
うどんやソーメンなどの麺類もありますね。
そして、デュラム小麦から造られる、スパゲッテイーやマカロニなど(パスタと総称されます。)も人気の食品です。
あと、小麦で忘れてはならないのは、ウィスキーでしょう。
スコッチは小麦から、バーボンはトウモロコシやライ麦から造られます。
とうもろこしは、別名「唐麦」のも言いますので、麦の仲間と言っても良いのですね。
コーンフラワーのマフィンは、とてもおいしいそうですよ。
食工房は、パンと焼き菓子の店が本業ですが、原材料の小麦やライ麦などに関心を深めるうちに自分でも育ててみたくなり、皆さまもご存じのようにすでに取り組んでいます。
パン屋の仕事を、商工業の立場から見るだけでは、半分しか見えないのだと思います。
農業の立場からパン屋の仕事を見れば、また全然違って見えるでしょう。
食工房は、もっともっと農業に近づきたい!きっとパンづくりにもお菓子づくりにも、貴重な示唆が得られると思っています。
今年の食工房畑のライ麦
昨年、刈り遅れによる穂発芽で品質を落としてしまったことに懲り、昨年の種まきの際には、上の娘が種子選別を徹底的にやりました。
そして、一昨年ばら蒔きしたのを、昨年は筋蒔きに戻し極薄蒔きして、蒔いた種がわずかに隠れる程度に覆土も施しました。
結果、発芽率が良かったことは言うまでもありませんが、発芽が完全に揃ったことや苗の生育も不揃いなくとても順調だったことに、改めて種の品質の重要さを思い知った次第。
麦踏みも2回、春には除草を兼ねて畝間を耕す中耕を実施しました。
最後の刈り取りは、倒伏と穂発芽を警戒して、少し早めの刈り取りとなったため、ハザ掛けによる天日乾燥で追熟を待ちました。
約10日間ほど経って、実の充実と乾燥を確認して、昨日の脱穀に漕ぎつけたというわけです。
その結果、2坪ほどの面積から5kgの収穫がありました。
これを1反=10a・300坪に換算すると、何と750kgにもなるのですね。
12.5俵(1俵=60kg)です。(ちなみに、昨年の収穫は1反=10a当り450kgでした。)
そして収量が多いだけでなく、品質も昨年よりずっと良いのです。
もちろん、狭い面積に集中的に手をかけていますから、大きな圃場で同じ成績が出るとは限りませんが、最大でそれくらいの可能性があるということですから、ライ麦は全く素晴らしい作物だと言えますね。
否、小麦だって大麦だって、可能性としては同じだと思いますね。
麦の研究に深入りして行きそうです。
今後、デュラム小麦(パスタ用品種)とスペルト小麦(古代小麦)の作付けを定着させたいと考えています。