まだ大仕事が残っている

麦の収穫が順調に進んでいます。
南部小麦、デュラム小麦、ライ小麦と、少量3種はいずれも今日までに脱穀まで終わりました。

この後に控えているのが、ライ麦とスペルト小麦です。
こちら二つとも10a以上の面積がありますので、作業量も多く数日かかると思います。

その間のお天気がどうなるか、これが決して楽観出来る状況ではないのですね。
向こう一週間、ずっと雨または曇りの予報ですから。
ま、適当に外れてくれることを祈りながら、臨機応変に対応したいと思います。
さすがに疲れも溜まっております。

明日の早朝は、集落の奉仕作業(人足)も予定されています。
河川の両岸の刈り払い作業です。
怪我の無いよう、注意の上にも注意して臨みます。

デュラム小麦の脱穀

麦ラボ

高野第1圃場 デュラム小麦
昨年、スペルト小麦を作付けした跡地のため、至るところにスペルト小麦が勝手に育ってしまい、除去に大変な手間を食った。


麦ラボ

追肥が適切でなかったため、倒伏株が続出。
刈り取りには、大変な手間がかかった。


麦ラボ

スペルト小麦が雑草化して混入してしまいました。
取り除くために、大変な苦労をしなければなりません。


麦ラボ

2021年産 デュラム小麦
品質的には、上等だと思います。

この前の日曜日に、刈り取りをして稲架にかけて置いたデュラム小麦の脱穀を、今日やりました。

ただ今梅雨の最中で、とにかくお天気が不安定ですから、晴れ間があれば他のことは置いて、麦の収穫を優先しています。

そのデュラム小麦ですが、日本国内では作付けの実績はごく限られた例があるのみです。
東北では、多分例が無いと思います。
だいたいが暖地向きのデュラム小麦ですから、雪国では尚のこと難しい・・・。

しかしその常識を破って、食工房麦ラボでは、会津で7年目の栽培実績を更新中です。
今年は、3アールほどの高野第1圃場で、50kg余りの収穫が実現しました。

日本国内産のデュラム小麦は、西日本に一例「瀬戸デュール」があるのみです。
この瀬戸デュールの耐雪試験栽培を、2016~2017年にかけて食工房でも実施しています。
結果は、残念ながら降雪初期に根腐れを起こして枯死。
耐雪性を証明することは出来ませんでした。

一方で、カナダ産のライ麦原穀の中に異物として混入していた麦の一つがデュラム小麦であることが分かり、食工房でずっと試験栽培を続けて来ました。

こちらは雪の中でもたくましく越冬するので、会津で作付けが可能かも知れないと考え、近年徐々に作付けを増やし、ついに実用段階に達したというわけです。

デュラム特有の黄色の発色も申し分なく、風味も普通の小麦とは全く異なります。
水を加えて捏ねれば、早くもパスタの風味そのものです。

まずは、お約束のフォカッチャの新発売ですね。

あと、自家用に生パスタに挑戦したいと思っています。
楽しみです。

麦の話続く

食工房では、いつの頃からでしょう、多分10年以上も前からですが、鉢植えの麦を店の前に並べて皆さまにご覧いただいています。

年々種類も増えて、今では大麦、小麦、ライ麦、デュラム小麦などなど多種多様です。

ある時、近所のおばあちゃんが目を留めて、上の娘に言いました。
「ほう・・・、これは、ご飯に入れる麦だな。」「こっちは、うどんにする麦だな。」と。

自分たちも、昔は麦を作っていたのだそうです。
だから、見てすぐにそれが何であるか分かって、娘に声をかけて来たと言うわけです。

そして別な麦を指さしながら「この麦は、見たことねぇな・・・。」と。
そこで娘は、それがマカロニを作る用のデュラム小麦であることを説明してあげました。
おばあちゃんは、珍しいものを見て感心していたとか。

また別のおばあちゃんは、ライ麦も小麦も大麦も作ったことがあると言い、例えば小麦はいつまでも畑においておくものではないこと、刈り遅れると甘くなるのだと教えてくれました。

さらに、そうなると粉に粘り気が無くなり、うどんを作っても生地がべた付いてこしが無く、食べてもおいしくないとも。

ふーむ、なるほど。
小麦の刈り取り時期の重要さは、おばあちゃんも知っていたのですね。

また、ライ麦でソーメンを作って食べたものだと言うおばあちゃんもいました。
どんなものだったのか詳しく知りたいと思いましたが、お話を伺う機会を逃しています。

こんなふうに、ちよっと時代をさかのぼると、そこには麦を作って日々の食に活用していた風景があったのですね。

お年寄りたちに学べることは、実は沢山ありそうです。
元気なうちに、いろいろお話を聞いておきたいと思っています。


ライ小麦の収穫

麦ラボ

中島第5圃場 ライ小麦


麦ラボ

ライ小麦 収穫作業中


麦ラボ

ライ小麦 近影


麦ラボ

ライ小麦 近影


麦ラボ

ライ小麦 近影

昨日と今日の二日に分けて、中島第5圃場のライ小麦の収穫をしました。

このライ小麦で興味深いことは、小鳥たちがとにかくこの麦に集まることです。
否、そんなにおいしいのか・・・と思います。

ですから、私たちにとっても食味の良い麦なのだろうと考え、それまで試験栽培に止めていたものを昨年から実用レベルにまで作付けを増やしたというわけです。

実は昨年、わずかに一度だけでしたが、パンを焼いて食味テストをしています。
否それが、なかなか風味絶佳で、これはイケると思ったものですから。

今回の収穫で、多分数十キログラムは取れるものと思います。
それをパンづくりにどのように活用するか、うれしくまた楽しみな課題です。

南部小麦に関する考察

麦ラボ

2021年産 中島第4圃場の南部小麦
有機肥料のみで収穫しています。
登熟期には毎朝晩、熟度をチェックして刈り取り時期を見定めました。
刈り取り後約一週間、稲架干しして追熟させています。


麦ラボ

2016年産 町内の農家さんに作付けしてもらった南部小麦
土壌は有機質100%でしたが窒素が不足していたかも知れません。
刈り取りのタイミングも早過ぎたようです。

南部小麦という品種があります。
岩手県の奨励品種になっています。

グルテンの力は中力程度ですが、粉の粘りが強く風味も良く製麺適正に優れています。
彼の南部せんべいの原材料にもなります。

そして食工房では、この南部小麦の粉を岩手県の製粉業者から取り寄せて、主力の原材料として使用しています。

一方、地元の農家さんにライ麦や小麦の作付けをお願いしていた時の小麦の品種が、他でもないこの南部小麦でした。

全粒粉に自家製粉して、飯豊山食パンや小麦丸に使用していました。

しかし、こう言っては何ですが、農家さんたちの麦にかける熱意に物足りなさを感じていました。
当然それは品質にも現れていました。
そんな状況に私の不満が募って、結局お付き合いを止めてしまいました。

以来、自分で作付けする方向へ舵を切ったわけですが、5年の歳月を経て今年、食工房でも南部小麦を、営業用に使う量収穫することが出来ました。

実はそれ以前にも、種取り用程度に細々試験栽培をしていましたが、その間に小麦の品質に関する勉強も進んで、今回の収穫ではまずまず満足の行く品質の小麦が取れました。

以前農家さんに供給してもらっていた時の小麦の画像と今回の食工房畑の小麦の画像を比較すると、まるで別物のように見えます。

小麦のタンパク価を上げるためには、土壌に十分な窒素分が不可欠で、つまり良く肥えた圃場でなくてはなりません。
そして、刈り取り時期が最も重要で、未熟でも過熟でもタンパク価は下がります。

見た目で言えば、透明感のあるあめ色で硬い粒なら高タンパク(グルテンの含有率が高い)、白く濁っていて柔らかい粒はでんぷん質が多く低タンパク(グルテン含有率が低い)です。
小麦粉も用途に合わせてタンパク価もいろいろですが、南部小麦は本来そこそこタンパクの強い品種です。

今回収穫した南部小麦をどのように使うか思案中ですが、一つは全粒粉に挽いてパンの原材料に、もう一つは製麺所に加工依頼して小麦麺を造ろうと考えています。

今後製粉の手立てが整うようなら、食工房の主力の原材料として使うことも夢ではなくなります。

そしてこの後、デュラム小麦やライ小麦も収穫になります。
さらに続いてライ麦、最後はスペルト小麦です。
いずれも価値ある麦です。

夜間パトロール

何としても麦を守らなければなりません。
今出来る方法の一つとして、夜間パトロールをしています。

暗くなって間もない頃の時間帯、それからしばらく経った深夜の時間帯に車に乗って圃場の周りを見回ります。
パターン化しないよう、時間は適当にずらしています。

本当は、真夜中にも回りたいところですが、それでは寝る時間が無くなります。
でも、人が出て行くのが一番の抑止力になるみたいです。
そんなわけで、夜の時間帯もゆっくりしていられません。

しかしそれも麦の収穫が終わるまでの辛抱なので、何とかやり遂げたいと思っています。

電気柵も、導入することにしましたが、今年は間に合いません。
残念ながら、ネット作戦は敗北です。

それでも一つ救いだったのは、ノゲの長い麦は敬遠するらしいことが分かったことです。
イノシシの習性をよく掴めば、効果的な対処も出来るようになるものと思っています。

ここしばらくの間、ブログの更新、途切れることもあるかと思います。

農繁期

麦の作付けは、収穫期の今頃が一番の繁忙期、つまり農繁期です。

稲作だと、田植えの頃と収穫の頃の2回、麦作も秋の種まきの頃と収穫期の今頃の2回、農繁期があります。
品種の違う麦を数種類植えていますので、収穫期も少しずれます。

今年は、一番初めが南部小麦でした。
そして昨日と今日でデュラム小麦を刈りました。
いずれも稲架を作って掛け干し中です。

主力のライ麦はもう少し熟度が上がるのを待っています。
スペルト小麦はさらに後になります。
全部終わるまで、何だかんだと一ヶ月ほどかかります。

その間に、どうしても食工房の製造作業を休まなくてはならないタイミングが生じます。
何しろ、お天気に左右されますし、麦自体の登熟度も見なくてはなりません。
農作業は、何に付けても臨機応変が求められるのですね。

そこへさらに、イノシシなどによる獣害があるわけです。
今、スペルト小麦に被害が出始め、ネットだけでは防げないことも分かって来ましたので、別な方法も思案中です。

そしてもう一つ、イノシシにとっても、長いノゲはどうやら苦手と言うか、食の優先順位としては低いようです。
デュラム小麦やライ麦は、実は囲っていないところもあるのですが、今のところ被害はありません。
他に食べるものが無くなったら、その限りではないかも知れませんが。

明日も曇りまたは晴れのお天気のようなので、麦の収穫作業が続きます。
食工房の製造作業は、一時休止です。

ただ一つビールだけが、ドゥコンディショナーの中で熟成中です。
今日のチェックで、昨日より糖度が下がりアルコール感が増していることを確認しました。
あと数日で完熟、ボトリングの流れです。

パン焼き、麦刈り、ビール仕込み

今日は早朝から、まずパン焼き仕事を。

午後から、麦畑の獣害対策と麦刈りを。

そして夕方、昨日発酵をスタートさせたモルトの点検を。

今回も順調に発酵が進んでいます。
作っている人だけが飲める成りかけビールは、アルコールはほとんど生成されておらず、モルトの甘みが残っていて、そこにホップの苦みと香り、そして炭酸のシュワシュワ感が合わさって、それはそれはおいしい滋味滋養の飲料です。

あんまり美味しくて、いくらでも飲めそうでしたが、そこはぐっとこらえて小さなお玉に一杯だけにしておきました。
ちゃんとビールになったら、それはそれでまた素晴らしいので。

で、ただ今梅雨の最中なのですが、案外止み間晴れ間があるので麦の収穫にとっては大助かりです。

先日の南部小麦に続いて、今日からデュラム小麦を刈り始めました。
多分、明日の午前中で大方終わると思います。

イノシシとの攻防が続きますが、大きな被害を出さずに収穫が終わることを願っています。

話が後先になりましたが、今日のパン焼きは上々の出来でした。
だから、ビールがうまく行くようならパンもおいしいと、やっぱり間違いありません。


追伸

昨日の糞の中身にバーナーの火を当ててみました。
瞬間にチリチリ、ジュージューと音を立てながら縮れて、あの髪の毛が焼け焦げる時の臭いがしました。
イノシシの毛に間違いありません。
さあ!いったい何があった?
今朝また、麦畑にイノシシが来てるんです。

まわりの野生で起こっているドラマを想像する

昨日のこと、麦畑に隣接する耕作地にイノシシと熊の足跡が付きました。

熊の足跡は、何かを追いかけるか、逆に追いかけられたか、すごい勢いで駆けた様子が見て取れました。
イノシシも同様で、両者の足跡は交叉していました。

そしてイノシシは、麦畑の周りに張り巡らしてあるネットに激しく突っ込んで網目を切って中に入ったようです。
おかげで、どうたどって行ったものか、一番はずれのじゃがいものあるところまで来て、太り始めていたじゃがいもを食害しました。

これはこれで深刻な被害で、別な対策も検討しなくてはなりません。

そして今朝のこと、獣たちがやって来た気配は一切なく、肩透かしを食った気分で帰ろうとした時、道端に落ちている小さな糞に目が留まりました。

大きさや形からキツネの物だと思われましたが、よく見ると毛のようなものがびっしりと混ざっていました。
それがどう見てもイノシシの毛のようで気になって仕方がありませんので、棒の先でつついてほぐして見ると、糞はほとんど毛のかたまりのようでした。

一瞬、麦のノゲかな・・・?と思いましたが、麦の実の部分の残渣は一切ありません。
上の娘が言うには、「ノゲなら細かく折れたり切れたりするし、これはどう見てもイノシシの毛だよ。」と。

しかし、キツネがイノシシを捕食するとは考えられませんから、だとするとイノシシが何らかの理由で死んで、それを食べたとしたらあり得る話です。

でも、何故イノシシが死んだのか?
熊なら襲うということはあり得ますが、このところ出没している子熊は、イノシシに手を出すとも思えません。

ひょっとして何か感染症(豚熱)にかかって弱っていたとか・・・。

結局、何があったのかは分かりませんが、イノシシの毛が混ざったキツネの糞があったことだけが事実です。

今日は、とっさのことで思い付きませんでしたが、明日もう一度現場に行って、バーナーでその毛を焼いてみましょう。
髪の毛が焦げるような匂いがしたら動物の毛です。
そうじゃなかったら、植物の繊維か何かです。
麦のノゲかも知れません。

でも、キツネが麦を食べるでしょうか・・・?あり得ないことだと思いますが。
そうするとキツネの糞じゃない?
いやいや、分からなくなって来ました。

しかし、ここ数日、カラスがやけに騒がしいのです。
近所の人も気がついていて、何か来てるのかな・・・などとしゃべり合ったところです。

「おーいカラス!イノシシが死んでなかったか?」
そこまで話が通じるようなら素晴らしいのですが、うーん、まだまだ修行不足ですね。

ドローンを飛ばして探索するという手もありますが、時間とお金がありません。

しかしそれにしても、毎日毎日、周辺では激しい獣たちのドラマが繰り広げられているに違いありません。

パン焼きの後、麦刈りを

麦ラボ

バインダーを使って刈り取りしています。


麦ラボ

稲架にかけて数日間追熟と乾燥を待ちます。


麦ラボ

登熟を揃えるために、稲架かけしています。

スッキリ晴れたというわけではありませんでしたが、雨が上がって乾いて来ましたので、思い切って麦刈りを断行しました。
ちょっと早いような遅いような微妙な登熟でしたが、稲架かけして調製することに。

尤も、雨が続けばその配慮も裏目に出る可能性がありますが、止み間や晴れ間がそこそこあるものと予想しています。
どこかのタイミングで、脱穀作業になります。

パン焼き作業が終わってからの開始でしたから、全て終わったのは午後7時近くでした。
老体には少々ハードワークでしたが、何とかやり終えました。

最早、娘たちの働きが頼りの生業です。
この後、次々と刈り取りが続く予定です。

今週も忙しい一週間に

麦ラボ

中島第二圃場 ライ麦


麦ラボ

中島第三圃場 スペルト小麦


麦ラボ

中島第四圃場・南部小麦(奥)と中島第五圃場・ライ小麦(手前)
一面の新緑の中に、ひときわ目立つ麦秋


麦ラボ

中島第四圃場 南部小麦


麦ラボ

南部小麦近影
間もなく刈り取りです

昨日は、休日返上でカリーマサラの計量包装作業を、これが案外午前中で終わらず、少し午後に食い込んで終了。

午後からは、麦畑に様子を見に行き、一番早く登熟が進んでいる南部小麦の刈り取りが出来るかどうかを見極め、まだちょっと早いと判断して先送りすることに。

一方、ビールのボトリングも、瓶を洗ったり消毒したりして準備完了でしたが、若干発酵が未熟で一日遅らせることになりました。

そして本日、ビールのボトリングからスタート、330ml入小瓶で51本出来ました。
これに午前中を費やして、午後から通常業務に。

コーヒー豆の選別作業そして焙煎。
上の娘は、酵母種の仕込み、金曜日のスコーン焼きに備えて粉とバターを切り混ぜる作業、そして明日のパン焼きのための粉の計量などを担当。
下の娘は、出荷発送のための事務作業全般を担当。
連れ合いは、出荷発送のお客さまお一人お一人に手書きのお便りを書きます。

そして明日から、また営業の一週間が始まるというわけです。
この先の一週間、晴れ間があれば麦刈りが始まります。
ビールの仕込みも第2弾をやるつもりですから、時間の使い方はアクロバットのようになることでしょう。

ま、ま、がんばるしかない!ということで、まずは明日のパン焼きからです。

もちろん、皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

どうぞ、どうぞ、よろしくお願いいたします。