悪豆拾いⅡ



ブラジル・joakin 農場産の生豆です。
赤矢印のマークを付けたものが、取り除く粒です。
この画像を編集した後、早くも幾粒かの見落としを発見。
正味1kgのために1.5kg用意して、たっぷり1時間かかります。


ブラジル産のこの豆は、フェアトレードで入荷する、単一農場限定生産品です。
独自のルートで入荷するため、市場の常識からはかなり外れています。
先ず第一は、ほとんど無選別ではないかと思われる状態。
普通は、粒度を揃えるためにフルイにかけ、粒の大きさ別にランク付けをしますが、こちらはもう全く不揃いです。
粒の不揃いは火の通りに影響しますから、極端に小さいものや大きいものは取り除きます。
それから、割れたもの欠けたもの、カビが生えているもの、未熟果過熟果など、いろいろな欠点により取り除かなくてはならない粒があります。
一見きれいな姿形をしていても、よく見ると虫が開けたと思われる針で突いたような小さい穴があり、割って見ると中に空洞が出来ていてアオカビが回っているということがありますので、作業にはかなり集中力を必要とします。
そのようにしてこの豆の場合は、約1/3ほどを捨てるしかありません。
これでも、現地で一度は選別したと聞いているのですが、だとすると、何と大らかな人たちなんだと思ってしまいます。
一つには無農薬有機栽培であるが故、またもう一つには、棚干し天日乾燥による脱果精製(業界用語では、ナチュラルと言います。)であるが故、こうした状況になるのかなと、それは止むを得ないことかも知れません。
しかしながら、もう少ししっかり選別して欲しいなァと思いながら、今日もこの豆を選別しました。
市場の厳しい基準をクリアしようとすれば、多分50%は選別下になってしまうかも知れません。
それでいて価格も決して安いわけではないこの豆を、何故使い続けるのかと言えば、ただ一つ風味が優れているから・・・、これに尽きます。
実はこの豆、何年か前、ブラジル国内のカップコンテストでグランプリを獲得しています。
少し浅めの焙煎でも酸味が軽く、逆に甘みが残って口当たりがやわらかいので、ブレンドのベースに最適なのです。
それにしても、ロスが多くて参ります。
価格設定も、現状では問題があります。
この銘柄だけでも、値上げをお願いするしかなくなりそうです。