昨夜から今朝の間に、高野地内にしかけてあった箱罠に熊が一頭入りました。
大きな熊でした。
いつものように殺処分されるものと思っていましたが、それがとんでもない顛末となり懸念しています。
事の始まりは、警察署が人家に近過ぎるため発砲するなとのお達しがあったことでした。
夕方までかかって、やっとのことでオリに入れたまま安全な場所まで運んで処分する方法が決まり、クレーン付きのトラックなどが手配され作業が始まろうとしたところに、警察署長から殺処分停止の指令が入り、県境の山の中に放つことになったということです。
重大な影響を受けるかも知れない住民の我々に何の相談もなく、そうしたことが決定されたことに、集落民一同大変大きな懸念を抱かざるを得なくなりました。
一体、誰にそのような権限があり、どのような経緯で決定に至ったのか、問いただしてみる必要があるので、区長が明日にも電話をすることになりました。
今回の一件で、熊のことをよく理解していない人が関わることが、いかに市民を危険に晒すことになるか、それが分かって脱力、愕然とする私です。
山に放しても、そこには別の熊がテリトリーを持っているのですから、そう易々と山に戻れるわけはありません。
それに熊という生き物は、自分が生まれ育ち居場所として来た土地と深い絆を持っています。
それは、人間の我々には想像が付かないくらい強いものです。
ですから、たとえ遠い場所に放されても、何とかして元居た居場所に戻ろうとします。
犬よりさらに数倍鋭いと言われる嗅覚を頼りに、また卓越した方向感覚を頼りに、多分数日あれば帰って来る可能性大です。
そして、罠にかかり体を傷めたことで一層用心深く、且つ人に対する敵対心を育ててしまったかも知れません。
人里に近寄り過ぎた熊は山には帰らないし、いつか人命に危害を及ぼす可能性が大きいのですから、確実に命を絶っておかなくてはならないのです。
そんなことも、分からない人には分からないのだろうな・・・。
実際に熊と至近距離で暮らして見れば、少しは分かってもらえるでしょうか・・・?
何だか、今夜は絶望的な気分です。