日別アーカイブ: 2021年6月30日

南部小麦に関する考察

麦ラボ

2021年産 中島第4圃場の南部小麦
有機肥料のみで収穫しています。
登熟期には毎朝晩、熟度をチェックして刈り取り時期を見定めました。
刈り取り後約一週間、稲架干しして追熟させています。


麦ラボ

2016年産 町内の農家さんに作付けしてもらった南部小麦
土壌は有機質100%でしたが窒素が不足していたかも知れません。
刈り取りのタイミングも早過ぎたようです。

南部小麦という品種があります。
岩手県の奨励品種になっています。

グルテンの力は中力程度ですが、粉の粘りが強く風味も良く製麺適正に優れています。
彼の南部せんべいの原材料にもなります。

そして食工房では、この南部小麦の粉を岩手県の製粉業者から取り寄せて、主力の原材料として使用しています。

一方、地元の農家さんにライ麦や小麦の作付けをお願いしていた時の小麦の品種が、他でもないこの南部小麦でした。

全粒粉に自家製粉して、飯豊山食パンや小麦丸に使用していました。

しかし、こう言っては何ですが、農家さんたちの麦にかける熱意に物足りなさを感じていました。
当然それは品質にも現れていました。
そんな状況に私の不満が募って、結局お付き合いを止めてしまいました。

以来、自分で作付けする方向へ舵を切ったわけですが、5年の歳月を経て今年、食工房でも南部小麦を、営業用に使う量収穫することが出来ました。

実はそれ以前にも、種取り用程度に細々試験栽培をしていましたが、その間に小麦の品質に関する勉強も進んで、今回の収穫ではまずまず満足の行く品質の小麦が取れました。

以前農家さんに供給してもらっていた時の小麦の画像と今回の食工房畑の小麦の画像を比較すると、まるで別物のように見えます。

小麦のタンパク価を上げるためには、土壌に十分な窒素分が不可欠で、つまり良く肥えた圃場でなくてはなりません。
そして、刈り取り時期が最も重要で、未熟でも過熟でもタンパク価は下がります。

見た目で言えば、透明感のあるあめ色で硬い粒なら高タンパク(グルテンの含有率が高い)、白く濁っていて柔らかい粒はでんぷん質が多く低タンパク(グルテン含有率が低い)です。
小麦粉も用途に合わせてタンパク価もいろいろですが、南部小麦は本来そこそこタンパクの強い品種です。

今回収穫した南部小麦をどのように使うか思案中ですが、一つは全粒粉に挽いてパンの原材料に、もう一つは製麺所に加工依頼して小麦麺を造ろうと考えています。

今後製粉の手立てが整うようなら、食工房の主力の原材料として使うことも夢ではなくなります。

そしてこの後、デュラム小麦やライ小麦も収穫になります。
さらに続いてライ麦、最後はスペルト小麦です。
いずれも価値ある麦です。