企業の目的は利潤追求だと、誰もがそう言いますが、
私はそれは違うと言いたいのです。
企業の本義は、あくまでも社会貢献であって、その結果としてそれに見合った利潤が上がる、というのが本筋だと思います。
「受け取りたければ、与えなさい。」という金言があるのですが、これは人間社会の基本ルールだと思います。
利潤追求を第一義にすると、そのための手段を考えるようになり、時に社会貢献に反する道を歩んでしまうことは、今までにも多くの例が物語っています。
ところで一口に企業と言っても、社員何万人の大企業もあれば、自分一人でやっている個人企業まで、規模も形態もいろいろですが、社会貢献が本義であることには変わりはないと思います。
この時代、一個人でも億単位のお金のことを口にする人がいて、私などは驚きます。
若いうちに働けるだけ働いて、一億円蓄えたら退職して起業するとか、年商数億円のビジネスモデルを提案して資金を集め、大成功を目論む人がいたりして、そんなことが頭に浮かんだこともない私などは、ただ呆気にとられて「ごくろうさま!」というしかありません。
こうした方々が、一体どの程度に社会貢献と利潤追求のバランスを考えているのか、全く見当がつきませんが、この競争社会で勝者となるには、それなりにエグいこともするということでしょうか。
そこには自分も含めて、働く喜びや人の心の安寧があるでしょうか。
今の社会の流れは、そこから遠く隔たっているような気がします。
そしてその中で成功したいと願うことは、例えばそれは、回り回ってどこか遠くの国で起こっている戦争を喜ぶことと同じだと、私は思います。
今、こんな諺があったのを思い出します。
「悪い種からは悪い実しか成らない。そして悪い種ほど速く育つ。」
善いことが成るには時間がかかる。
さてさて私のパン屋稼業も、最後にどんなことになるのか想像も付きませんが、一生かかってやり切れなかったことは、またもう一度生まれ変わって来て、似たようなことをするのだろうなと思っています。