食工房ではライ麦の全粒粉を自家製粉しています。
何と言っても全粒粉は酸化が速いので、こまめに使う分だけ挽くようにしています。
粉挽きの時は、粉塵が舞うのでいろいろ工夫しているのですが、それでも作業が終わって見ると鼻の頭や頬に粉がついて真っ白で、いつも連れ合いや娘たちに笑われてしまいます。
そして私は決まって、「のばらの森の物語」に出て来る粉屋のダスティーを思い出します。
写真の製粉機は、もうかれこれ25年くらい使っているものです。
石臼ではありませんが、少し回転数を落として発熱を少なくして使っています。
いつもはライ麦専用ですが、炒り玄米を挽く時もあります。
また、たまにご近所の方に頼まれて、もち米を団子の粉に挽くこともあります。
ちなみにこの製粉機、モーターの入っている架台の箱は私の自作です。
ライ麦入り角食パン
自家製粉のライ麦全粒粉10%入り、繊維質を取りたいけど食感もそこそこに、という方におすすめのバランスの良い配合です。
トーストした時、白パンでは味わえない香ばしさと麦芽の風味が、いかにも食欲をそそります。
バターとメイプルシロップの重ね塗りで召し上がってみてください。これが一番のおすすめです。
投稿者「mikio aoki」のアーカイブ
マイブログ中間報告
あと何日かあるのですが、このブログを書き始めてから間もなく二ヶ月になります。
始める前は、更新は一週間に一回くらいと思っていたのですが、いざ書き始めてみると、書くことがあるうちは毎日書いた方がいいなと思いなおして、ずっと一日も休まずに書き続けています。
最近では、とにかく毎日一編を日課にしてどこまでやれるかやってみよう、という気でやっています。
ところで私の場合ですが、ブログを書くことは即ち公衆の面前、大道に立つのと同じと考え、緊張感を持って取り組むことにしています。
当初はいろいろ悩んで、匿名のコメントを受け付けない設定にしたり、コメントを公開しない設定にしたりしましたが、私の場合はそれでは意味がないと悟り、誰からでもコメントをいただき、原則すべて公開としています。
トラックバックに関しては、今一仕組みがよく分からないのと、ほとんどの場合特定のサイトへ誘導することやスパム目的だったりすることが多いので、無害と確認出来るもので、こちらの記事に多少でも関連のあるもののみ公開しています。
どんな方が見てくださっているのか分かっている方もいれば、全く想像のつかないところで知らない方が見てくださっているかも知れないのがインターネットの世界、私の発信する記事がほんの爪の先ほどでも、この世界の平和や私も含めた人々の幸せに貢献出来るようだったら、こんなうれしいことはないと思っています。
本日の食工房
今日は恒例、忙しい木曜日です。
実は、午後7時半を過ぎてまだ仕事が終わっていません。
今朝は5時前から始まっていますので、何時間労働になることやら・・・。
コーヒーを11年間飲まなかった話
コーヒーが好きで、コーヒーを商売のネタにしている私ですが、過去には11年もの間一滴もコーヒーを飲まないで過ごしたことが、実はあるのです。
昨日の話に関係してくるのですが、マクロビオティックを厳格に実行し始めていた当時の私は、コーヒーや煙草に嫌悪感を覚えるようになり、以来11年間コーヒーを口にしませんでした。
何かというと極端から極端へ走る性格の私は、コーヒーも紅茶もアルコール類も一切受け付けず、飲み物は専ら三年番茶で、たまに気が向くとタンポポコーヒーや小豆コーヒーと称する自然食系の健康飲料でした。
一時は、天然マコモの粉末をお湯に溶かして飲んでいたこともありました。(これは、全くおいしくなかったことだけを覚えています。)
ちょうどその頃から自然食品の商売を始めた私は、玄米食の効用を説き、健康は先ず食事からと宣伝して歩きました。
コーヒーは体に悪いので止めた方が良いとも申し上げました。
それが突然、再びコーヒーを飲み始めたのは、一体どういうわけか?と言われても、あまり明確な理由を思い出せません。
ただフッと「コーヒーが飲みたい・・・」と思った心の動きに、素直に従っただけというのが本当のところです。
東京に仕入れに出かけた時、昔行きつけのコーヒー豆屋の前を通りかかり、思わず衝動的に昔どおりのブレンドで豆を1㎏ほど買って帰りましたが、連れ合いは驚きのあまり目が点になっていました。
でも、二人で久しぶりにコーヒーを飲んだら、妙に納得がいって幸せで不思議な気分でした。
そして数年後には自家焙煎をやり始め、今ではコーヒーが商売のネタになり、よそのお店でも使っていただくほどになりました。
人生、何が起こるか分からない、と言うよりは、ただ私が気まぐれなだけかも・・・。
コーヒー断ちしたのが25才の時、11年ぶりにコーヒーを飲んだのが36才の時でした。
コーヒーまで紅茶!?
ネパールと言えば紅茶の国、というイメージが強いのは私ばかりではないと思います。
ところが、コーヒーも生産されているのですね。
生産量は多くはないようですが、外国向けに輸出もされています。
このネパールのコーヒーがちょっと変わっていて、私は最近注目しています。
コーヒーの主産地である中南米産のものと比べて、明らかに異なる個性を持ったネパールコーヒーの風味は、一口で言えば「お茶の雰囲気」を感じさせます。
同じくらいの焼き加減でも意外に水色が薄く、しかしそのわりには苦味があります。
その苦みが何と言ったら良いか、薬草のような、要するに紅茶的なんですね。
多分、ローストの苦みよりもカフェインの苦みを感じているからなのでしょう。
そして、酸味がとても心地良いのがもう一つの特長です。
フルーティーで、いつまでも口に含んでいたい感じです。
食工房では今、ネパールコーヒーの中からサガルマータ(エベレストのネパール語名)とアンナプルナ(豊穣の女神の意)のニ銘柄を取り扱っています。
※サガルマータは、仕入れ元で売り切れ終了となってしまいましたので、食工房でもまもなく売り切れ終了となります。
All Illusts by Machiko
セルフヒーリング
50代半ばを過ぎると、これまでの人生の過ごし方が心身の健康面に、結果として現れて来るのだなぁということを強く感じます。
私などもそうですが、運動不足がちだった人は、いち早く体力の衰えや不足を感じざるを得ないし、逆に体を酷使して来た人は、あちこち痛みに悩まされているかも知れません。
若い時と違って、ちょっと風邪をひいたくらいでも、すぐに回復して元気になれるとは限りません。
先には老年期が待っている50代にとって、心身の健康は何にも増して重大な関心事に違いありません。
セルフヒーリングというのは、直訳すると「自分自身を癒すこと」ですが、その中身は多種多様です。
専門家がコーディネイトするセルフヒーリングもありますが、自分で学びながら自分で実行出来る治療法や健康法であることがあくまで本筋です。
私は子どもの頃、あまり体が丈夫な方ではなく、若い頃からずっと人一倍健康への関心が高かったので、実にいろいろなことを試して来ました。
今ブームになっているマクロビオティックも、30年くらい前にかなり厳格に実行していたことがあります。
今でも一部を自分の健康法の中に取り入れていますが、ここまで来て分かったことは、いろいろな健康法に関する情報を自分に合ったバランスで実行するためには、先ず自分自身を知ることを何より優先すべきということです。
何故かと言うと、体の状態はその人の心の状態と密接に関連していて、それまで過ごして来た人生の中で培われた性格と体質と、そこに現れている状況は一つのものであるからです。
小難しい話になってすみません。
また機会を改めて、実際にやっていることを少しずつ紹介して行きたいと思います。
それでは、今日の会津の気持ちの良い風景をご覧に入れて終わりにします。
こんな風景が見えるところでしばしボーっとすることも、私のセルフヒーリングです。
ホウの花
このあたりでは今、ホウの花が次々と咲いています。
ホウの花は形が大きく、とても強い生命力を感じさせます。
そしてこの花が咲き始めると、あたり一面に甘く芳しい香りが漂います。
人里ではあまり良く分かりませんが、深山でこの花が咲いているところに行き当たると、それはもうただならぬ霊気が漂っているのが、私にははっきりと分かります。
以前住んでいた阿武隈の山中で、私はホウの花が咲く頃になると、とり憑かれたように毎日歩き回って、写真に撮れそうなつぼみを探したものです。
何しろ高い木の上に咲いているのですから、鳥にでもならない限り、咲いている姿をそのまま写真に撮るなど出来るわけがありません。
枝を切って下に降ろして撮るという人もいましたが、それでは絶対に写し取れない何かがあるのが私には分かるので、そんなことは出来ません。
この写真を撮った時は、たまたま低い枝が重みでしなって低くなっているところにつぼみが出来たのです。
雨上がりの午後、日差しにうながされるようにそのつぼみが開いたのを見て、私は何かも放り出してその木の下に駆けつけました。
カメラを持って高さが3メートルほどの脚立の上に乗ると、ちょうど目の前に満開のホウの花があり、一面に甘い香りが立ち込めて鼻を突き、頭がクラクラしてこの世から連れ去られるのではないかと思ったほどです。
その時「さあ、私を撮りなさい。」という声が聞こえたような気がして我に返り、夢中でシャッターを切りました。
不思議にそよとも風は吹かず、花はピタリと止まったまま存分にシャッターチャンスを与えてくれました。
その翌年、さらに翌年と、シャッターチャンスを待ちましたが、こんなチャンスは一度で良いのだと悟らせるかのように、それきり二度と満足の行くホウの花の写真は撮ることが出来ませんでした。
ペタペタ、ペタペタ!
何をやっているかと言うと、天板の上でクッキーの生地を成型しているところです。
これは「ロンサムパイン」という名の、松の実とエダムチーズが入っている塩味のスパイシークッキーです。
重曹と酢を使うベーキング法なので、写真では分かりませんが、とにかく急かされてやっています。
でもこんな一つ一つ、スプーンでペタペタ、ペタペタ形をつくるなんて非能率的なことをやっていては、実際のところ商売にはならないわけなのですが、それでもこの不定形なところがいかにも手づくりという感じで食感もいいので、他にこれに代わる方法を未だに見つけられません。
娘二人に手伝ってもらって三人で手間暇かけても一度に10袋分がやっとで、それ以上は二回に分けてやるしかありません。
食工房のクッキー類の中で、他にもう二種類「山の子クッキー」と「どろんこクッキー」がこの成型法です。
さてもうお分かりかも知れませんが、どろんこクッキーの名前の由来は、どろんこ遊びのようなこの成型法にあるのです。
この次は、「どろんこクッキー」のことを詳しく紹介いたしましょうか・・・。
国産小麦100%
食工房のパンと焼き菓子に使用している小麦粉は、100%国産小麦粉です。
国産小麦は、パンづくりには適さないと言われ価格も高いので、国産小麦粉を使うパン屋は本当に少数派です。
現在、日本の小麦自給率は10%台で、ほとんどを輸入に頼っています。
そんな中、輸入の際船積み時に使用されるポスハーベスト農薬が、最終製品であるパンの中に残留していたことがあり問題になりました。
また、米と並んで主食として重要な地位にある小麦の自給率がこれほど低いのは、食料政策上明らかに良くないことじゃないでしょうか。
国産小麦は、グルテン度が低くて生地にコシがなく、膨らみが悪いとか食感が悪いとか、いろいろなことを言われるのですが、風味という点では絶対に輸入小麦の追従を許さない優秀さがあると、私は思っています。
食工房では、岩手県産の「南部小麦」と「ゆきちから」の二種類の小麦粉を使っていますが、例えば食パンではモチモチとした弾力のある食感が好ましいと思いますし、しっかり中身が詰まっていて食べた時に満足の行く質量感があり、そして小麦という穀物のおいしさを味わうことが出来ます。
皆さんが、もっもっと国産小麦を評価していただけるよう、本当においしいと言われるようなパンを造るために、毎日努力しています。
地粉角食パン
「地粉」とは、内地つまり国内産の小麦の粉という意味です。
酵母種も生地も同じ小麦粉で造りますので、正真正銘国産小麦粉100%のパンです。
通常食パンに使用される油脂分も入れていません。
東北の穀物のおいしさがストレートに味わえるこの食パンは、和食洋食を問わずどんな惣菜、汁物と一緒でもおいしく召し上がれます。
カレンツとクルミ入りスコーン
食工房のスコーンは現在二種類あります。
一つは、前に紹介したバターとミルク味のプレーンスコーン、そしてもう一つがカレンツとクルミ入りスコーンです。
カレンツは、レーズンよりもずっと小粒のドライフルーツで、スグリの一種です。
レーズンより甘味、酸味ともに濃厚で、とてもおいしいドライフルーツです。
クルミは、一度軽くローストして渋皮を飛ばし、フードプロセッサーで粗砕きしています。
面白いのは、重曹と酢を使う手法でやると、重曹の働きでクルミの渋がきれいに抜けてくれることです。
とてもやわらかい味になります。
油脂分は、バターを使用せず、オリーブ油(バージンオイル)と菜種サラダ油を使っています。
卵もミルクも使いませんので、このスコーンは植物性でノンアレルギー仕様になっています。
ところで、このところ気温が上がって来て、作業場が暑いくらいになって来ました。
こうなると、重曹と酢の反応速度が速くなるので、生地を仕込む時はものすごく時間に追われます。
今はまだいいのですがもう少しすると、生地が触れる道具や作業台もすべて氷を使って冷却しなくてはなりません。
パイルームなどの設備が整っていれば言うことはありませんが、うちの今の状態では全く望みようもないことです。
まあそれでも、もう三度も暑い夏をこうして乗り切って来ていますから、この夏もスコーンの出来が悪くなることはないでしょう。
カレンツとクルミ入りスコーンは味が濃厚なので、ハーブティーとすごくいい相性です。
もちろんコーヒーでもいいのですが。
ちなみに、カレンツ入りのスコーン、クルミ入りのスコーン、それぞれいくつか見かけましたが、両方入ったのはありませんでしたね。
食工房オリジナルです。
やっぱり忙しい木曜日
定休日明けということもあって、どうしても木曜日に仕事が集中してしまいます。
最近はそれが一週間のリズムになっていますので、水曜日の午後当たりからしだいにテンションが上がって来ます。
明日は、月一の会津若松方面に配達の日なので、今日はなおさらでした。
早朝にトースト一枚とコーヒーを腹に入れただけで、とうとう夜まで食事が出来ませんでした。
オーブンの余熱で暑いので、今日はやたらにのどが渇いて水をガブガブ飲んでいました。
それでも体が動くことはありがたいです。
ちょっと配達にも出ましたので外の空気も吸えたし、もう少し残っている明日の準備を終えれば今日も終わりです。
今日は、忙しかった自分に癒しの一枚を選んでみました。
物語の中のコーヒーもまた・・・
All Illusts by Machiko Aoki
文学の世界でも、コーヒーは様々な役割を演じます。
ノルウェーの児童文学作家、マリー・ハムズン作の「小さい牛追い」という物語の中で、ギュドブランドという名のコーヒー好きのおかみさんが登場します。
このおかみさん、コーヒーが切れると機嫌は悪い、仕事ははかどらない、それはもう大変なことになってしまいますが、一杯コーヒーが飲めるとなったとたん、いわく「日に照らされたバターのようにやわらかく、なめらかになり・・・」上機嫌で干し草を広げる仕事を片づけます。
またある時は、・・・ギュドブランドは機嫌が悪くなり、だまりこくってよく一人でどこかへ行くようになりました。
このごろは、小さいお茶碗に一日二杯きり飲めないのですから、そんなことで、どうしていい機嫌でいられるというんです?・・・。
いやはや何というコーヒー好きのおかみさん・・・!
物語の中では、このおかみさんは後にコーヒー店を開くのです。
その時反対する夫に向かって言った言葉がふるっています。
「だけど、どんなに時世が苦しくったって、人間はコーヒーをのまずにゃいられませんからね!」
そしておかみさんのコーヒー店は大繁盛するのです。
またもやフィンランド!
この物語の作者ハムズンはノルウェーの人で、物語の舞台もノルウェーなんでしょうが、実は北欧諸国は世界の中でも有数のコーヒー消費地なのです。
そしてここでまたもやフィンランドが登場するわけです。
何と、国民一人当たりの年間コーヒー消費量が世界一!
うーむ、恐るべしフィンランド!?
一体どういう国なんでしょう・・・この国は。
まだまだ、まだまだ、フィンランドへの興味は、そして北欧諸国への興味は尽きません。