二三日前からでしょうか、家の中のお風呂場の入口あたりで、コオロギが鳴いています。
鳴き声と姿からして、ツヅレサセコオロギという種類のようです。
小さい体なのに、ずい分大きな声です。
どこから迷い込んだのか分かりませんが、こんなところでいつまで鳴いていたってメスはやって来ませんよと思いながら、私は私の感情で聴き惚れています。
何故だか知りませんが、コオロギの否、秋の虫の声は皆、私は何か特別な感情がわき起こります。
ところで、虫の声などに人間的感情を働かせるのは、日本人に特有の性質だと聞いたことがあります。
世界の中で、日本人ともう一つどこかの国の人たちだけが、そんな感性を持ち合わせているらしい・・・。
そしてそれは、我々の話す言語の構造に深く関わりがあるらしいと、人間の右脳と左脳の働きを詳細に解説している「日本人の脳」という本の中に触れられていたのを、もう25年以上も前に読んだ覚えがあります。
その本の内容のことはともかく、私達日本人が持ち合わせているその感性は、これまたアニミズムと深く関わっているのですね。
とてもよく分かるような気がします。
コオロギの声も、コオロギにとってはメスを呼んでいるだけかも知れませんが、たまたまそれを耳に留めた私にとっては、何かまた別な意味のあるメッセージのような気がするのです。
そんな風に、この世界の中の自分以外のものは、全てが導きだと感じている私です。
今夜も、遠くにコオロギの声を聴きながら眠りに就くことになりそうです。