日別アーカイブ: 2020年10月10日

さすがにお客さまが・・・

昨日、熊に対応する日々のことを記事に書いて、その翌日ですからね。
他でもありません、喜多方市山都町で熊による人身事故発生と、報道されました。

多くの方が報道に触れ、山都町方面へのお出かけをためらわれたことと思います。
そのお気持ちはよく分かりますので、私たちとしては如何ともし難い思いです。
本日は、食工房にご来店くださったのは、一組お二人のみでした。

コロナも大変でしたが、獣害がこんなところにまで及んで来るに至って、いろいろ考えさせられています。

これほどまでに熊を人里に引き寄せている直接的な理由は、大方我々人間の側にあって、しかもそれを正しく認識出来ていないことが、解決を難しくしている元凶です。

良く言われるような、山のブナの実やドングリが不作のため餌を求めて人里に近づくのだと、ハンコでついたような同じ説明を繰り返すメディアの報道や一部の先生方の弁には、がっかりするのを通り越してもはや呆れています。
バカじゃないの!と。

熊は、山に食べるものが沢山あっても、人里に出て来ます。
人間が作った作物の方が、ずっと美味しくて易々と腹を満たせることを学習した熊が、すでに沢山沢山いる状況なのだということがどうして分からないのかと思います。

そして人里周辺には、放置された桑の木が沢山あり、初夏には甘い実が鈴なりです。
放置され採られなくなった柿の実も食べたい放題です。
ほとんど人が拾いに行かない場所にも、栗の木が沢山あります。
ハネ物として捨てられた野菜果実の残渣も、彼らにとってはこの上ないごちそうです。
当然、畑に植えられている物にも、積極的に手を出します。

彼らは、ほとんど奥山に帰ることはありません。
人間の存在を気にしつつも、人里を自分の縄張りだと認識しているからです。
そして、十分に栄養が足りて、どんどん繁殖しているのです。

しかし、熊をこのような生き物にしてしまっているのは、実は賢いはずの人間の行動です。
ここでも、本来熊は人を恐れる動物だと、当たり前のように言われることに大きな違和感を覚えます。

本来なんかじゃありません。
これまで、長い時間をかけて我々のご先祖が、熊とのそういう関係を築いて来たのであって、その関係を崩さないためには不断の努力が求められるものであることを忘れてはなりません。

近年、明らかに熊は人を恐れなくなっています。
だって、今は人間が熊を怖がっている状況なのですから。
熊の方は、そんな人間の行動を、とっくに見抜いてしまっています。

その昔、山の神として崇められていた熊ですが、もうその時代は終わりました。
肌身でそれを感じ取り、然るべく熊に対峙する人間がいなくなれば、そういう熊もいなくなるというだけのことなのです。