この素敵な形のハンドルを磨くのが楽しみです。
とにかく道具好きの私、二十代の頃、厨房機械器具で有名な東京浅草のかっぱ橋道具街に初めて行った時のことです。
見るもの何でも面白くて触りたくて、出来るわけもありませんが、全部手に入れたい気持ちに駆られました。
一人暮らしに必要とは思われませんでしたが、それでもその時、直径27㎝の半寸胴鍋と中華料理にも使える大火力のガスコンロと小物をいくつか買って、電車と歩きで当時住んでいた千葉まで、どうやって持って帰ったのだろうと今思い出せませんが、確かにこの手で運びました。
その後何度も、足を運ぶことになったかっぱ橋道具街ですが、いつも私の目を惹きつけていたのは、製菓道具の店の前に展示されているオーブンでした。
上下二段になっているパン焼き用の大きなオーブンを眺めながら、こういうのを一台家に置いておいて、自家用のパンを焼きながらパン屋の気分だけ味わえたら、きっと素敵だろうなと思ったものです。
結局最後にパン屋になった私ですが、手に入ったオーブンは、私がかつてかっぱ橋で眺めていたのと全く同じ上下二段の大きなものでした。
扉の形まで、当時の感激を思い出させてくれるような古い型式のものですが、最新式のハイテクオーブンよりもずっといいと思っています。
何もかも全部手動。
温度計もアナログメーター式でそれほど正確ではないので、庫内温度は実際に手を入れて勘を働かせます。
温度調節も手動ですから、焼け具合を見ながらスイッチを入れたり切ったりして加減します。
ですから、焼き始めから焼き上がりまで、ほとんどずっと付きっきりで番をしています。
でも実はこのことが、物が焼ける理屈と言うか、火の通り方の物理学を理解する助けになっていて、おかげでこの6年余りの間に、ものすごく貴重な勉強をすることが出来ました。
そして今は、製品の出来にも少しはその成果が出ていると自負しています。
ところで、昔、耐火煉瓦を積んで石釜を造ってみたいと思ったこともありましたが、ついにその機会に恵まれず、今となっては少しばかり歳を喰い過ぎました。
それにパンもお菓子も焼きますので、この旧式の電気オーブンが融通が利いて一番具合がいいのです。
小麦粉をおいしいパンや素敵なお菓子に生まれ変わらせる、魔法の箱オーブン。
今日は、ジンジャークッキーとナッツクッキーを焼きました。
と言うところで、今週のクッキーとマフィンのお知らせです。
今週は、ジンジャークッキー、ナッツクッキー、バタービスケット、くるみびすけっとを焼いています。
それにプラス、明日コーヒークッキーを焼く予定です。
他に、わらいごま、パタポン、どろんこクッキー、在庫があります。
今週のマフィンは、スィートハートのみです。