食工房のパンだより」カテゴリーアーカイブ

明日はシュトレンを焼きます

年末の稼ぎ頭シュトレンですから、どうしても最優先の仕事になります。
1個3,700円は、決して安いものではありませんが、複雑なレシピと完成までの手数の多さを考えれば、この価格にむしろ誇りを持って仕事をしています。
多くの皆さまにご支持をいただいています。

話は変わって、ここ数年、特に今年は、獣害が深刻で対応に追われています。
電気柵の設置と維持管理、トレイルカメラの設置と日々のチェックなどなど、ただでさえ忙しい毎日の中で貴重な時間を割かなければなりません。

一方、こんなことも一市民として誰が義務を負うものでもありませんが、被害を受けるとしたら自分たちですから、自宅周辺や生業としている圃場を護るために、出来ることはやるしかありません。

しかしその時間を割くために、食工房の仕事が疎かになるというジレンマを抱えてしまいます。

このところずっと、クッキーなど焼き菓子の在庫は全品目揃ったことが無く、いつも何かが品切れの状態が続いています。
また、食工房の看板であり広告塔でもある通信「飯豊の空の下から・・・ 」を発行するための時間も捻出出来ていません。
売り上げにも当然影響が出ます。

とは言え、獣害対策はいつでも最重要課題です。
これでは、まるで戦時下でパン屋をやっているようなものです。
確かにそうに違いない一面があります。

今やっとクマが冬眠に入ったであろう状況となり、一番の強敵と一時休戦となりましたから、これでもうずい分食工房の仕事に集中することが出来ます。
否、これが本来でしょう。

と言うわけで、明日はシュトレンを焼いています。
店の内外に、いい匂いが漂うことと思います。

シュトレンの試食もご用意して、皆さまのご来店をお待ちしております。

明日の朝は、白くなっているかも

雪の予報が出ています。
今夜遅くに一瞬らしいですが、多分明日の朝は、まわりは白くなっていることでしょう。

もうそういう季節になっているのですから、いつ降っても不思議はありません。
ただ、夏以降いつまでも暖かかったので、ここに来て急に真冬の寒さになるのは、衝撃が大きいですね。

これでもう、クマも穴に入ったでしょうか。
一時休戦です。
ただし、イノシシとサルは冬眠しませんので、戦いは続きます。
今のところまだ出没しませんが、ニホンジカもいるので、警戒しています。

さてさて、獣たちに振り回されながらも、本業は疎かにしていません。
明日は、パン焼きです。

収穫の恵みパンセットのご注文をいただいていますので、それに組み込むパンの仕込みが多くなっています。
おいしいパンを焼いてお届けまたお渡ししたいと思います。

お天気は優れないようですが、明日のご来店を心よりお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。

寒くなりそうです

やっと先週あたりから気温が下がって来ました。
今夜は、冷たい風が吹き雨が降っています。
みぞれに変わるかも知れません。
来週後半は、いよいよ降雪もありそうです。

そしてこの寒さの到来で、やっとシュトレンの製造も始まりました。
実は、先週の月曜日に今シーズン初の製造をしています。
明日は2回目のシュトレン焼きの予定です。

一方で、最近まで暖かかったせいで、冬支度が進んでいません。
雪囲いもまだまだ完成してないし、電気柵の撤去もまだです。

と言うか、電気柵に関しては、降雪後は稼働させられませんが、本当は撤去までしなくてもいいのです。
ただ、道路沿いだけは、除雪車の通行の邪魔になりますので、撤去するしかありません。
それがまだなのですね。
気が揉めますが、致し方ありません。

明日はまた、当集落の収穫祭イベントがあり、私一人ですが、仕事の合間に参加して来ます。
旨い手打ちそばが食べられるのです。

差し入れに、スコーンを50個用意しました。
バザーで売ってもらって、売り上げを寄付します。

そんなわけで、明日も思いっ切り忙しい一日になりそうです。
早朝4時から、シュトレンの仕込み作業です。

バチルス菌対策を考えています

食工房

2023年度食品検査結果
画像クリックで拡大表示します。

スコーンの糸引き現象の原因が分かったのをきっかけに、製造環境全体の衛生管理を見直すことにしました。

まず、パンや焼き菓子は、庫内温度が200℃に達するオーブンで焼いた時点で完全に滅菌されるはずと思いがちですが、実はそうではないのですね。

水分のある生地を焼くのですから、水分が無くなるまで焼くのでなければ、表面はともかく内部は100℃を超えることはありません。
たいていは80℃くらいに止まるようです。

これでは、バチルス菌の淘汰など望むべくもないことですから、何か別な方法を考えなくてはなりません。

※バチルス菌は、150℃ 30分間でも完全には死滅しない。

防腐剤あるいはpH調整剤などの添加物に頼る方法が先ず一つです。
これに関しては、重曹+りんご酢の件で説明した通り、化学反応によって酢酸ナトリウムが発生するので、ある程度の殺菌効果が期待出来ます。

それから、ヨーグルトなどの乳酸発酵製品を原材料の一部として使用することで、バチルス菌を抑制する効果があるそうです。
このあたりをもっと詳細に化学的に検証して、確実な殺菌効果を発揮出来てしかも風味に響かない配合を編み出せないか、研究して見たいと思っています。

あと一つは、製造環境のクリーニングの意味で、オゾン発生器による環境除菌を検討中です。
あるいは、次亜塩素酸水の活用も可能ではないかと、そちらも検討しています。

尤も、酵母菌や乳酸菌も一緒に淘汰されたのでは元も子もなくなりますから、使用する場面や使用方法などは、細かく検討する必要がありそうです。

ちなみに、本年の食品検査では、スコーンを検体として提出しました。

※年一回以上、製品の生物化学的検査が義務付けられています。

結果は、一般生菌数 10未満/g 大腸菌群 陰性 /0.1g 黄色ブドウ球菌 陰性 /0.01g でした。

これなら、糸引き現象が発生する懸念はないものと思います。

収穫の恵みパンセット 発売!

食工房

食工房の麦畑・収穫の恵みパンセット 2023

画像が用意出来ましたので、オンラインストアでも発売いたしました。
食工房オンラインストア、ハンドメイドマーケット”Creema”、二つのサイトでご購入いただけます。
原則として、お一人さま1セット限定とさせていただきます。
商品は、オンラインストア、店頭販売、直接通販を含めて合計50セットです。
よろしくお願いいたします。

飯豊の空の下から

台所の窓から見える飯豊山、すっかり冬の装いになりました。

スコーンの糸挽き引き現象について・その後

2017年5月の記事ですが、「スコーンの糸挽き引き現象について」という報告をしています。

その後どうなったかについて、報告しないまま時間が過ぎてしまいました。
私の勉強不足もあって、正確な原因が分かったのは、割合最近になってからのことです。

糸引き現象は、業界では「ロープ現象」と呼ばれ、バチルス菌という細菌によって生成されます。
納豆菌とは類縁の細菌です。

環境には普遍的に存在しており、製造現場の空気中にも浮遊しています。
また小麦粉そのものにも、数種類のバチルス菌が存在することが分かっています。

原材料から生地を経て焼き上げ、冷却に至るまで、すべての工程がバチルス菌汚染のリスクに晒されています。
しかも、バチルス菌は150℃まで耐えるので、オーブンによる焼成の温度でも死滅しません。
バチルス菌のリスクを除去することは大変困難です。

それでその後、食工房がどういう対応を取って来たかと言うと、製造現場の衛生管理をより徹底したこと、賞味期間を夏、春秋、冬で変更し、夏場は特に短く1週間としました。
ちなみに冬は、1ヶ月です。

この対応で、ほぼクレームは発生しなくなりましたが、原因についての核心が掴めていなかったので、いつも若干の不安がありました。
しかし、ごく最近になって多くの情報に触れることが出来、一挙に学習が進みました。

それによると、バチルス菌を抑制するためには、生地、製品のpHを低く保つこと(pH=5.0~5.5)が重要と分かりました。
業界では、添加物の使用が推奨され、特に酢酸ナトリウムあるいは酢酸そのものの有用性が報告されています。

そこで思い当たるのですが、食工房では膨張剤として重曹(炭酸水素ナトリウム)とりんご酢(酢酸を含む)を反応させて炭酸ガスを発生させています。

この時の反応で、微量の酢酸ナトリウムが生成されますので、当然これによる殺菌効果が期待出来ます。
ただし、製品のpHを正確に測ることまではしていなかったし、そのような殺菌のメカニズムについても無知でした。

とは言え最近は、重曹臭さを回避するために、りんご酢を規定量より若干多くしていましたが、これがpHを下げることに貢献したものと思っています。

こうした対応が功を奏したのか、スコーンに対するクレームは、最近では一件も発生していません。

今後はなお念を入れて、定期的な品質テストを行うこと、製品pHを正確に設定することなどを実現していきたいと考えています。

<参照> 「食品の微生物変敗と防止技術」 アサマ化成株式会社発刊 「アサマNRWS パートナー №192」

地→自 粉食パンになります

麦ラボ

南部小麦自粉角食パン


麦ラボ

南部小麦近影
スペルト小麦に比べても遜色ないほど風味が良く、製麺に適し、製パンも可能です。

今年収穫した南部小麦の品質が良かったので、原穀60kgを製粉してもらいました。
約40kgの小麦粉が取れましたので、期間限定ですが、現在主力で使用している岩手県の東日本産業製の南部小麦粉に替えて、自家産の南部小麦を使用することにしました。
国内産小麦の粉のことを地粉と呼びますが、さらに自家産であることを主張するために「自粉」と呼ぶことにしました。
これからこの小麦粉が無くなるまでの一時、地粉角食パン→自粉食パンになります。
それに合わせて、「2023 収穫の恵みパンセット」を発売します。
内容は以下のとおりです。
• 自粉角食パン1斤  ×1
• 堅焼き黒パン・大  ×1
• スペルト小麦丸   ×1
• プンパニッケル   ×1
• かぼちゃあんぱん  ×2
以上、合計2,825円のところ、50セット限定 特別価格2,000円で販売します。
近々、オンラインストアにアップしますので、よろしくお願いいたします。
お電話やファックス、またEメールでのご注文も受け付けますので、ご遠慮なくいつでもお問い合わせください。
なお、店頭でのご購入をご希望の方は、前以てお問い合わせの上ご予約ください。
その場では、ご用意出来ません。ご了承ください。

早いもので、間もなく12月がやって来ます。
この時期に「紙版・飯豊の空の下から・・・」が出せていないので、各方面に告知が間に合っていませんが、それでもシュトレンのご予約を次々いただいています。
大変ありがたく感謝申し上げますとともに、これも長年続けて来たことへのご信頼あってのことと、うれしい気持ちです。
来年1月には、開業20周年の節目にもなります。
今後ますます精進いたしますので、どうぞお引き立てのほどよろしくお願いいたします。

ちなみに、食工房は、明日11/14(火)と11/15(水)の2日間定休日休業となっております。

パンの出来が良くなっている

麦ラボ

規定量の生地で、きれいに角食になりました。

季節要因でしょうか、気温が下がってパンの出来が良くなっています。

尤も、今までは良くなかったということではありません、念のため。

パン生地の発酵で、低温長時間の方がより風味が出ることは分かっています。
室温が高い季節は、そのコントロールがうまく行かなかったりします。

今頃は、何もしなくても自然に温まったくらいの室温でうまく行きます。
過醗酵を恐れずに熟度を追い込むことが出来ますので、膨らみの弱い我が酵母でも食パンが形良く仕上がります。

そして風味も良いのですね。
当然食欲も増しているわけで、本当にありがたい季節です。

明日は、今度はスコーンです。
食工房では、定番の人気商品です。

会津中央乳業の「アイス牧場」「道の駅あいづ」七日町「駅カフェ」などでも販売中です。人気の商品としてご好評いただいています。

道の駅あいづ

道の駅あいづにて販売中

そして、この季節らしい気温の低下で、やっとシュトレンの製造に取りかかれそうです。
皆さまのご予約ご注文をお待ちしております。

シュトレンつくりは、まだスタート出来ません

この季節としては暖かい日が続いています。
真夏のあの暑さから比較すれば、確かに気温は下がって秋も深まったとの実感がありますが、それでも平均気温は相変わらず高めで推移しているのですね。

あの、バターがカチカチに硬くなるような寒さには到底至りません。
そんなわけで、まだ当分先までシュトレンつくりがスタート出来そうもありません。

今年は、最後になって一気に仕事をこなさなければならないかも知れませんね。
ま、そうなったらなったで、もちろんやり切る覚悟はしています。

明日は、またいつものパン焼きです。
おいしいパンを焼いて、皆さまのご来店をお待ちしております。

自家産南部小麦の粉で食パン

麦ラボ

規定量の生地で、きれいに角食になりました。


麦ラボ

切り口を見るためにスライスしました。

今年産の南部小麦を業者に製粉してもらいました。
その粉を使って、標準的な角食パンを焼いて見ました。
その粉の持つ力(製パン適正)を測るのが主な目的です。
製パンに向かないと言われる国産小麦ですが、これはこれと割り切れば膨らみに関してはまあまあ、風味に関しては申し分なし、と言う結論になります。
もうずっと国産の小麦の粉だけを使ってパン屋をやって来ましたから、「うちのパンはこんなパンです。」と、皆さまにも納得していただいています。
その範囲で言うのですが、今日のテストは全く上々の結果でした。
つまり、今年の小麦はなかなかの上作であったということです。
行く行くは、自家産の小麦の粉で作る食パンが定番商品の一つになることを目指しています。
明日は、これをトーストして朝食にいただこうと思っています。
そして、今年の「収穫の恵みパンセット」の中にメニューの一つとして入れることにします。