日別アーカイブ: 2015年4月1日

十分予熱と十分予熱

一方が、十分(じゅうぶん)予熱、他方は、十分(じゅっぷん)予熱。

十分予熱したオーブントースターで・・・、と記述したところで、二通りの読み方があることに気がつきました。
そうです。 今月号の「紙版・飯豊の空の下から・・・ 」の記事の中の話です。

まあ十分(じゅっぷん)も予熱すれば、十分(じゅうぶん)過ぎるので、どちらでもいい?と言うわけには行きませんね。

そこは少し親切に、「じゅうぶんよねつ」と伝えたいなら「十分に予熱」と、「じゅっぷんよねつ」と伝えたいなら「十分間予熱」とすれば良いのですね。

そこで思い出したのが、ある過去記事でした。
近頃のオーブントースターは、過熱防止のためにサーモスタットが入っていて、十分に予熱すると間もなくスイッチが切れてしまいます。

十分間も予熱しようものなら、途中でスイッチが切れてしまいます。
どうにかならんか?この役立たず!といつも思います。

そこで、自己責任でサーモスタットを解除して使っています。

「ハイテクの世の中とユーザーの無知」というそのお話し、以下に再録しておきます。


ハイテクの世の中とユーザーの無知

最近、新しい道具や機械を見たり、実際に使ったりする度に思うことがあります。
それは、科学技術の進歩によってより便利で安全になったはずの道具や機械が、案外使い勝手が悪いことです。

例えば、ガスコンロの立ち消え防止機能。
感熱センサーの働きが、ちょっとしたことで鈍くなり、何度点火してもすぐ消えてしまうことがあります。
初めのうちは汚れを掃除すると直っていましたが、そのうちに汚れに関係なくいつまでも着火しななりました。
あまりの使い勝手の悪さにとうとう頭に来てしまい、持ち前の好奇心も手伝って、分解して安全装置の仕組みを確かめて見ました。

メーカーや機種によって仕組みは違っているかも知れませんが、うちのはリンナイ製の一番低価格の機種。
仕掛けはいたって簡単で、部品はサーモカップルと呼ばれる二つの異なる金属で作られた電気回路とバネと磁石だけです。
完全に解除することも出来たのですが、この時はバネを切り詰めて反発力を弱くすることで、上手く行きました。

こんなことをして、事故が起こったらそれこそ自己責任ですが、どの程度のことをすればどの程度危険なのか、理解出来ない時はもちろん手を出しません。

オーブントースターでも、似たようなことがありました。
過熱防止のためにサーモスタットが入っていて、続けて何回か焼いていると、三回目くらいで早くも安全装置が働いて、いい具合に焦げ目が入り始めたところで、プツンとヒーターが切れてしまいます。
待っているうちに冷めて自動的に復帰しますが、その頃にはパンが硬くなってしまっています。
ピザトーストの時なんか、ひどいもんです。

いくら安全でも、役に立たない道具じゃしょうがないでしょ!と言うわけで、こちらは中を開けて電線をつなぎ変えてサーモスタットを解除して使っています。
ちゃんと最後まで、その場を離れず見張っていればいいのですから。
それが出来ない状況では使わないことです。

とまあ、こんな例はハイテクというほどのものではありませんが、家庭で使う道具や機械には、得てしてユーザーの無知を予め想定しているかのような、過剰な安全配慮で機能性が損なわれているものが少なくありません。
あくまでも事故防止が最優先だと言われればそれまでですが、私などは、それでは何か今一つ釈然としません。

昔は、茅葺き屋根の家の中で火を焚いて生活していたのですから。
何と言ったら良いのか分りませんが、今の私たちは、生きることに対する緊張感がなくなってしまったということを思います。

新しい技術の成果に出合う度、背後にある危険について何も学ばず、知ろうともせず、ただ使い方を覚え便利さだけを受け取ろうという私たちの態度が、状況を悪くして行くのだと思います。

それが繰り返されているうちに、いつか私たちはとんでもない目に合いそうな、そんな予感が頭を離れない私です。