「獏の空の下から・・・」7号 2001年1月発行より再編集
-前略-
言うまでもありませんが、20世紀は物質文明という、はっきりと目に見える形でものごとが飛躍的に進歩した百年間でした。
中でも、核エネルギーの利用とコンピューターの出現は、この世紀の最注目事項であったと思います。
そして、物もお金も、情報も人も、日増しに速く、しかも大量に動く世界、これが20世紀から21世紀にかけて、今私たちが迎えている現実です。
たしかに、私達の生活上の利便性が飛躍的に向上したことは否定出来ませんが、私としては一方で失ったものも少なくないということの方が気になります。
その中で、私が一番気にかかるのは、私達の感覚からいつの間にか、デリカシーが失われてしまったのではないかということです。
マスコミやインターネットが、次々と送り出して来る強力でスピード感ある情報、洪水のような物やお金の流れに気持ちを奪われている間に、私達は、小さい者、弱い者たちの静かな声、また目に見えなくても音に聞こえなくても、この世界の片隅にそっと差し出され、示されている貴重なメッセージあるいはシグナルを見落としてしまってはいないでしょうか?
たとえば、いつの間にか私達の前から姿を消して行った野生動物や虫たち、いつの間にか様子が変わってしまった森や林、田や畑、空や海の色さえ、どうでしょうか?
今の私達は、起こった事実をただ情報として知識として知ってはいても、それが意味するところを肌身に感じる感覚で感じ取っているかどうかという点では、甚だ心許ない状況なのではないでしょうか。
たとえば、分かりきっているのに自分たちの生存を危うくするような愚行を止められないというような問題を、私達はこれから21世紀百年間をかけて取り組み、解決して行かなければならないのだと思います。
でなければ、私たちに未来はないと言えるほど、実はこの地上は危機的状況が差し迫っているのですから・・・。
2001年初頭、豪雪の後、誰も入って来られなくなった(当然、私たちもどこにも出られない。)場所で、この世界に私達だけしかいないと錯覚してしまうような静寂を、一瞬の後に空を行くジェット機の轟音に破られ、私は落胆と安堵の入り混じった妙な気分を味わったのでした。
同じく、足跡一つついていない雪の上を、一番最初に歩く嬉しさと、ふり返ってつけた足跡を見て、少しがっかりする気分・・・。
私達は前に進む時、そこで何を得て何を失っているかということに、もっと敏感でなくてはならないと思います。
獏の空の下・・・、この世界の大きな流れの中で、取るに足りない私達の山暮らしですが、その中で日々私たちが感じ取っていることは、これからの時代、最も大切にされるべきものになると確信しています。
※「獏」は、私たちが14年間山暮らしをした場所の別名です。
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奥会津アイリッシュコンサートのご案内
すでに予告申し上げていますが、今年10月13日に、会津金山町の妖精美術館で「奥会津アイリッシュコンサート」が開催されます。
自主運営企画としては二回目、通算五回目の開催になります。
アイルランドよりゲストミュージシャンを招き、日本人演奏家二人を交えてのステージです。
出演者は、昨年に続いて今年もショーン・ライアンと守安功、雅子夫妻の三人編成のユニットです。
詳細が決定いたしましたので、以下にご案内申し上げます。
また、前回の録音が一部ですが<試聴>出来ます。(mp3形式音声ファイル)
ブロードバンドを使える方、1曲分のファイル(3.3MB)もあります。<こちら>
※再生には、メディアプレーヤーが必要です。
「第5回奥会津アイリッシュコンサート」
日時 2007年10月13日(土) 開場 13:00 ・開演 14:00 ・終演 16:30
会場 妖精美術館(会津金山町 沼沢湖畔)
料金 前売り大人2,000円 (当日2,500円)
※客席数に限りがありますので、ご予約はお早めに。
お問い合わせとチケットのお申し込みは、
食工房(青木) 0241-38-3102 ・FAX 0241-38-3104
手づくり工房あるぼる(阿部) 0241-55-3252
ホームページ http://www.merryland.aizu.or.jp/aimu/
Eメール : ホームページよりアクセス可
ボランティア募集中!
ポスターの掲示、チラシの配布、チケットの販売などにご協力いただける方のお申し出をお待ちしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
近々、ポスターが公開されます。
チケットの発売は、お盆前頃からになります。
集う力、世界の平和
今日は、4/3のブログに登場したMerryLandの編集長のCHAさんの引っ越し祝いに出席してきました。
私の知り合い、CHAさんの知り合い、両方の知り合い、顔なじみの方、そして初めてお顔を拝見する方、いろいろな方が一同に会して楽しく会食し、生演奏の音楽に耳を傾けました。
会話が弾むほどに、お互いのことに興味を誘われ理解が深まり、それまで知らなかった新たな個性を発見し、私は、何と言ったら良いのでしょう、その場が愛情に満ちて来るのを心地良く感じながら過ごしていました。
若い頃、集まりさえすればすぐに何かが出来そうな気がして、ワァーッと集まっては何も出来ずに失望し、やがてしらけてしまって集団の力など信じるものかと思うようになっていました。
でも、この歳になって少しは人生経験が足りて来たからかどうか・・・、やっぱり何を成し遂げるにも人の力だと改めて認識しているところです。
そして、人が集うところには力も集まるのですね。
集団の力は時に気まぐれでコントロールしにくいものであり、時に恐ろしい魔物のような存在にもなってしまいますが、今日の集いは人が集う時に大切にされるべき何かを、皆さんが共有しているのが私には分かりました。
そして世界の平和は、案外こんなところから始まるのかも知れないと思いました。
ネット初心者です。
何しろ私はネット初心者なので、このブログサイトの使いこなしに関しても今一つ勝手が分かりません。
これから少しずつマスターして、コミュニケーションツールとして活用出来るようになりたいと思っています。
商売をしているのですから、このブログを見た方からお問い合わせやご注文が増えれば何よりなのですが、そのために住所や電話番号、メールアドレスなどを、どこまでどのように公開して良いものか、悩んでいるところです。
今まで長いこと、紙に印刷した通信をお送りして、それを見てハガキや封書でお問い合わせやご注文が届き、それからやっと品物をお送りするという、このITの時代に全く信じられないようなスロービジネスでやっていました。
でも、これはこれでとてもステキでした。
今でもハガキや封書をくださる方はいらっしゃいますし、私たちも品物をお送りする時は、必ず直筆の手紙を添えます。
今後はホームページも立ち上げて、緩急自在に使い分けてやって行きたいと思っています。
皆さんのアドバイスを、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の食工房
本日は定休日です。
一週間ぶりに街へ買い物に出かけました。
夜は、北欧のルーツミュージックの情報を検索して見ようかなと思っています。
写真は、私の愛聴盤CD “OTTILIA” の裏ジャケットの一部。
フィンランドの歌姫 Liisa Matveinen と大物ミュージシャン達が顔を揃えています。
コメント公開
コメントを非公開にしていましたが、あまり意味のないことをしていたと気づきましたので、今度から公開に設定しておきます。
ご意見、ご感想など歓迎します。
MerryLand
Merryland(メリーランド)略してメリランは、会津の情報満載のフリーペーパーです。
それが何故ここに登場するのかというと、メリラン編集部がこの4月から我が山都町に移転したからです。
編集長の、通称チャーリーさんのお住まいも一緒です。
タウン紙の編集部としては異色の山の中の編集部。
でもこれが、これからの時代の最先端の方向かも、と思えるのは私だけではありません。
チャーリーさんもすごく納得していて、気分良く仕事が出来そうだと張り切っています。
会津の片隅の山間の古民家に、情報発信の拠点というパブリックなスポットが存在するなんて、素敵なことだと思いませんか。
メリランは、webでもご覧になれます。
是非お訪ねください。
webメリラン
http://www.merryland.aizu.or.jp/
そして編集長のブログには、わが食工房も度々登場していますので、食工房をキーワードに検索してみてください。
CHAブログ
http://chaizu.jugem.jp/
今日、明日と食工房は、定休日です。
シナモンロール
「かもめ食堂」という映画をご覧になりましたか?
パン屋をやっていてこれまで菓子パンを造ったことのない食工房、何か一つくらい・・・、そうだ!シナモンロールなら好みに合っているし、と思っていたところ、ちょうど映画「かもめ食堂」のことを知り、早速レンタルビデオショップで借りて来て見ました。
そんなわけで、今食工房でご好評いただいている「カネリ・プッラ」は、「かもめ食堂」の中で出て来るシナモンロールを、ほぼそのとおりに真似て造ったものです。
「カネリ・プッラ」(Kaneli Pulla)のKaneliは、フィンランド語でシナモンの意、Pullaは丸くて可愛らしいもの意、たいていはロールパンのこと
を指しています。
あの映画の中で、食堂のカウンターの上のバスケットに盛り上げられたシナモンロールの前に小さな札が立ててあって、Pullaと書かれてあったのにお気づきの方がいらしたでしょうか。
ところがフィンランドでは、シナモンよりカルダモンが好んで使われているようです。
Pullaのレシピを検索してみたら、どれもカルダモンだけを使っているんですね。
でも、カルダモンは結構クセが強くて日本人の私たちの好みには合わないような気がしましたので、私はシナモンとカルダモンを混ぜて使っています。
そしたら、意外にもシナモンが苦手だという方にも受けが良かったりして、思わぬ効果に気を良くしています。
本日の食工房
昨日、今日と食工房は定休日なんですが、休み明けの明日のパン焼きに備えて、今日は昼頃から酵母の培養を始めています。
大きな容器ごと冷蔵庫で休ませていた酵母種を出して来て、温水と糖分と少量の塩分とそして小麦粉を加えて良くかき混ぜ、33℃で保温します。
途中必ず2時間に1度、よくかき混ぜて酸素を供給します。
明日の早朝まで約16時間、さすがに寝ている間は2時間毎というわけには行きませんので、少し温度を下げて時間を稼ぎます。
醗酵が最高潮に達して来ると、底からかき混ぜても全部「泡」という状態になります。
蓋を開けた瞬間、ジュワーッと音がします。
この酵母は、私が以前暮らしていた同じ福島県内の阿武隈山中で、沢の水を使って自然発酵でスタート以来14年間かの地で培養し続けた酵母です。
会津に引っ越してからは、飯豊の水で養っています。
もう17年余り付き合っていますが、酵母は正直で私を裏切ったことは一度もありません。
パンの出来が悪い時は、それは私の対応の方に問題があるということです。
さてさて、明日の朝はどんな具合でしょうか。
何度繰り返しても、しっかり気合を入れていないと必ずどこかで失敗してしまう自家培養酵母のパンづくりです。
マイブログ事始め
2007年3月下旬、春を迎えるこの時期、雪をいただいた山々の姿が一年のうちで最も美しい飯豊の空の下から、先ずはごあいさつ申し上げます。
プロフィールにも書きましたが、私は、福島県喜多方市内で小さなパン屋をやっています。
国内産の小麦粉と自分で培養した天然酵母を使い、無添加でパンの他焼き菓子も製造販売しています。
また、コーヒー豆の自家焙煎もやっています。
こちらも、オーガニックの生豆のみを仕入れて、少量ずつご注文に応じて焙煎しています。個人のお客様の他、一部営業用にもお使いいただいています。
さて私は、かれこれ28年余りずっと小さな通信(印刷物)を発行して来ました。
インターネットの時代に入って、自らもインターネットを利用するようになってからも、紙に印刷された手触りのあるものにこだわり、実際自分のメディアはこれで十分だと思っていましたが、最近ちょっと違った考えになっています。
と言うのは、私がインターネットを通じて大変貴重な情報を度々いただくようになったからです。
今の世界は、良くも悪くも急激に動きます。
それは、一つには情報が高速かつ広範囲に流布されるようになったからです。
結果、取るに足りないような、あるいは真偽の程も分からないような情報に振り回されることも少なくありません。
何が真実かは後の世に明らかになることだとしても、今、社会の一員として自分の意見を主張するのに、私もインターネットを使わせてもらおうと思います。
このブログの中では、私が刊行している「高野通信」の記事や紙面の都合で書ききれなかったこと、後日談や関連のあるお話などを盛り込んで行こうと思っています。
また、店の営業のために毎月出している「パンだより」の中からも、タイムリーなお知らせ記事なども載せて行きます。
このブログへのご意見、ご感想、お問い合わせ、また印刷されたものをご覧になりたい方、ご連絡は当面コメントとしてお寄せください。
コメントは、非公開で一時保留する設定にしています。
この後、食工房のホームページを製作しますので、そちらで所在地、電話連絡先、メールアドレスなどを公開いたします。
※4月現在、コメントは全部公開しています。