今日もいつものように忙しい木曜日になりました。
朝4時過ぎに起き出して、間もなく作業場に入ります。
先ず何をおいても酵母の様子を点検します。
昨夜の最終点検は午後10時前くらいでしたから、6時間余り見ていないことになりますね。
もう今では、不測の事態になっているということは、ほとんどあり得ないのですが、それでも油断はしていません。
とにかく酵母の発酵具合で、その日のパンの出来がすべて決まってしまうからです。
それに天然酵母の発酵は、究極のところマニュアル化することは出来ないのです。
だから面白くもあるわけですけど・・・。
で今朝も、絶好調の酵母の様子を見て、否応なくテンションが上がります。
眠気でボーっとしていて一番怖いのは計量ミスで、今までにも何度か失敗して懲りていますから、作業を始める前にちょっとした儀式をやって気合いを入れます。
そして生地こねが終わるまでは、一気に作業します。
それから束の間の休憩です。
この時飲むコーヒーで、やっと本当に目が覚めるという気がします。
おかげさまで、今日のパンの出来は上々でした。
そしてまた今日は、ちょうど焼き上がり際にタイミング良くお客様が見えて、焼き立てパンを買っていただくことが出来ました。
何しろ無添加のパンは、時間が経つほどにどんどん食感が変わって行きますから、こんなタイミングでいらした方は本当にラッキーでしたよ。
さてその後は、急いで包装して配達に回ります。
今日も農民連に届けました。
予約してくださった方もありました。
毎度ありがとうございます。
それで、農民連直売所と食工房の場所の地図を見られるようにしましたので、お知らせいたします。
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「食工房のパンだより」カテゴリーアーカイブ
森のパン屋のビスケット
「大草原の小さな家」と言えば、もうどなたも良くご存じでしょう。
我が家でも子ども達が小さい頃、よく読み聞かせしたものです。
私は、テレビで放映していたものも、ほとんど欠かさず見ていました。
物語の中で、ローラの母さんが焼き菓子を造ります。
それがあまりにおいしいので、近所の奥さん方が「あなたの焼くビスケットはどうしてこんなにおいしいの?」と質問します。
母さんは答えます。「それは、サワードゥが入っているからですよ。」
そのサワードゥこそは、今、食工房でも使っているパン種のことです。
当時の翻訳では、サワードゥ=酸っぱい練り粉、となっていたりして、天然酵母パン種など全く認知されていなかったことがよく分かります。
西洋の家庭でサワードゥは、日本の家庭ならどこにでもあった糠床のように、家宝のように大切にされていたのです。
とは言え、最初はそれが分からず、ただどんなものだろうと想像しているだけでした。
それが、天然酵母パンを研究するようになって、すぐに合点が行きました。
早速、ローラの母さんが焼いたサワードゥビスケットを再現してみたい意欲をそそられ、いろいろ試しました。
試行錯誤の結果、正しく再現出来ているかどうかは別にして、現在、食工房の製品として3種類のサワードゥビスケットを焼いています。
そのうちの一つが、「森のパン屋のビスケット」です。
プレーンなパン生地に、植物油とミックスナッツとカレンツ(すぐりの一種のベリー類のドライフルーツ)を混ぜ、細長い棒状に成型して焼きます。
今風なサクサクの軽い口当たりではありませんが、しっかり噛みしめて食べると、本当にしみじみうまいと思います。
そして私は必ず、「大草原の小さな家」のその一節を思い出します。
製造中来客あり、コーヒーの香り漂う。
今日は日曜日ということもあり、三々五々いろいろな方がお茶飲みにいらっしゃいました。
今日は、お客様の相手は専ら連れ合いに任せて、私の方は、娘二人と共に造り仕事に専念しなくてはなりませんでした。
このところクッキー類が次々と品切れ状態で、回復出来ないでいるのです。
「よく売れてるってことじゃないの、うれしい悲鳴だね!」
と言われそうですが、それはちゃんとご注文にお応え出来ていれば、の話ですね。
何回かもうすでにご迷惑をかけてしまっていますので、売り上げにはなりませんし、商売の信用にも影響しますね。今日のは本当の悲鳴でした。
でも、作業している間中ずっとコーヒーの香りが、換気扇の起こす風に乗って作業場の方まで漂って来ましたので、終わった後のコーヒータイムを楽しみにがんばることが出来ました。
※穀物クッキー、「パタポン」が焼き上がったところです。
おかげさまで今日は、ナッツクッキーとロンサムパインとパタポンの3種類を焼くことが出来ました。
そしておまちかねのコーヒータイムには、おいしいコーヒーとシナモンロールをいただきました。
その後は、臨時にコーヒー焙煎を5kg分、明日の発送に間に合わせるためにやりました。
全部終って見ると、すでに閉店時間の7時を過ぎていました。
おかげで明日の支度は、全部娘二人にやらせてしまうことに・・・。
こういう時ありがたいのは、とにかく体が動くということですね。
健康には、人一倍気をつけているつもりです。
それに最近は、嫌になるということもないのです。
「商いは、飽きないが肝心。」と言われますが、その言葉をすっかり納得している自分に、ちょっと驚いています。
少し性格変わったのかな・・・?です。
道具に囲まれて・・・
モノづくりを仕事にしている人の習性として、道具を集めるというのはどうしてもあると思います。
いい材料といい道具と、もちろんいい腕があって、いい仕事が出来るというわけですから。
仕事に打ち込めば打ち込むほど、気がつけば道具に囲まれることになるのは、当然のことなのですね。
私の知っている限り、モノづくりを仕事にしている人は、少しでも稼ぎがあるとまず欲しくなるのはいい道具なんですよね。
そして仕事より楽しいのは、道具の手入れだったりするわけです。
さて、パン屋もご多分に漏れず、機械設備が沢山必要な商売です。
うちの場合は、何しろ資金が無かったので、全部中古品です。
もちろんそれでも十分役には立ちます。
無くても済みそうなものは無しで行こうと思っていましたが、丸ごと一式譲っていただいて、最初はこんなものは要らないと思ったものでも後になって、手に入れておいて良かったというものがいくつかあります。
皆、うちに来たからにはとことん大切にして、最後まで使い切りたいと思っています。
自慢じゃありませんが、壊れた道具を直して使うのは、私の特技なんです。
そして実は、集まるのは商売道具だけではありません。
趣味でも生活上でも、いろいろと道具を集めるのが私の宿命みたいです。
要らないと思っても、向こうからやって来ることさえありますから。
考えてみると、私が見ていて一番辛いのは、役に立つはずの道具が顧みられることなく錆びついて行く姿です。
その気持ちが、引き寄せるんでしょうかね。
ああそれにしても、何をするにも先ず我が手に勝る道具は無し、それだけは間違いありません。
スローフーズ・スロービジネス
いつも申し上げておりますように、食工房の製品はとにかく手間暇がかかります。
体力気力の限界まで頑張っても、一日に造れる品数は大したものにはなりません。
「スローフーズ」という名称がすっかり定着しましたが、食工房のメニューはそれこそスローフーズそのものです。
最近は電話やFAXに加えて、インターネットも伝達コミュニケーションの手段になり、お問い合わせやご注文は即座に届きますが、その快速さを空飛ぶ鳥に例えるなら、食工房の製造現場は地を這うネズミくらいのものでしょう。
どんなにせかせかちょこまか忙しく動き回っても、カバー出来る範囲はたかが知れています。
造るものがスローである以上、そのビジネス全体もスローにならざるを得ないわけです。
ここで店を構える前は、山奥の電話も通じないようなところで、細々と知り合い関係だけを相手に通販商売をしていましたが、伝達手段は専ら郵便でした。
(その郵便も自宅まで配達されず、こちらから途中の知り合いの家まで取りに行っていました。)
注文する方は、投函した後、一体いつになったら品物が届くのかと思いながら待っていらしたことでしょうね。
私たちの方からのお知らせは、年に何回か発行するニュースレターのみでしたが、本当に皆さん、よくおつきあいしていただきました。
多分、村の中で、個人宅では一番郵便が多く届く家だったはずです。
ネット対応可能になった今でも、わざわざ郵便でメッセージをくださる方もいらっしゃいますし、私たちも時々は手紙を書きます。
そんな昔の習慣や感覚が残っているのか、お問い合わせにすぐにお返事するのを忘れたり、発送が遅れるのをお知らせしなかったり、頭の中はまだ超スローから抜け出していないようです。
開き直るわけではありませんが、これからも食工房は「スローフーズ・スロービジネス」を合言葉に、遅くても丁寧な仕事をしたいと思っています。
本日の食工房
コーヒークッキーとどろんこクッキーを、沢山造りました。
この写真で、どろんこクッキーがどんなに手間がかかるか、お分かりいただけることと思います。
エルフの焼き菓子
イギリスのファンタジーの大作、J.R.R.トールキンの「指輪物語」、数年前に映画化されたおかげですっかり知名度が上がり、原著も以前よりはずっと沢山の人に読まれたことと思います。
そのおかげでと言っては何ですが、食工房のケーキメニューの一つ「エルフの焼き菓子」は、微妙な立場に立たされることになりました。
何を隠そう、私も家族の者も大の指輪ファンです。
もう20年以上も前、瀬田貞二さんの名訳による赤表紙本全6巻を、半年かけて子ども達に読み聞かせしたものです。
それも一度だけに止まらず、二度も・・・。
そして子ども達のうち、長男と長女はその後何度も読み返し、「シルマリルの物語」も含めて、登場人物のせりふを暗唱出来るほどの指輪フリークになってしまいました。
映画化の話が聞こえて来た時、長女は自分の中にすっかり出来上がっている、物語や登場人物のイメージが壊されると言って憤慨していました。
さて、そんな私たちでしたから、かのエルフの奥方の焼き菓子は一体どんなものだろうと想像を膨らませながら、いろいろ造って楽しんでいました。
トールキンは、アイスランド語の研究に通じていたそうで、その他北欧の神話や民話からも沢山ヒントを得ていたそうです。
今になって分かったのですが、あの「エルフの焼き菓子・レンバス」は、北欧の板状の堅焼きパン(クリスプブレッド)そのものなんですね。
日本でも、神田精養軒が「クネッケ」という名称で、同じようなものを発売していたのをご存知の方がいらっしゃると思います。
そんなことも何も分からず、エルフの奥方もきっといろいろなお菓子を焼いたに違いないので、そんな中にチョコレート味のケーキがあってもいいんじゃない、と軽いノリで「エルフの焼き菓子」と名付けてしまったのでした。
それが今、大多数の方が映画のイメージでうちの「エルフの焼き菓子」をご覧になりますので、そんな時は私たちも戸惑ってしまいます。
いっそのこと名称を変えようと思ったのですが、これがなかなか難しくて頭を抱えています。
ちなみに、私も映画は見ていません。
食工房の「エルフの焼き菓子」は・・・
カカオマスのフレークとミックスナッツとココアパウダーとココナツミルクの入った、やわらかい食感のケーキです。
油脂分は植物油だけでバターは使っていませんので、意外にあっさりした味わいです。
コーヒーでも紅茶でもどちらにも合います。
一名「幸福の香り」と呼ばれるカカオの風味を、思いっきり堪能していただけるケーキ、それが食工房の「エルフの焼き菓子」です。
ミックスナッツ
食工房では、パンや焼き菓子の材料にミックスナッツをよく使います。
中身は、アーモンド、カシュー、クルミの三種類です。
それぞれ硬さや油分の感じが違いますので、別々に下ごしらえしてから、割合を決めてミックスしています。
粒々の感じが、ほどほどに不揃いで、かと言ってあまりゴロゴロするような大きな粒がないように、ずい分手間をかけています。
アーモンドは、本当は生のものを自分でローストしたいのですが、購入単位が大きすぎて手が出せず、ローストされたものを使っています。
硬いので、まず製粉機の挽きをうんと粗くしてざっと通した後、目の粗いふるいでふるい分け、残った方はフードプロセサーでもう一度砕きます。
カシューは、生のものをオーブンで180℃で8分間ローストして冷まし、フードプロセサーにかけます。
一度ふるい分けしてから、残った方をもう一度砕き直してから一緒にします。
クルミは、やはりオーブンで180℃8分間ローストの後、両手で揉んで渋皮を剥離し煽って飛ばします。
それからフードプロセサーにかけて、ふるい分けて、残りをもう一度砕いて、以上でやっと下ごしらえが終わります。
あとは、パンこねミキサーのボウルに全部入れて、攪拌用のビーターを付けて低速で攪拌します。
一度に6kgくらい造りますので、1kgずつ小分けにして冷凍庫で保管します。
このようなミックスナッツは、半加工品として売っていませんので自分で造るしかありませんが、逆にこれが食工房のオリジナルな風味や食感の演出に一役買ってくれています。
ミックスナッツロール
クルミ入りのロールパンはよく見かけますが、ミックスナッツのは見たことがありません。
これにメイプルシロップをかけて、コーヒーと一緒に召し上がるといいマッチングです。
食事用テーブルロールとして、たいていの料理に合いますのでぜひお試しください。
ちなみに、この他にミックスナッツの入っているメニューは、ナッツクッキー、どろんこクッキー、シマリス君の朝ごはん、森のパン屋のビスケット、ブラウニー、エルフの焼き菓子そしてアニスシードケーキとクリスマス用のシュトレンです。
食工房の音
このところ気温が上がって来て、作業場が次第に暑く感じられるようになっています。
母屋と作業場は棟続きになっているのですが、今日はそこの扉を開けっ放しにしていました。
連れ合いが言うには、食工房の方からいろいろな音が聞こえて来て、それが何だか楽しそうな愉快な音に聞こえるのだそうです。
食工房では、いつも音楽をかけながら仕事をしています。
店のBGMという意味合いももちろんありますが、一番の目的は作業がスムーズに進むためです。
私も娘たちも共に大好きな、ルーツミュージックのCDやMDを一日中流していますが、作業中はあまり聴き惚れてしまうようなのは避けて、軽快なテンポの曲を選びます。
仕事が良くはかどる定番は、バスクのアコーディオン弾き、ケパ・フンケラのアルバムです。
本当に不思議なくらい、ミスもなく順調に仕事がはかどります。
その音楽と作業する物音が合わさって、妙にリズミカルに聞こえるのでしょうかね。
店の外や店内にも、そんな感じで聞こえているならいいのですけど・・・。
今日は午前中に、すごいテンポでマフィン4種類とスコーン2種類を焼いて急いで包装し、それを荷造り仕分けして会津若松市方面に配達に飛び出しました。
今日は、何やらあやしげな雲行きでしたが、どうにか雨には降られずに済みました。
それより、雲が波打って空を覆い、端が磐梯山や周辺の山々にかかり、西半分からは日も差していて不思議な光景でした。
しかし、残念ながら時間に追われてしまい、写真は撮れませんでした。
ああ、ラップランドでもこんな風景があるんでしょうか・・・。
会津とラップランド
会津に初めて足を踏み入れた時からずっと今でも、会津は本当に景色の贅沢なところだと思っています。
四季を問わず、どこでも目を向ける先は絵になっています。
うちのお客様の中に、北欧のラップランドに旅した方がいらして、その方が仰るには、会津とラップランドはとても似た風景だそうです。
北欧びいきの私たちとしては、何だかとてもうれしくなってしまいます。
今日もまたその風景の中を、遠い北欧ラップランドの地を想い描きながら配達に回って来ました。
今日は、いつもの木曜日より一層忙しくて目が回りましたが、この配達のおかげで我に帰ることが出来ました。
農民連、ここです。
先週ご紹介した、会津農民連直売所の場所をご紹介します。
喜多方市 字西四谷 24-1 サニープラザビル101
TEL 0241-21-8535
★農民連直売所の地図(グーグルマップへのリンク)
ポータブルカフェ
明日の準備をしています。
写真の道具は、ポータブルカフェです。
もうかれこれ、14、5年も使っています。
以前、いわき市内で「百姓の市」に出ている時は、毎週日曜日の午前中、路上で無料のストリートカフェをやっていました。
コーヒーの香りに誘われて集まって来たお客さんに、コーヒー豆や手づくりのパンとお菓子を買っていただいていました。
こちらで店を持ってからは用が無くなるかと思ったら、意外に出番があるのです。
この前のメリーランドのお引っ越し祝いの時にも、これが大活躍しました。
何でもちょっと人が集まるところに持って行けば、すぐにおいしいコーヒーが飲めるというわけで、あちこちで皆さんに喜ばれています。
これも実は私の自作です。
風除けは完璧ですし、カセットコンロの操作がやりやすいように、穴も開けてあります。
ポットなどの小道具を置くスペースも確保しています。
そして前面にはポスターやチラシが貼れます。
明日はこれが大活躍します。
ちなみに、下の写真は「百姓の市」に出ていた頃の食工房のお店です。