ホトトギス

このところよくホトトギスの鳴き声を耳にします。
初夏の今頃、昼となく夜となく、「コッチョカケタカ(私はそのように聴きなしています。)」と繰り返しなく声が、外に出た折などあたりの山の中から聞こえてきます。
フクロウのように完全な夜行性ではありませんが、夜でも鳴いているので、夜も活動しているのでしょうか。
明け方まだ薄暗い時間に、ふと目が覚めるとホトトギスの声が耳に入ってくることがあります。
あるいは、ホトトギスの声に呼ばれて目が覚めたのかも知れませんが、その声を聴くといつも私は、何とも言えない不思議な気分になります。
一口で言えば、ホトトギスはあの世からの使者で何かを知らせに来た、そんな感じがするのです。
ホトトギスもそうですが、夜鳴く鳥の声には、とても強い霊力を感じます。

ところで、ホトトギスは皆さんご存知かも知れませんが、カッコウの仲間なんですね。
そしてカッコウの仲間の鳥たちは、いずれも托卵という特徴的な習性を持っているのですね。
自分では巣を作らず、他の鳥の巣に行って、主がいない間に先に産みつけられた卵を蹴落として、そこに自分の卵を産み落として行きます。
そうとは知らぬ巣の主は、孵った雛を最後まで育てて巣立たせます。
生みの親を知らずに育った雛は、成長するとまた同じようにして、自分では巣を作らず他の鳥の巣に托卵するのです。
托卵の相手は種によって決まっていて、ホトトギスの場合はウグイスです。
ちなみにカッコウはモズがよく選ばれているそうですが、最近の調査で、モズが見破るようになって托卵が失敗に終わることが増えて来たらしく、カッコウはジョウビタキなど別な相手を選ぶようになり、それにつれて産み落とす卵も托卵する相手の卵に似た模様に変化しているのだそうです。
何とも危なっかしい生き方をしている鳥だと思ってしまいます。
一方にエナガという鳥がいますが、こちらは多産で親鳥二羽では全部の雛を育て切れません。
一年前に巣立った若鶏たちが手伝って餌を運び、大家族で皆で雛を育てるのです。
しかし、彼らにとっては厳しい運命ですが、多くが他の肉食性の鳥や獣の餌食になってしまいます。
人間的感情に照らすと、ホトトギスやカッコウの習性は残酷に思えますし、エナガたちの習性には心温まりますが、大方食べられてしまうのではこれまたどんな気分だろうかと、やはり人間的感情でしか考えられないのは仕方ないことですね。
そういうホトトギスやカッコウの鳴き声を愛でるのもまた人間ですから。




鳥類図鑑がそのまま息づいている山