秋ですね。
ちょっと肌寒い日もありますが、逆に体を動かすにはちょうど良いくらいです。
弱くなった日差しも、日中に限れば心地良い陽だまりを作ってくれます。
夏なら暑くて居られない場所が、今は一番居心地の良い場所というわけです。
刺す虫もほとんどいなくなりましたから、外でお茶なんてのもいいなと思っているところ。
テーブルと椅子を出して・・・。
人間にとってこんなに気持ちの良い季節は、実は酵母にとっても良い季節のようです。
自然界では、木の実が熟して糖分が供給されて、温度条件も良くて、自然に発酵が始まるのですね。
「猿酒」というものをご存知ですか?
山の沢に落ちた梨の実(この場合、山梨ですが。)が、自然に発酵して微量のアルコール分を含んでいい匂いがしているのを、猿が誘われて食べているうちにいい気持に酔っぱらう?ので、これが猿酒の所以だとか。
天然酵母のルーツは、この猿酒です。
そして何も山梨でなくても良いわけで、この時期の沢の水自体が、こうした酵母のエキスなのです。
それを人間は、抽出して持続的に使えるように、環境(栄養分と温度)を作って培養するのです。
これがいわゆる「知恵」というわけですね。
食工房の酵母種は、もうかれこれ23年持続しています。
引き継ぐ誰かがいれば、この地球環境が損なわれない限り、何時まででも生かし続けることが可能です。
まあ、永久無限増殖と言って差し支えありませんね。
すばらしい自然のプレゼントです。
食工房のパンは、その賜物と言えます。
造る私は、この地球のお母さんの計らいを出来るだけ損なわないよう、心を込めて仕事をするだけです。
皆さん、この次食工房のパンを口にする時、ちょっと今日のお話を思い出してください。
この季節、パンが特別おいしいです。